唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

ゴールデン悪趣味。

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・1970年代後半に札幌でアニメ関係のサークルに入って活動されていた方、唐沢俊一に関連したイベントに興味のある方は下のメールアドレスまでご連絡をお願いします。

karasawagasepakuri@yahoo


 以前、唐沢商会『東方見物録』の雑誌掲載分を確認したときに少し気になったことがあった。雑誌掲載分では唐沢俊一「顔射もののAVが苦手」と言っている部分があったのだが、単行本(『脳天気教養図鑑』)に収録された際には描き直されていたのだ(唐沢兄弟が2人で淡々と顔射もののAVを観ているシーンになっている)。
 …まあ、唐沢俊一がどんな嗜好をしていようが別にどうでもいいのだが、何故わざわざ描き直したのかは気になるところだ。個人的には「現在のキャラクターに合わないから直した」と推理してみた。だって、裏モノとか鬼畜とかさんざん言っていた人がたかが(と言っていいのかどうか)顔射に拒否反応を示すのは奇妙である。


 そんな風に思っていたところ、『悪趣味の本』宝島社文庫)を読み直す機会があった。この本は別冊宝島ムックとして1996年に出た『トンデモ悪趣味の本』を文庫化したもので、自分が最初に目にした唐沢俊一の文章は、この本に載っている「オウム真理教のアナルを舐めたい人びと」(その後『カルト王』に収録)だったということは『唐沢俊一検証本VOL.2』に書いてあるので、詳しいことはそちらを参照していただきたい。
 あらためて読んでみると、呉智英キッチュとしての新左翼』を目当てに『トンデモ悪趣味の本』を手に取ったんじゃないかなあ?などと色々思い出してしまったのだが、実は『トンデモ悪趣味の本』には「バッドテイスト・コレクションの王道」という唐沢のインタビュー記事も収録されている。
 インタビューでは、唐沢がコレクションしている悪趣味なグッズの数々を紹介しているのだが、インタビュアーがデルモンテ平山平山夢明)氏なので、だいぶ人を食った内容になっている。で、その中にこのような一節がある。『悪趣味な本』P.233より。

平山○ センセイはバッドテイスト物のコレクターとしてブイブイ言わせてらっしゃるそうなので、何が見られるか今日はズキズキしてるんですよ。


唐沢○ いや、本格的に収集しはじめて二年ほどですから、そんなに凄くはないですよ。

 「二年」というと1994年から集めはじめたわけか。何がきっかけだったんだろうなあ。もともと奥さんのソルボンヌK子の方がその手の趣味の持ち主で唐沢もその影響を受けたのではないか?という説も聞いたことがあるが、その可能性もあるのかもしれない。本人はあまり好きじゃなかったのかもなあ。
 では、唐沢が紹介しているコレクションを以下に挙げておこう。


『大陰茎人』(小説。『カラサワ堂変書目録』でも紹介されている)
平田弘史『つんではくずし』
“Bloody Visions”(大量殺人鬼のトレーディング・カード)
“Coloreds Only”(黒人差別カード)
“Faces of Death”(死体写真のトレーディング・カード)
“Animal Freaks”(奇形動物のトレーディング・カード)
“Basic Autopsy Procedure”(米軍の死体解剖ビデオ)
“The Terror of Tiny Town”(小人俳優主演の西部劇)
“I am Not a Freak”(ドキュメンタリー)
“The Head”(MTVで放映されたアニメ)
“Adult Animation”(大人向けエロアニメ)
“Asian Erotic Exotics”(外国人向けエロ映画)
『濃縮アロマ汁』(特殊なアダルトビデオ)
『バナナ・ランド』(ゲイビデオ)
『医学要点双書・法医学』『先天性奇形症候群アトラス』(唐沢は死体写真目当てで紹介している)
“Rock'nroll Wrestling Woman VS Aztec Mummy”(メキシコの映画)





YouTubeさまさま。


 …まあ、いろいろと手を出すものだと感心させられる。平田弘史もバッドテイストと言えばそうなのか。インタビューの中で唐沢俊一は『つんではくずし』が発表された年を平山氏に聞かれて答えられなかったのだが、『つんではくずし』は1961年に発表されている。…あ、そういえば、唐沢は美少年にはずっと以前から興味があったようだけどね。
 自分は「鬼畜」に心を惹かれないので(ホラー映画は大好きですが)、唐沢のコレクションが濃いのかどうかはわかりかねる。“The Head”はMTVで放映されていたのなら、別に珍しくないような気はするけれど(どこか『ビーバス&バッドヘッド』っぽい)。唐沢は蔵書を処分してしまったけれども、コレクションはどうなったのか。


 さて、『悪趣味の本』には、切通理作さんの『世界は「OTAKU」を待っている!』という文章も収録されている。そこでは切通さんが欧米のオタク事情に通じている人たちから話を聞いていて、そのひとりとして岡田斗司夫も登場している。岡田が興味深い発言をしていたので紹介しておこう。『悪趣味の本』P.324より。

九〇年代はもう、作り手がカッコイイ時代は終わってるんですよね。もちろん、脚本家である自分もまだ手放してはいませんが。むしろこれからは、作るというよりは、ある作品を自分が評価することによって、その作品に価値を与えるような存在でありたいんです

 それが評価経済社会というやつなのか? …あー、そうか、岡田斗司夫は『トップをねらえ!』の脚本を書いているんだったっけ。「脚本家」とあったので一瞬驚いてしまった。『トンデモ悪趣味の本』が出てから15年経ったが、岡田の目論見が上手くいったかどうかはよくわからない。岡田斗司夫が評価したことで価値が与えられた作品って何かあったかな…。


 それから、日本と海外の作品との関係性を考察するくだりで、岡田はこのようなことを言っている。『悪趣味の本』P.334より。

そういう比較をすると面白いですよね。最近、ハリウッドのアクション映画が宮崎駿の影響を受けていますが、宮崎アニメだって、もともとはリチャード・フライシャーから影響を受けている。私は今度、そういう相互の影響を解説した本を書いてみたいと思ってるんです。

 これはわかりやすい。宮崎駿が影響を受けたのはマックス・フライシャーデイブ・フライシャーの兄弟。リチャード・フライシャーはマックスの息子である。この中に出てくる「そういう相互の影響を解説した本」は『オタク学入門』のことだろう。『トンデモ悪趣味の世界』が出た直後に太田出版から単行本が出ている。

 ミスは残念だが、『世界は「OTAKU」を待っている』は面白い文章なので、興味のある方はぜひ目を通して欲しい。斉藤環戦闘美少女の精神分析』の第3章と読み比べてもいいかも。



うわー、これはなつかしい。完全に直撃してます。

ムチャクチャな本編の後に聴くと不思議と沁みる名曲。


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