迷宮のレンブラント/BAD CITY
・タコシェで冬コミの新刊「唐沢俊一検証本VOL.4」の通販を受け付けています。また、既刊『唐沢俊一検証本VOL.1』、『唐沢俊一検証本VOL.2』、『トンデモない「昭和ニッポン怪人伝」の世界』、『唐沢俊一検証本VOL.3』、『唐沢俊一検証本VOL.0』も通販受付中です。タコシェの店頭でも販売しています。
・初めての方は「唐沢俊一まとめwiki」、「唐沢俊一P&G博覧会」をごらんになることをおすすめします。
・当ブログにコメントされる場合には誹謗中傷および個人を特定しうる情報の掲載はおやめください。守られない場合には厳正に対処する可能性があります。
・1970年代後半に札幌でアニメ関係のサークルに入って活動されていた方、唐沢俊一に関する情報をご存知の方は下のメールアドレスまでご連絡をお願いします。
karasawagasepakuri@yahoo.co.jp
■小ネタがたまってきたのでサクサクやってみる。年内に終わらせるためにそろそろラストスパートだ。
■前回紹介した唐沢俊一の新刊は「ブリックス株式会社」から出るらしい。
ネット上でP&Gについて多少知られるようになっても、唐沢俊一は今後も本を出し続けるだろう、と思う。『スコ怖スポット・東京日帰り旅行ガイド』を出版したごま書房新社VMの担当の方は唐沢の現状についてご存知でなかったようだし、同じように唐沢の現状を知らない編集者はいくらでもいるだろう。そういった方々には唐沢俊一の名前が魅力的に映ってもさほど意外ではないのだ。
『スコ怖』では芝崎淳氏に編集をまかせきりにしていたためP&Gが発生してしまったわけだが(7月14日の記事を参照)。今回の新刊ではそのような事態が起こらないよう祈るばかりだ。まあ、『スコ怖』って俺以外に誰が読んでるの?と思わないでもないが…。
前にも書いたことだが、当ブログでは唐沢検証に区切りをつけた後も、唐沢俊一が新刊を出した際には内容を簡単に紹介していくつもりでいる。完全にやめてしまうのもいささか無責任だと思うので。
■唐沢俊一スレッド@2ちゃんねる一般書籍板が200スレに到達した。めでためでた(『日常』7巻アンケートハガキのちゃんみお風)。ちなみに、最初に唐沢スレを立てたのは唐沢俊一本人である(2009年2月19日の記事を参照)。唐沢の露出が減ったせいもあって、最近では進行がかなりゆるやかになっているが、これからも活発な議論がなされることを期待したい。
唐沢スレといえば、
アンチってどうして唐沢に嫉妬することしかできない売れないライターが多いのかな?
という書き込みを長きにわたって繰り返している「荒らしの人」がいるのだが、以前指摘したように、似たような書き込みを唐沢スレ以外にも、日垣隆スレ、上杉隆スレでも見かけたことがあって、さらにはこないだ宇野常寛スレでも見かけたので、個人的には「荒らしの人」は唐沢俊一ファンというより単なる気の毒な方、というイメージしか湧かない。
■唐沢俊一が夏コミで出した同人誌『裏亭mixi雑文集』がとらのあなで委託されている。サンプルもチェックできるよ。実際に購入して「修学旅行のしおり」感を確かめてもらいたいものである。ついでに、唐沢とは直接関係はないが、COMIC ZINで通販しているとある同人誌もなんとなく紹介。
さて、『裏亭mixi雑文集』P.11〜P.12には「二枚の自画像」と題したレンブラントについての文章が掲載されている。
数年前、上野の国立西洋美術館で『ルーヴル美術館展―17世紀ヨーロッパ絵画』が開催された時のにぎわいは凄まじかった。初日から一ヶ月で来場者が20万人を突破する人気だったという。
ポスター等で最も大きく取り扱われているのはフェルメールの『真珠の耳飾りの少女』であるが、会場で人気なのはレンブラントの自画像だそうだ。
「ルーヴル美術館展―17世紀ヨーロッパ絵画」が国立西洋美術館で開催されたのは2009年2月から6月までなのだが、このとき出展されたフェルメールの絵画は「レースを編む女」。「真珠の耳飾りの少女」はルーヴルの所蔵じゃない(マウリッツハイス美術館所蔵)。それにレンブラントの自画像も展覧会のチケットに掲載されている(「クルヴェットゥ ジュルナル(えび新聞)」を参照)ので、これも展覧会の目玉のひとつであったことがうかがえる。
