唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

おまえの敵はおまえだ。

タコシェで既刊『唐沢俊一検証本VOL.1』『唐沢俊一検証本VOL.2』『トンデモない「昭和ニッポン怪人伝」の世界』『唐沢俊一検証本VOL.3』『唐沢俊一検証本VOL.0』「唐沢俊一検証本VOL.4」の通販を受け付けています。タコシェの店頭でも販売しています。
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・1970年代後半に札幌でアニメ関係のサークルに入って活動されていた方、唐沢俊一に関する情報をご存知の方は下のメールアドレスまでご連絡をお願いします。
karasawagasepakuri@yahoo.co.jp


唐沢俊一検証blog」、今日でちょうど開設4周年である。…しかしながら、あまり嬉しくはない。何故かというと、「頑張っていれば4周年の前に終わらせることが出来ていたはずだ」という思いが強くあるせいだ。実際問題、取り上げたいネタが本当に残り少なくなっていて、いつ突然終わってもおかしくない状態なのである。今度こそサクッと終わらせて総括に入りたいところだが、「唐沢さんのあの件、わたし、気になります」というご要望がある方は、コメントもしくはメールでお知らせください。なお、恒例になっている「この1年のまとめ」は、これもサボってしまっている「日本トンデモ本大賞」のレポートを済ませてからやることにしたい。もう少しだけおつきあいしてくだされば幸い。



●本題。当ブログの4月28日の記事にこのようなコメントをいただいた(情報ありがとうございます)。

ele 2012/04/29 18:32
亡くなった米澤嘉博さんの追悼本『米澤嘉博に花束を』(奥さんの米澤英子さんらが作った本)に、唐沢氏が参加したトークライブの様子が掲載されている他、寄稿もしてます。

トークライブは07年のコミティア80のときに米澤英子さんや米澤氏の担当編集者の方などと行ったものです。

原稿の方はいつもの追討路線で、米澤さんにかこつけて自分の嫌いな書き手の人たちをディスるような内容のものでした。


 米澤嘉博に花束を』模索舎storeで入手可能)は未見だったのでチェックしてみたら、確かに唐沢俊一「黒米澤、白米澤、灰米澤」という文章を寄稿している(P.76〜78)。eleさんが指摘されたのは以下の部分だと思われる。P.77〜78より。

 B級マンガの復刻、ということを私がはじめて、似たようなことをやりだした人たちが数組、出てきた。そして、後続の常で先にそういうことをやっている私のことを、ヌルいとかウスいとか、作者に敬意がないとか、いろんなことを言って、トップから追い落とそうとしてきた。実際はそういうことは私が最初に始めたわけでもなんでもない。例えば、カラテ・ガール(日系作家によるエロ・女闘美アクション)なんて作品に注目して、日本で刊行しようという計画を立てたのは米やんの方が先だった。その米やんが、ある座談会で、今年の漫画界の注目出版、というところで、彼らの本の名が出てきたとき、「あ、唐沢俊一のパチモンみたいなやつね」
 と切って捨てていてくれ、私はそれを読んで溜飲が下がったことがあった。ああ、米澤嘉博は私の味方なのだなあ、と、ちょっとウルウルきたことも事実だ。


 追悼本でこんなことを書かなくてもなあ、というのが第一印象。『村崎百郎の本』(アスペクト)でも「俊ちゃんは鬼畜トークやめへんで〜」などと自分のことばっか語っていたけれど(2010年11月25日の記事を参照)。


 唐沢俊一は数々の貸本マンガを復刻してきたが、欄外にツッコミを書き込む手法には批判が少なくなく、『漫画の手帖』に批判された際にはかなり激烈な反論をしている(2011年7月20日の記事を参照)。本人も気にしていたんだろうなあ。
 また、唐沢が復刻の際に著作権者に許可をとったケースはほとんどなく、だいたいにおいて本の巻末に「作者と連絡が取れなかった」旨を記述して済ませている。特に『風狼太郎がゆく!』を同人誌として復刻した件や『トンデモホラーシリーズ』(その1その2)などは著作権の処理をきちんと行っているのかきわめてアヤしいところである。『森由岐子の世界』(白夜書房)が著者である森氏とのトラブルで絶版になったことといい、唐沢の仕事ぶりには疑問を持たざるを得ない。

