回向院(PART2)
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●唐沢俊一が和田慎二の「追討」をしているが、結局のところ「和田慎二のマンガを読んだことがある」という話でしかなかった。『スケバン刑事』も『超少女明日香』も出てこないんだからビックリだけど。
自分が気になったのはここ。
男のくせに少女漫画なんかを読んでいたのか、と言われそうだが、
この時期、萩尾望都の『ポーの一族』が評判を呼び、SF・ホラー
ファン中心に、男性が少女マンガを読むのが一種の流行のようになって
おり、私も友人たちに『ベルサイユのばら』の面白さを講釈したり
して悦に入っていたものであった。とはいえ、それはその当時の私たちにとって“異文化”を面白がる
という一種のエキゾチズム、スノビズムの要素が多分にあったと
思えるものだった。あくまでも少女漫画はわれわれにとり、本来、
全く異る常識、感覚で描かれたキッチュな世界であったのだ。
藤岡真さんも書かれているが、男が少女マンガを読むのって普通にあることでしょ。まあ、唐沢俊一は女きょうだいがいないからその辺は疎いのかもしれないが(宮台真司は女の子の友達が多かったせいで少女マンガを読むようになったという)。橋本治『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』(河出文庫)も「スノビズム」の産物なのかね。あと、先に名前を挙げた宮台真司や大塚英志も少女マンガのファンだったことを告白している(大塚は田淵由美子にファンレターを送ったことがあるそうだ)。とり・みきも『あしたのために』で『りぼん』の乙女ちっくマンガに触れた経験を描いている。唐沢と年齢の近い人間で少女マンガの洗礼を受けた人間は数多いのだ。
なお、以下は余談だが、みなもと太郎『まんが学特講』(角川学芸出版)の中で、聞き手の大塚英志がヨン様のルーツは『りぼん』の「乙女ちっく」マンガに登場する男性キャラなのではないか?と言っていたのだが、太刀掛秀子『秋への小径』(集英社文庫)の解説で藤本由香里も同じように「『冬のソナタ』=乙女ちっく」と言っていたので笑ってしまった。西手新九郎か? それを読んで以来、「じゃあ、次は花岡ちゃんみたいな“メガネ女子”が来るんだろうな」とひそかに期待しているのだが、今のところその気配はない。
話を戻そう。少女マンガを「キッチュな世界」としているのもおかしな話で、これは岡田斗司夫の洋楽の話(7月6日の記事を参照)と同様に、自分に理解できないジャンルを突き放しているに過ぎない。なお、このあいだ1980年代初頭の『OUT』を読んでいたところ、音楽コーナーで普通に洋楽が紹介されていたり、「好きな歌手ランキング」でビリー・ジョエルの名前が挙がっていたので、岡田の「洋楽嫌い」は当時のアニメファンを代表するものではない、と感じた。…っていうか、『DAICON』のオープニング・フィルムでELOの『トワイライト』を使っているのはなんなんだと。
ドラマ版『電車男』オープニングのモトネタですね。
多少フォローすれば、唐沢は少女小説を「キッチュな世界」として読んでいたから、男の少女マンガファンも似たようなもの、と考えたのかもしれない。和田の「追討」を読んだ後、ふと2月1日の記事を読み返してみたのだが、ゲイ雑誌を買うことを懸命に正当化しようとしている唐沢の口ぶりには苦笑を禁じ得なかった。…いや、それなら、男が少女マンガを読むのも「知識欲」とみなしてあげないとフェアじゃないのでは?と思ったけど。東浩紀だって今でも『コミックLO』を読んでいるんだから(togetterを参照)、堂々としていればいい。ゲイ・カルチャーが好きだから読んでいた部分もあるんじゃないの、唐沢さん?
