唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

唐沢なをき検証blog12.

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 コミックビーム』9月号に掲載されている唐沢なをき『まんが極道』第77話「老後後後」過去最大級の爆弾だったので紹介してみる。なお、この話は第62話「老後」および第71話「老後後」の続編にあたるので、詳しくは2月22日の記事を参照されたい。



 干野ギミノリと友人の逆富士イヌヒコがファミレスでダベっているところへ編集者がやってくる。2人の友人で「老後」のラストで無縁死した真江張ゾウタロウが手がけていた『ミャオちゃん』の二次創作集を原作者である桃本ルナ♡先生の許可を得たうえで出版したいというのだ。ルナ♡先生については『まんが極道』2巻収録の第24話「ルナ♡先生は俺のヨメ」を一読されたい。


 社会不適応者のイヌヒコは編集者とまともに会話ができないので、ギミノリが編集者と交渉にあたることになり、なんとか作品集の見本があがったのだが、表紙を見たイヌヒコは愕然とする。なんと、ギミノリの名前が大きく刷られ、本当の作者であるゾウタロウの名前は「作画協力」という肩書で表紙の隅に小さく書かれているだけなのである。一体なぜこのようなことが…。以下、『コミックビーム』P.249〜250よりギミノリと編集者の会話を引用する。赤字はギミノリ、青字は編集者。

実はですね!!  この漫画私が半分以上 創作にかかわっておりまして
実質作者は この私でして


へえ
そうだったんですか!


どちらかというと
真江張くんは 私の作画協力者というポジションで


でも ギミノリさんの名前どこにも書いていませんよね?


私は彼の才能をたてるために! 裏方に徹していたわけですよ
しかし 彼が亡くなった今! この漫画を世に問う責任は 私にあるわけですね


病床で彼もね 私の手をとって「ミャオの漫画はすべておまえにまかせた」って
涙を流して言ってくれたのです


だからこの本は
私の名前で出すべきなのだ

 …もうお分かりですね。今回の話は、潮健児の自伝『星を喰った男』が文庫版になるにあたって(編)著者の名義が唐沢俊一に変更された件とソックリなのである。詳しいことは2008年12月26日の記事を参照してほしい。ギミノリの発言が『星を喰った男』に載っている唐沢俊一の文章にソックリなので笑ってしまう。まずはP.6より。

 当初はこまかく原稿内容に注文を出していた潮氏だったが、原稿執筆の半ばあたりで氏の敬愛していた若山富三郎氏の死という出来事があり、構成を変更して、その模様を冒頭と末尾に持ってくることにした。その、プロローグの葬儀のシーン(潮氏の話をもとにこちらがまとめた)の原稿に目を通してもらったとき、潮氏は僕の目の前で原稿にポトリと涙を落とし、
「ここまで僕の気持ちをわかって文章にしてくれたのなら、もうこれからは何も言わず、一切おまかせします。唐沢さんの書く言葉は、間違いなく僕の言葉だ」
 と言ってくれた。心底からうれしく思ったことを覚えている。


 次にP.224より。

元本はかなりの数の雑誌の書評欄などに取り上げられ、好評だったのだが、直後にバンダイが出版部を廃止して、出版部はそっくりメディアワークスに移ってしまった。そのため、書店等で手に入りにくくなり、復刻の要望が強くなったので、前回紙数の関係でカットした部分などを復活させ、早川書房で文庫化してもらった。このときもいくつかの雑誌に好意的な書評が載った。文庫化したものにこのような書評がなされるのは珍しいことではないかと思う。著者名をこのときに当たって、唐沢俊一名義に戻したが、これを売名行為だといって非難してきたやつがいたのにはホトホトいやになったものだ。そもそもこういう輩は、潮健児のことを世の中に知らしめ、映画史に残すという出版の目的を取り違えているのである。


 いやー、ソックリ。偶然って恐ろしい。


 イヌヒコはギミノリの暴挙に激怒する。『コミックビーム』P.251より。

死人に口なしかよ こら

印税ほしくて! ひとの漫画を横どり!
うわあ 最低っ
うわあ 見そこなった

恥を知れ ハイエナ野郎


 …この言葉は『風狼太郎がゆく!』の件にもあてはまるような。



 だが、ギミノリはイヌヒコの言葉に耳を貸さず、同人誌即売会の会場で

干野ギミノリ著!
『ミャオちゃんのはらわた』


便所虫出版から出ますよ出ますよ!
よろしくね!!

とアピールする(P.251)。


 しかし、同人誌即売会にサークル参加している常連たちは当然事情をよく知っている。P.253より。

あんたの漫画じゃないでしょ


ゾウさんの作品でしょ?


なんであんたの名前で?
ボケちゃったの?


 ギミノリは反論する。P.253より。

あ゛ー
どいつもこいつもささいなことで


出版社の方からね
この本はギミノリさんの名で出してくださいと
たのまれたんですよ
しかたなくひきうけたのだ


真江張ゾウタロウの作品を残すためにもこれが一番いい方法なのだ


 もう一度『星を喰った男』文庫版の唐沢俊一の文章を紹介。同書P.5より。

 本書は株式会社バンダイより一九九三年九月に出版された潮健児自伝『星を喰った男』を文庫化したものである。その際には著者は潮健児名義となっており、唐沢俊一は編・構成者の扱いだった。
 今回の文庫化に際し、潮氏の名をサブタイトルに表示し、編著者・唐沢俊一という形に改めたのは、著者データを統一するための早川書房からの要望によるものであって、他意はない。

 本当によく似ているなあ。



 もちろんそんな説明では誰も納得しない。P.254より。

泥棒じゃん それ


泥棒だよな


泥棒


泥棒


 この続きは『コミックビーム』本誌を読んでほしい。ギミノリがお母さんから譲り受けた財産の中に「中古マンション」とあったので少し泣いた。



 …いやー、今回の話は読んでいてあまりのショックで倒れてしまった。外で読まなくてよかった。まあ、実の弟が一番辛辣に見える、ということに関してはいささか考えさせられてしまうものの。
 当ブログにおける唐沢俊一検証はもうまもなく終了するが、唐沢俊一の過去に関しては依然として不明瞭な点も残っている。だが、そういった点は唐沢なをきがいずれ「実録・唐沢商会を描いてくれれば解明できるはずなので、管理人としてはその時を待つことにしたい。



月刊コミックビーム 2012年 9月号 [雑誌]

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まんが極道 2 (BEAM COMIX)

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