唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

鋼鉄の巨人。

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karasawagasepakuri@yahoo


 唐沢俊一鶴岡法斎『ブンカザツロン』エンターブレイン)に収録されている唐沢俊一のコラム「唐沢的メルクマールFILES」その10、「確か、噂の真相にも……」(P.185)より。南方熊楠の男色研究をテーマにしたコラムである。

 唐沢俊一ホモ疑惑というのはデビューしてからこっち、ずっとつきまとっている。鶴岡は中野貴雄のビデオに出演したとき、共演の女優に「ところで何回、尻を貸したんですか?」と訊かれたらしい(私の趣味はもう少しいい)。

 唐沢俊一の好みのタイプは市橋達也らしい。趣味がいいのかどうかはわからない。

 一般の人間にとって、ホモなどというものは大いなる嫌悪の対象にしかならないのだろうが、残念ながら、私は雑学オタクとして、好奇心の方が上回ってしまう。知人友人の中には真正のゲイも多いし、そのテの本や写真集も多々、買い集めていることは確かだ。
 しかし、“ホモに興味があるからホモだ”、という短絡思考は、オタクの彼岸にあるものだろう。ならば猟奇殺人に興味のある者は猟奇殺人者か、トンデモ本を好んで読むのはトンデモさんなのか。

 後半部分については確かにその通り。だからこそ、唐沢が同性愛に関して「興味ありませんよ!」と何度も何度も言い訳しているのが不思議で仕方がないのだ。「唐沢的メルクマールFILES」の中だけでも2回目だもの。ドラッグでも鬼畜でも言い訳してないのにね。

 熊楠のような知の探究者にとって、性という神秘的な分野の、フリンジにいたるまでを知りたい、探りたいという欲求は極めて大きかったのだろうと思える。男色という、世界の文化の中で大きな影響力を占めている現象の謎に迫りたい、という希求心が、彼をして膨大な男色文献を渉猟させ、後世に“熊楠先生は稚児趣味”という評判を残してしまったのではないか。それを思うと、私がホモ疑惑をいい立てられるのも、名誉という気がしないではない。

 その割りには、唐沢が性について語ると妙に幼稚なのが気になるのだが…。少年愛についての見解にも疑問が多々ある(2010年7月3日の記事を参照)。


 もうひとつ、「唐沢的メルクマールFILES」その12(P.209)から。このコラムではアイアン・ジャイアントがテーマになっている。

 私ははじめ、年期の入ったオタクたちが、このシンプルなストーリィの作品にみんなコロリといかれてしまい、劇場で涙を流したのは、われわれの世代がひたすら先端を行くことを目指し、やれガンダムだ、マクロスだ、エヴァンゲリオンだ、と、“新しさ”“ハードさ”“高度さ”を常に希求していた末に、その方向性を見失いがちだったこのごろ、ちょっとそのトンガリ指向に目をつぶり、ノスタルジーの心地よさに身をひたすだけで、ここまで優れた作品がまだ、生み出せるのだという、忘れていた感動に気がつかされたということによるだろう。

 「トンガリというのが80年代チックだが、それはさておき、『アイアン・ジャイアント』に批判的なオタクもいる。たとえば眠田直は批判的だったと記憶しているし(「オタク座談会」での発言より)、「裏モノ日記」2000年2月9日でも「不評」だったと書いてある。ただ、『アイアン・ジャイアント』にのれるかどうかについては、ノスタルジーはあまり関係ないと思う。個人的なことを言わせてもらえば、自分と一緒にDVDを観ていた妹が感動して泣いていたのを思い出す。

 ベクトルを後ろに向けるということは、決して後退を意味するのではない。これまで未来にばかり向けていた目を過去にも振り分ければ、われわれにとっての世界が、一気に二倍に広がるのだぞ、という、コロンブスの卵的な発見を、この作品は与えてくれた。そう、われわれには豊かきわまりない過去がある。その過去を余人よりはるかに広く、深く味わえる者こそ、オタクに他ならない。広大な過去の遺産の宝庫への、オタクは最上のナビゲーター足りうるのである。古い酒を新しい革袋に盛ることの大事さを、日本のネオフィリア(新しもの依存症)的クリエーターたちは勉強してもらいたいものだと思う。
 残念ながら、まだ日本においては、この『アイアン・ジャイアント』にインスパイアされた作品は生まれていない。しかし、近い将来、必ず、このような優れた作品が日本にも出現するであろうことを私は信じて疑わない。

 全くの偶然なのだが、『ブンカザツロン』が出たのと同じ2001年4月に『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』が公開されている。唐沢は『オトナ帝国』に熱狂するのだが(詳しくは「トンデモない一行知識の世界」を参照)、「勉強してもらいたい」という上から目線が嫌だなあ。唐沢俊一「ネオフォビア」のような気もするけど。
 あと、「古い酒を新しい革袋に盛る」とあるけど、これは「新しい酒を古い革袋に入れる」という言葉を踏まえたものなのかどうか判断に困る。酒を袋に盛りはしないと思うが。『アイアン・ジャイアント』は「新しい革袋」なのか?とも思う。


 …今までいろいろと論じてきたが、実はこのコラムはタイトルの時点で終了している。いわゆる「出オチ」ってやつ。…そう、このコラムのタイトルは「敵はギロチン大王じゃなくて」である。
 …えーと、もしかしてそれって、「ギロチン帝王」のこと? 『ジャイアントロボ』の。『アイアン・ジャイアント』とかけたんだろうけど。


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