もうひとつ。
マンガの世界でもかなり早く、まして少女マンガの世界ではほぼ
初めて、オタク的な趣味を持ち込んだ先駆者であった。
第一次オタク世代の情熱と凝り性がいい具合に作品に作用していた
が、しかしまた、第一次オタク世代の欠点である、作品世界に
愛着があるあまりにスッキリ終らせられず、話が延々と膨らんで
しまう、という特長も持ちすぎるくらい持っていた。
それが元での出版社との決別など、トラブルを起したこともあった
ようだ。アニメ化、実写化された人気シリーズを持って、悠々自適
に作品を描ければどんなによかったか。
1950年生まれの和田慎二が「第一次オタク世代」に入っちゃうのか。相変わらず伸縮自在である。…しかし、「不幸な晩年」にしないと気が済まないのか。青池保子によると、和田は亡くなる間際まで連載のネームを作っていたというから、漫画家として本当に立派だと思う。
それから、「出版社との決別」というが、『少女鮫』の「リンダリンダ」を知っているのか、少し気になった。俺は当時『花とゆめ』で最終回を読んで唖然としてしまったんだけど(今思うといい話だったような気もする)。唐沢さんの「出版社との決別」についてもいずれお話を伺いたいものです。
●先日、所用で四ツ谷駅から丸ノ内線に乗ったのだが、ここも「地下鉄の地上駅」であることに気づいて思わず笑ってしまった(7月18日の記事を参照)。三球・照代は四ツ谷でも地下鉄ネタをやれなかったのだろうか。
それでは、唐沢俊一『スコ怖スポット・東京日帰り旅行ガイド』(ごま書房新社VM)より「スコ怖スポット15 南千住(回向院その2)」を紹介しよう。この章では、南千住回向院の中にある有名人の墓について説明されているのだが、磯部浅一の墓の説明がどうも奇妙なのである。『スコ怖』P.117より。
カラサワ探偵長 磯部浅一は2・26事件の首謀者の一人として昭和12年、処刑された軍人だよ。貧農に生れた磯部は県会議員の養子となって陸軍幼年学校に入り、優秀な成績で卒業し、一等主計(大尉相当)にまでなるが、クーデター事件に巻き込まれ免官。やがて起きた2・26事件で計画の指揮にあたり逮捕。裁判にかけられ渋谷の陸軍衛戌刑務所内で銃殺。その墓はかねてからの本人の希望で、この小塚原回向院の、吉田松陰の墓の隣に建てられた(後略)
山崎國紀『磯部浅一と二・二六事件』(河出書房新社)によると、磯部浅一は実家を離れ松岡喜三郎という県庁の職員の家に住まわせてもらっていたという。なお、同書では磯部が松岡家に養子で入ったとは書かれていない。
また、磯部の遺書には次のようにある。
私の骨がかへつたら とみ子(引用者註 磯部の妻)と相談の上 都合のいい所へ埋めて下さい
これが吉田松陰の墓の隣に墓を建ててほしい、という要望に読めるかどうか。
P.117より。
すばる 吉田松陰は安政の大獄で処刑された人ですよね。維新の原動力となったと言われる思想家に、磯部浅一はあこがれたんですかね
カラサワ探偵長 松陰は捕えられたが、最初は単なる過激思想犯として、せいぜいが島流しくらいの罪と幕府も思っていたらしい。ところが、その取り調べで松陰は自ら老中暗殺のクーデター計画を明かし、自分を死刑にせよと主張したという。その気概に、磯部は感動したんだろう(後略)
唐沢俊一は何故かスルーしているが、磯部浅一は山口県出身である。だから、同郷の偉人である松陰を尊敬していた、と考えた方がずっとしっくりくる(先に挙げた『磯部浅一と二・二六事件』によると、松岡喜三郎は磯部に松陰の偉大さを教え聞かせていたという)。
P.117より。
カラサワ探偵長 鼠小僧や高橋お伝の墓に参るものは多いが、磯部浅一の墓は見過ごされがちだ。実は回向院で最高に強いパワーを放っているのは彼の墓であることはあきらかなのだけどなあ
20歳近く年長の方に対してこんなことを言うべきではないのかもしれないが、「お前は何者だ」と真剣に突っ込んでしまった。まあ、志水一夫もビリーバーだったし、墓からパワーを感じることのできる人が「と学会」にいても不思議ではないのかもしれないけどさあ。
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