唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

河童じゃ! 河童の仕業じゃ!

モトネタはこれ。すごく好き。



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karasawagasepakuri@yahoo.co.jp



 唐沢俊一『スコ怖スポット・東京日帰り旅行ガイド』(ごま書房VM)、書き下ろしがまだ2章残っているので紹介しておこう。今回は「スコ怖スポット17 浅草その2(かっぱ橋)」を取り上げる。P.134では川で溺れ死んだ人は河童に尻子玉を抜かれた、という伝承がなぜ生じたかについて説明されている。

カラサワ探偵長  人間は死後硬直するが、これはだいたい死後48時間程度でとけて弛緩が始まる。水死体というのは、たいていが行方不明になっている。だいたい見つかるのがまる2日経ったくらいだろう。もう死後硬直がとけて顔が笑ったようになる。水死する人間のほとんどは裸だ。普段は見えない肛門も、開いているのが見える。実は水死体でなくても開くのだが普通はそんなところは見えない。だから特殊なことだと思い込んで、ああ、河童の仕業だ、と考える……まあ、こんなところだろう

 引用しながら思わず「ひどいな」と呟いてしまった。一読したときに「ヘンだ」とは思っていたが、写していると余計にひどさがわかる。筆写の効用というべきか。
 唐沢俊一は「死後硬直が解けた水死体の様子が尻子玉を抜かれたように見える」と言いたいようなのだが、そのために「水死体というのは、たいてい行方不明になって(中略)みつかるのがまる2日経ったくらいだろう」という根拠不明な決めつけをしている。……いや、水死体がすぐ見つかるケースは普通にあるし、「まる2日」って何かデータがあるのか? あと、着衣したままの水死体だって普通にある。探偵長、スーパー推理すぎる。



 P.134〜P.135より。

すばる  でも、そんな人を襲う怖い河童を、なんで日本人は地名にしたり、可愛いマスコットにしちゃったりするんでしょうねえ


カラサワ探偵長  まあ、最初は実在の怪物として怖れられていたものが、時代が下るにつれてそういう神秘を信じない人が増え、怖がらずに面白がる人が増えてきて、マンガに描かれるようになる。現代の妖怪ブームなんてのはまさにそれだろうな

 じゃあ、『彦一とんちばなし』で、彦一がとんちで河童をこらしめるのはどうなるんだろ(熊本県公式サイト)。要チェックや!(彦一つながり) また、志木市の公式サイトにあるカッパの伝承もユーモラスである。尻子玉を抜いたり馬の血を吸ったりする恐ろしい一面がある一方で、相撲好きな面もあると昔から思われていたのではないだろうか。腕が抜けちゃったりするあたり面白いけどなあ。



 P.135より。

カラサワ探偵長  かっぱ橋のかっぱはもともと、文化年間にこの地域の堀を私財をなげうって整備した雨合羽商の喜八という人物にちなんだもので、河童とは関係なかったんだが、やがて名前の響きからあの河童と結びつけようという人たちが、喜八に協力して、難航する工事の手助けを河童たちがした、という話を作り出し、河童の町にしてしまったんだな。文化年間といえば江戸時代もそろそろ幕末に近くなってくる爛熟期だ。河童もこのころにはすっかり人間のマスコットにされてしまった感じがあるな

 かっぱ橋道具街の公式サイトでは、「かっぱ橋」の名前の由来について「雨合羽商の喜八」以外に「橋で雨合羽を干していたから」という説が紹介されている。おなじみの「諸説あるものをひとつだけ紹介する」パターンだ。「河童と結びつけようという人たち」の正体が気になるが。


 この後、唐沢は「河童の正体はプラズマ」という説を紹介しているが、その理由はキャトル・ミューティレーションと尻子玉を抜き取られるのは似ている」「プラズマによって発生したオゾンの匂いは生臭くてカッパの匂いに似ている」としている。…大槻教授もこの説は支持するかなあ。

 で、この章のオチはこんな感じ。P.137より。

カラサワ探偵長  さっき、妻と密通する河童の話が出たが、夫と密通する河童だってなくはないだろう


すばる  ?


カラサワ探偵長  いいもんだと聞くぞ、家庭を持った女性というのはかえって色っぽくなってきて……


すばる  探偵長、それプラズマでなくてヒトズマ(原文ママ)ですから!


 …つくづく思うのだが、『スコ怖』のオチは面白い面白くないという以前に意味が分からない。唐沢さんに説明を求めたいくらいだ。まあ、説明されても面白くなるとは限らないし、黄桜のカッパの奥さんは色っぽいのだが(黄桜公式サイトより)。


 
古賀さんをもヘコたれさせるのだから、『スコ怖』は凄い本だと思う。「唐沢俊一トンデモ本大賞」でも有力候補になることは間違いない。


妖怪大全鑑 河童【妖怪百物語登場版】

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スコ怖スポット―東京日帰り旅行ガイド

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彦一とんちばなし(上) (偕成社文庫2040)

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怪奇現象の正体―プラズマの謎 (ホット・ノンフィクション)

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タコシェ冬コミの新刊「唐沢俊一検証本VOL.4」の通販を受け付けています。また、既刊『唐沢俊一検証本VOL.1』『唐沢俊一検証本VOL.2』『トンデモない「昭和ニッポン怪人伝」の世界』『唐沢俊一検証本VOL.3』『唐沢俊一検証本VOL.0』も通販受付中です。タコシェの店頭でも販売しています。
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