いつも通りガセが混入しているものの、この文章自体は比較的まともなものである。レンブラントの作品は若い時のものよりもいくつもの苦難に見舞われた晩年のものの方が味わい深い、という内容は「裏モノ」めいたノリもなく、「こんな文章を書く人だったっけ?」と少し驚かされる。その反面、文章に元気がないのは気になるところではあるけれど。お体には気を付けてほしい。
■『パチスロ必勝ガイドNEO』連載中の唐沢俊一のコラム『エンサイスロペディア』についても簡単に触れておく。
実は前回(第54回)の『エンサイスロペディア』は比較的ちゃんとしていた。唐沢俊一お気に入りの『未来少年コナン』がテーマになっていたおかげで、作品の内容にも具体的にちゃんと触れられていて、多少気になる点はあったものの「これならツッコミを入れなくてもいいや」と安心していた。この調子が続くのであれば俺も安心して検証を終わらせることができる。ただでさえ『パチスロ必勝ガイドNEO』が見つからなくていつも苦労しているのだ。
ところが、今回(第55回)はいつものクオリティに戻ってしまっていた。今回は松田優作主演のTVドラマ『探偵物語』がテーマだったのだが、作品の内容に具体的に触れることなく、「ハードボイルド不毛の地だった日本における稀有な傑作」という論旨だけでひたすら押していく一本調子な文章になってしまっている。
細かい点にも気になる部分がある。
もともと松田優作は、そういうやせ我慢の似合わない男である。女が欲しければ猛烈にアタックをするだろうし、痛いときには素直に痛がるキャラクターだ。『太陽にほえろ!』におけるジーパン刑事の殉職シーンでの“なんじゃこりゃあ!”という叫びは、スタッフや監督の反対を押し切り、“一番カッコよくない死に方”を松田自身が考えて演技したという。いわば、ハードボイルド的なカッコつけとは正反対にいる男なのだ。
唐沢俊一は優作が周囲に癌を隠して『ブラック・レイン』の撮影に臨んだ話をどのように解釈するのだろうか。まあ、松田優作本人と優作が演じたキャラクターは別、と考えればいいのだろうか。
また、唐沢は『探偵物語』を、
日本のテレビドラマの中に生れた、ほとんど類似作品がない、孤独の傑作である。
と評しているが、『探偵物語』はさまざまな方面に多大な影響を与えていることにも触れておくべきだろう。一例を挙げれば、それこそ唐沢の得意分野であるはずの特撮でもつい最近『仮面ライダーW』という作品があったわけだし。小ネタとしては第9話にスペクトルマンが出ていたりするのだが。あと、先行作品としてロバート・アルトマンの『ロング・グッドバイ』に触れる手もあったんじゃないかなあ…、などというのは高望みかな。ともあれ、『エンサイスロペディア』でよく見受けられる「話を広げられない」という弱点が如実に出た格好になってしまっている。いずれにしても、『探偵物語』を見ていないのがわかってしまうのはいただけない。ネットでググっていたらわかることしか書いていないんだから困る。SHOGUNとかベスパとかそこらへんも触れられてなかったなあ。
予告編についてももちろんスルー。
唐沢俊一にとって致命的な著書をひとつ挙げるとするならば、自分は『昭和ニッポン怪人伝』(大和書房)を推したい。盗用が発覚した『新・UFO入門』(幻冬舎新書)にはまだ内容に見るべき点があった、と言えるかもしれないが(本の内容を評価している人も結構いる)、『昭和ニッポン怪人伝』はメジャーな分野について語る力がないという唐沢俊一の問題点が露呈してしまった、その点がまさに致命的だったと思う。そりゃ、俺もまるごと一冊検証本を作るわけだよ(タコシェで販売中なのでチェックしてね!)。
同じことが『エンサイスロペディア』にも言える。「知っている作品」と「知らない作品」の差がハッキリ出てしまっているのだ。唐沢俊一の知識の偏りがわかりやすく出ているので、検証している人間にとってはかなりありがたいコラムなのだが、唐沢にとっては罰ゲームでしかないような気がする。せめて一夜漬けくらいしてくれ、と思うし、『探偵物語』も知らないというのはちょっと驚いたけれど。今後も「え? 唐沢さん、これ知らないの?」と驚かされ続けるのだろうか。『スコ怖』と同じように、『エンサイスロペディア』って俺以外に誰が読んでいるの?と思ってしまうが…。
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