唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

大人になれば?

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karasawagasepakuri@yahoo


 唐沢俊一村野守美を「追討」している。そのタイトルが「大人のマンガを描いた男」なのだが、はて、「大人のマンガ」ってなんなんだろう。

大手雑誌のマンガですら、“生き残り”をかけて次々に新手を打って
いかねばならない今の時代のマンガ家たちは気の毒だ、と思う。
マンガに、大人の余裕がなくなっている(マンガに限ったことでは
ないだろうが)。村野守美がその人生の大部分を過した時期のマンガ
界は、まず娯楽の王座としてのマンガの位置は不動とされており、
その安定感を基調にして、多彩な個性、才能の持ち主たちが共存し、
腕を競い合っていた。“強烈なアピールを欠いた”とさっき書いた
のは、村野作品を誹謗したのではない。余裕をもち、ガツガツと
人気取りをせずとも、充分にマンガの世界に、村野守美という城を
築けた時代、大人たちが大人のマンガを楽しめた時代の素晴らしさを
言いたかったのである。

3月7日心不全で死去。69歳。
大人もマンガを読むことが当たり前の時代になった。
なのに、大人のマンガを描いてくれる人がどんどん、いなくなって
いっている。無性に、寂しい。

 「大人たちが大人のマンガを楽しめた時代」っていつのことなんだろう。大人がマンガを読むことに抵抗が少なくなってきたのはごく最近のことなんじゃないかなあ。
 あと、「大人のマンガ」というのがどのようなマンガを指しているのか、やはりよくわからない。個人的に最近の作品で「大人のマンガ」としてパッと思いつくのは、稲見一良の小説を谷口ジローが漫画化した『セント・メリーのリボン』とか。あと、桜玉吉のマンガを読んで「オタクとして年をとること」を意識するようになったので、玉吉さんも自分にとっては「大人」だ。まあ、個人によって「大人」の捉え方が違う以上、何をもって「大人のマンガ」とするか違ってくるのはやむを得ないことだが、大きな書店に出向けば「大人」を感じさせるマンガを見つけられるんじゃないか?とは思う。唐沢俊一は最近のマンガをちゃんとチェックしているのだろうか。それ以前に20歳近く年下の自分から見ても唐沢俊一が「大人」だとは思えないのだけど。
 それから、現在の漫画業界はいまだかつてないほど「多彩な個性、才能の持ち主たちが共存」しているのではないだろうか。『このマンガがすごい!2011年』(「ニュー速VIPブログ」を参照)のランキングを見ても、現在の漫画の多彩さがよくわかる。
 …しかし、マンガ業界の激烈な競争を今更否定的に語られてもなあ。俺だって小学生の頃からいわゆる「ジャンプ・システム」はなんとなく知っていたし。だいたい業界内で激しい競争があるからといって作品から余裕が失われるとは限らないのではないか。…よくよく考えてみると、これは「ガンダム論争」の時と同じ理屈である(2008年11月20日の記事を参照)。

しかも、「ゴジラ」の一応の成功がその後の怪獣映画を執拗なまでにヌイグルミ操演に固執させる結果を招きます。ヌイグルミ方式はどうしても怪獣の形態のバラエティに限界があり、しかも人形アニメ等の手のかかる特撮にくらべ比較的量産がきくため、いきおい似たようなキャラクターの安易な乱造につながっていく。脚本家だって、毎回頭をひねって凝ったストーリーなど考えられないし、ギャラだって安いから、いいかげんに書きなぐる。それだけだといかにも安っぽくみえていけないから、時折思い出したかのように平和だの愛だのといったテーマをちらばして(原文ママカッコウをつける。

本質的には30年前と変わっていないということなのかな。また『まんが極道』でネタにされないか心配になってしまう。「昔はよかったくん」とか。


 「最近の○○は昔に比べてつまらなくなった」という話をする人は唐沢俊一に限らず多くいるけど、そういう人は自分から新しいものを探したり、埋もれた過去の作品を発掘した方がいいと思う。世の中には面白いものがたくさんあるのだし、どうせなら単に印象を語るだけでなく過去と現在とをしっかり比較してほしいものだ。
 なお、村野守美の訃報に接した人々の反応については、このTogetterを参照されたい。




大人になれば

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