唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

ミステイク・リバー。

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karasawagasepakuri@yahoo


 日経エンタテインメント』2002年4月号の特集「あの人の人生を変えた100冊」で唐沢俊一『あの人はこんな本を読んでいた!』というコラムを書いている。

 人は人格に関わらず本を読む。読んだからと言って必ずその本の影響を受けるわけではない。世界の名著を読破した人間がダメ人間にしかならない例などいくらでもある。

 また自己批判? …あ、でも、唐沢俊一は「世界の名著」を読んでいないから違うか。

だから基本的に人と本の取り合わせは勝手放題なのだが、中にはどう考えても取り合わせの悪い本とその読者がある。
 これまで私が見聞きしたうちで一番笑ったのは、フィクションであるが『愛と誠』(梶原一騎原作)の、花園高校を影で支配するスケ番・高原由紀の愛読書がツルゲーネフの『はつ恋』だ、という設定だった。梶原センセイ、あまりにあざとい。

 どうして高原由紀が『はつ恋』の中にナイフを仕込んでいることをスルーするんだろ。そこが一番面白いのに。

 戦後の名宰相吉田茂は、愛読書を訊かれて『銭形平次』と答え、当時の識者からさんざ叩かれた。いやしくも一国の首相たるべきものが捕物帳などを愛読するとは、と。当時はこの取り合わせは大変に非常識なものだったのだ。しかし、今聞くと、これは実に豪放磊落(らいらく)だったワンマン総理のイメージに合致する。宮沢元総理が嫌味のように経済学の本を原書で読んでいるのを見せびらかしていたのに比べ、いっそ潔い。

 吉田茂の話は麻生太郎と比較するとなかなか興味深いが、『銭形平次』=豪放磊落、というのは疑問だ。それ以上に気になるのは宮沢喜一を叩いていること。「嫌味」「見せびらかしていた」って、被害妄想なんじゃないかなあ。唐沢俊一は「原書で読む」=エラい、というイメージを持っているのかもしれない。

ちなみに、アメリカではこういう娯楽読物は政治家の基本読書傾向らしく、ケネディは『007/ロシアより愛をこめて』を愛読書リストに入れていたし、クリントンはミステリー好きで有名で、デニス・ヘイレンやジャン・バークといった作家の本を好んだとか。小泉総理もひとつ、京極夏彦宮部みゆきなどを読んでごらんになったらいかがだろうか。

 ここで「あれ?」と思った。「デニス・ヘイレン」というのはデニス・ルヘイン(Dennis Lehane)なんじゃないか? ためしに“Dennis Halen”で検索してみてもミステリー作家らしき人物には行き当たらないし、唐沢同様「デニス・ヘイレン」と誤記しているケースがネット上で結構見つかるのだ。かつては「デニス・レヘイン」と表記されていたから、それで「ヘイレン」と間違えてしまったのかもしれないけれど。名前を口に出していればミスを防げたかも。
 なお、唐沢はアメリカ大統領とミステリー小説の関係についてガセを書いているので、「トンデモない一行知識の世界」を参照していただきたい。それから、小泉純一郎加藤廣信長の棺』を読んでいたことはよく知られている(単行本が発売されたのはこの記事の1年後)。


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