マイルドセブン。
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karasawagasepakuri@yahoo.co.jp
●『コミックビーム』最新号に掲載されている唐沢なをき『まんが極道』第65話は、ネットでマンガをタダ見してそれを必死で正当化する男の話。タイトルはそのまんま「泥棒くん」。そして、今回のオチはこれまでの『まんが極道』の中でも個人的にベストかもしれない(第32話「女喰い」とどっちにしようか迷う)。コミケと「唐沢俊一トンデモ本大賞」の間に喫茶店で一休みしつつ読んでいたのに声を出して笑ってしまった。「他人の努力の結晶をネットを使って掠め取る輩」に対する唐沢なをきの渾身のメッセージなのだろうか。誰かさんも心して読むといいよ。
●コミケで「西理研」のブースにいらっしゃった方と「唐沢俊一トンデモ本大賞」に参加された方には『妄想特撮「カラサワセブン」全エピソードガイド』をおまけでお渡しした。もちろん、モトネタは『ウルトラセブン』で、全49話ちゃんと考えたんだから我ながらバカだと思うけど、ハガキ職人だった頃を思い出して楽しかったから良しとしよう。それにつきあわされたみなさんはいい迷惑でしかないんだけど。
さて、本日発売の『パチスロ必勝ガイドNEO』10月号掲載の唐沢俊一のコラム『エンサイスロペディア』第53回をチェックしたら、なんと『ウルトラセブン』が取り上げられていたのでビックリしてしまった。まさに西手新九郎。
それで早速内容をチェックしてみたのだが…、ここまで無味乾燥な『ウルトラセブン』の紹介文もない、というのが正直な気持ちだ。特撮好きが読んでも「アー、アッタアッタ」と思えないし、未見の人もこの文章を読んで『セブン』に興味を持つか?というと疑問だと思わざるを得ない。
唐沢のコラムによると、『セブン』は予算不足の影響でかえって脚本や演出が優れたエピソードが多く生まれたのだという。まぁそれはいいよ(ちゃんみお風に)。そしてゲスト俳優陣も『ウルトラQ』『ウルトラマン』以上に印象的だと書いている。
第20話『地震源Xを倒せ』における変人博士を演じた吉田義夫は、東映特撮の初期の名作でウルトラシリーズのライバルであった『悪魔くん』のメフィスト役で有名だし、第31話『悪魔の住む花』でダリーに肉体を乗っ取られる女性役があの松坂慶子であるというのは以前からファンの間では知れ渡っていた話。さらに、45話『円盤が来た』では、大島渚と共に創造社を設立した渡辺文雄をはじめ、放送作家としても有名なミッキー安川、『超人バロム1』の主人公・白鳥健太郎役で後に知られるようになる高野浩幸など、ユニークな俳優たちがせいぞろいという感があった。これも、特撮よりドラマ部分に力を入れた制作方針の現われだろう。
…『エンサイスロペディア』でよくあるパターンだが、どのような読者を想定した文章なのかわからない。松坂慶子はともかくどれくらい伝わるのか気になる。何の説明もなしに「ダリー」と書いているのもどうかと思うが。それくらいなら、『ウルトラマン』に青島幸男や寺田農が出ていた話の方がまだしも伝わりやすいような。…っていうか、渡辺文雄は『ウルトラQ』第15話「カネゴンの繭」にも出てるじゃん。シリーズ前二作とのキャストの違いがいよいよわからなくなる。
とはいえ、特撮を多用しないヒーローものというのはどうしても地味になりがちだ。セブンがそれでも成立していたのは、放映された1960年代の日本人たちが、そろって宇宙に眼を向けていたからだ。
として、当時の米ソの宇宙開発競争のせいで『セブン』には「政治がらみの話」が多いとしているのだが…、「ノンマルトの使者」はどうなるの? 『セブン』を語る際には今や外せないエピソードなんだけど、ノンマルトは海底人(地球の先住民族)だから宇宙は関係あるのだろうか。「政治がらみの話」だったら『ウルトラマン』にも「故郷は地球」があるし。あと、
(前略)当時の子供たちは、果たして月に最初に第一歩をしるすのは米ソどちらになるか、かたずをのんで見守っていた。
とあるけど、そうなんですか? 自分が生まれる10年以上前の話なので当時の空気がわかるはずもなく。
でも、結局「政治がらみの話」が多かったせいで、子供たちは特撮からスポ根ものへと流れていったとしたうえで、
とはいえ、それはウルトラセブンという作品の価値をいささかも減じるものではない。むしろ、当時これだけの内容の作品が作られたことに驚きを感じるし、時代相と重ね合わねることで、子供だった頃には気がつかなかったことが見えてくる。リアルタイムでウルトラセブンを観ていた方は、パチスロに興じながらも、当時の自分が、毎日どんなことを考えていたか思い出してみるのも悪くないだろう。
と例によって唐沢流にまとめている。…いや、だから、前にも書いたはずだが、パチスロをやりながらそんな余計なことを考えないだろうと。昔を懐かしむなら普通に本編を観た方がいいのでは。
特撮オタクである自分としては、同じ特撮オタクであるはずの唐沢俊一とこれほど傾向が違うのか、と愕然としてしまった。『ウルトラセブン』の紹介なのに「アイスラッガー」「カプセル怪獣」も出ないんだもんなあ。特オタじゃなくても「メトロン星人のちゃぶ台」や最終回の話は知っている人もいるくらいなのに(『エンサイスロペディア』の中でパチスロで使われているメトロン星人のCGが載っている)。まあ、自分みたいに表面的な話じゃなくてテーマを語りたい人もいるのかもしれないが、そのテーマらしきものも説明できているのかどうか。困惑するしかない。
唐沢俊一は『セブン』の「政治がらみの話」などシリアスな面ばかりを強調しているが、自分が「カラサワセブン」を書きながら感じたのは「ウルトラセブンは本当にカッコいい」ということだった。キャラクター自体がカッコいいし、主題歌も勇壮だ。「フォースゲートオープン」も燃える。テーマ以前にヒーローはとにかくカッコよくなきゃダメなんだ、とあらためて感じた次第。
そして何より、セブンが満身創痍になりながら最後まで地球のために戦った、ということに感動する。「ノンマルト」もいいし、「ひとりぼっちの地球人」とかも好きだけど、改造パンドンを倒して朝焼けの中で立ちあがるウルトラセブンにはかなわない(少しよろめくのが余計に泣けてしまう)。小学生のころに『ウルトラセブン』を見ていたから、「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」を3年も続けてこられたし(そんな大袈裟なものじゃないか)、もう少しだけ続けよう、という気持ちになっているのかもしれない。
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