 
 自分が嫌だったのは、「トップから追い落とそうとしてきた」だの「私の味方」だの、とにかく考え方が打算にあふれているところである。かつて東浩紀にオタク業界に侵入されたくないという思いから東氏に執拗な攻撃に及んだことがあったが(その1その2)、よりによって追悼本でまで欲望にまみれた文章を綴らなくてもいいのに。なお、実際のところ、東氏にはオタク業界に参入する意思はなかったようなので、唐沢の東氏への攻撃は唐沢の一人相撲と見るのが正しい模様。
 ただ、唐沢俊一が20年もプロのライターとしてやってこれたということ、ある程度目端が利く点や遊泳術が巧みな点は評価すべきなのかもしれない。とはいえ、本当に計算のできる人はいちいち敵を作ったりしないだろうし(これは岡田斗司夫にも言える)、なんといっても盗作などは絶対にしないので、唐沢の「文筆業サバイバル術」を見習ってはいけないのだろう。


 さて、ここで唐沢俊一に残念な話をしなくてはならない。

 かつて、太田出版からQJマンガ選書」というカルト漫画を復刻したシリーズ本が出ていたことがあって、徳南晴一郎『怪談人間時計』や宮崎惇ふくしま政美聖マッスル』など、今考えても衝撃的なラインナップであった。自分の実家にも何冊かあったはずだが…。
 そんな「QJマンガ選書」の中につゆき・サブロー『寄生人』がある。この「つゆき・サブロー」というのは唐沢俊一が師匠と呼んでいる杉本五郎の別名で、その縁からか『寄生人』には唐沢も寄稿している。もっとも、同書を読む限り、唐沢よりもなみきたかし氏の方がずっと杉本五郎と親しく接していたことがわかってしまうのはツラいところではある。
 
 で、この本に関して、かなり昔の唐沢俊一スレッド@2ちゃんねる一般書籍板に以下のような書き込みがあった。

965 : 無名草子さん[] : 2008/07/23(水) 07:58:57
徳南やふくしま政美を出した太田のQJマンガ叢書って、監修が米澤嘉博
竹熊健太郎だからな。唐沢なんてもともと入る隙はなかった。
唯一、唐沢が「自分の師匠」と公言していたツユキサブローの『寄生人』だけには
解説を書いている。米澤や赤田は反対したんだが、当時唐沢とはつきあい
あった竹熊が「あいつを外すと一生恨まれるから」と解説文依頼したらしい。


 「赤田」は赤田祐一氏のこと。
 2ちゃんの書き込みを真に受けてはいけないのは言うまでもないが、気になったので竹熊さんにメールで質問したところ以下のようなお答えが返ってきた(どうもありがとうございます)。

この二つとも、何人かの業界関係者には話しましたので、回りまわって2ちゃんに書きこまれたんでしょう。


QJマンガ叢書は赤田祐一氏の企画で、それに僕と故・米澤嘉博氏が監修に立って刊行したシリーズです。毎月一回、この三人で編集会議したんですけど、『寄生人』の解説に唐沢俊一氏の起用を提案したのは、僕でした。


赤田君と米澤さん、そして僕自身も、唐沢氏の復刻のやり方にはかねがね疑問を抱いていました。『まんがの逆襲』などのように、作品の欄外にわざわざツッコミを入れて読者の笑いを誘う行為のことですが、無粋そのものだと今でも思います。米澤さんは名指しの批判こそしませんでしたが、「復刻は可能な限り手を加えず原型のまま出すべき」という考えをお持ちで、叢書の月報対談でもそのように答えているはずです。実際に「QJマンガ叢書」は、可能な限り原型の内容に近づける方針で編集されました。


唐沢氏を起用した理由は、彼の復刻仕事を評価したのではなく、日頃、唐沢氏の口から個人的に故・杉本五郎つゆき・サブロー)氏との思い出をよく聞かされていたということが大きいです。


僕は、思い入れの深い故人の追悼文に関して、唐沢氏はなかなかいい文章を書くと思っていましたので、『寄生人』の解説者には適任だと思ったのです。それでも難色を示した他の委員に対しては、「ここで唐沢さんに声をかけなかったら、僕が後でどれだけ嫌味を言われるかわからないから(笑)」と、ジョーク交じりで説得したことを覚えています。

 …本当のところはそういうことらしい。自業自得ではあるものの、唐沢俊一にとってはきつい話だろうな、と同情しないでもない。


 言うまでもないことだが、この話をもって米澤氏が唐沢俊一の敵だった、と考えるのは間違いである。話をする分には楽しいけれど一緒に仕事をするとなると難しい、というのは世の中にはよくあることなのだし。
 そもそも、気に入らないことを言う人を「敵」と考えたり、おのれの都合のいいことを言う人を「味方」と考えたりする発想がおかしなもので、はっきり言えば幼稚である。米澤氏は唐沢俊一にとって味方でも敵でもない。唐沢俊一に敵がいるとすれば、唐沢本人が唯一にして最大の強敵なのではないか。唐沢の現状を考えても、つくづくそう思う。


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聖(セント)マッスル (QJマンガ選書 (03))

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寄生人 (QJマンガ選書 (06))

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村崎百郎の本

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