唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

じょーじょーいんじょー。

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 唐沢俊一キッチュの花園』メディアワークス)に収録されている「中国の美女妖怪たち」という文章から。P.122〜123より。

 中国ファンタジーの代表と言えば何といっても『西遊記』だろうが、この中に三蔵法師を誘惑するマムシの女妖怪が登場する。金角銀角や牛魔王など他の妖怪は三蔵を捕らえて食べちまおうという食欲の妖怪だが、このマムシの女怪はひたすら三蔵を誘惑してセックスに及ぼうとする性欲の妖怪で、『西遊記』には珍しいオマンマ型ならぬオマン×型(原文ママ)。もちろん、子供向けのマンガなどには登場しない妖怪だ。
 しかもこの妖怪、エッチなだけでなく強い。マムシの精だけに倒馬毒という猛毒を塗った針を繰りだし、さすがの孫悟空も苦戦して観音さまに助けを求めるが、この毒ばかりは観音菩薩も手の施しようがなく、ニワトリの化身の昴日星官という神様の助けを借りてやっとこれを退治する。『八犬伝』の曲亭馬琴の翻訳でこの女怪が三蔵を誘惑するシーンを紹介すると、
「女怪は十分に嬌美の形を顕し、三蔵を抱きて“倆(なんじ)と交歓して慰まんに、快く閨房に入り給へ”、三蔵は他(かれ)が怒りに逢はん事を怕れ、没奈何(ぜひなく)閨房に入って座し給ひ、頭を低(た)れて一言も交へず。女怪淫を求めて、萬般と雲雨の情を説出し、半夜に至るまで纏ひ迫れども……」
 となるが、漢字の勉強になるだけで少しもコウフンしないのが欠点だ。


 この女妖怪の正体はサソリである。wikihouseで『西遊記』の原文が読めるが、そこでも「蝎子精」と書かれている。わざわざ原文にあたらなくても岩波文庫版(翻訳を担当されているのは中野美代子先生)を読めばすぐにわかるし、毒針を繰り出す時点でサソリだとわからなかったものだろうか。そんなミスの後で馬琴の読みにくい訳文を引用しているのがなんともいえない。


※追記 馬琴の訳文でも「蝎子」に「まむし」というルビが振られていたとのこと「gurenekoの日記」を参照されたい)。


 この後、唐沢俊一は中国の伝奇小説から『杜子春伝』(芥川龍之介杜子春』のモトネタ)と『聶隠娘』(じょういんじょう)を紹介しているが、この2つの物語および『杜子春伝』が収録されている『続玄怪録』と『聶隠娘』が収録されている『伝奇』はひとつの本の中で紹介されることがよくあるようで、たとえば『唐宋伝奇集』(岩波文庫)にも一緒に収録されている(その他のケースについては「研究系フリーター日記」を参照)。つまり、唐沢はそれらの本をめくってネタを拾ってきたのではないか?と思われるのであって、唐沢の情報収集能力がどの程度のものなのか窺い知ることができるわけだ。…っていうか、そもそも『杜子春伝』と『聶隠娘』にはタイトルにあるような「美女妖怪」なんて出てこないため、中国の伝奇小説から適当にネタを拾ってきたんじゃないの?という感じがどうしてもつきまとう。



Eテレ版も面白すぎて困る。


ヒャダインのじょーじょーゆーじょー

ヒャダインのじょーじょーゆーじょー

唐沢俊一のキッチュの花園

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西遊記〈1〉 (岩波文庫)

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唐宋伝奇集〈上〉南柯の一夢 他11篇 (岩波文庫)

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唐宋伝奇集〈下〉杜子春他39篇 (岩波文庫)

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少年西遊記 (2) (河出文庫)

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