唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

完パクする快楽。

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karasawagasepakuri@yahoo


 来週の『スクール革命!』唐沢俊一が出演するとのこと。「都道府県の常識・非常識」の講師をやるらしいが、徳川家康は駿河生まれとした人に講師をやらせていいものか。
「さすがは唐沢先生だ。そんな小学生レベルの間違いはなかなかできるものではないぞ」
駿河つながりですね。みゆきち最高。個人的には『男はつらいよ』テレビ版最終回に関するミスもショックだったけど。


 では本題。今回は『新刊ニュース』2006年6月号に掲載された唐沢俊一酒井順子の対談『観察する快楽』を取り上げる。対談の模様については「裏モノ日記」2006年4月11日を参照。

唐沢 酒井さんの『負け犬の遠吠え』を読ませていただいて思ったのは、酒井さんは、普通に生活していたら気づかないところを、言葉にしたり、形にするのがすごくうまいなと。僕はそういうことは得意ではないので、しようがないからブッキッシュになってしまって。


酒井 そうなんですか。

 一見どうということのないやりとりだが、実は『社会派くんがゆく! 逆襲編』(アスペクト)P.86〜P.87で、唐沢俊一はいわゆる「負け犬論争」についてボロクソに言っているのである。

よくわかんないんだけど、どんなに社会的地位が向上していようと女は結婚してなきゃ“負け犬”なんだから、女は全員、昔ながらの堅実な主婦に戻れ! って言いたいわけ? それとも“負け犬”でもいいから、出世した方が勝ちだってこと? オレなんか、私生活がどうであろうと、儲かったヤツの方が勝ちだと思うけどね。

つまり、フェミニズムジェンダーフリーも“負け犬”も、ちょっとインテリがかった女性ライターや女性編集者が勝手に作り出した言葉であって、世のたいていの女性はそんなこと気にしちゃいねえんだよな。

それで、いい買い物ができたってだけで、主婦は一日の充足感が得られる。それだけで“勝ち組”になれるもんなのよ。これが、地に足の着いてないままで未来ばかり見てる男性とは違う、生活に密着した女性の強みだったんだけどね。

結局、母性を否定して分不相応な幻想を持つようになっちゃったのがダメ。あなたの考えてる“勝ち犬”ってなんなんですか? それになれるとあなたは幸せなんですか? ってこっちが問いたいよ。

 『社会派くん』での発言と酒井順子に面と向かっての発言とでは違いが生じるのは当然なのだが、それにしたって落差がありすぎだ。一連の発言を見ると、唐沢のフェミニズム嫌い」を感じる。男の俺(2ちゃん唐沢スレのスラング)でもごはんがおいしかったり本が面白かったらそれだけで「勝ち組」になれるんですけど。「分不相応な幻想」というのは一体なんなのか。男女観が雑だなあ、と思わざるを得ない。
 唐沢が『負け犬の遠吠え』を読まずに『社会派くん』であれこれ言っているのは明らかで、酒井順子は「昔ながらの堅実な主婦に戻れ!」とは主張していないし、「勝ち犬」になるべきとも主張していない。また、酒井は唐沢の「儲かったヤツの方が勝ち」という主張にも異議を唱えている。『負け犬の遠吠え』(講談社)P.10〜P.11より。

 確かにお金をたくさん稼ぐ人は皆から「すごい」と言われて注目されがちであり、お金持ちに憧れる人も多い。けれどお金を稼ぐ人は「すごい」とは言われるけれど、そのお金が宿命的に持っている下品さ故に、「偉い」とは言われません。「偉い」のはやはり、お金だけでは育たない有機物を生み出すことができる人なのであり、だからこそ江戸時代の士農工商という序列においても、農は商より偉いのだと思う。

 そういえば、唐沢俊一には子供がいないのだった。ただ、『社会派くんがゆく!』の対談は2004年2月に行われているので、唐沢もその後に『負け犬の遠吠え』を読んで考えを改めたのだと思う。…よもや読みもしないで適当なおべっかを言っているはずもなかろう。

唐沢 基本的には人間が好きなんです。人間の生態を取材するのが我々物書きだと思っているんですけど、そのデータを自分の見聞の中から集めることがなかなかできなくて、どうしても本に頼ってしまうんです。

 それでとうとう盗用癖が身についてしまったのか。確かに唐沢の体験談にはおかしなものがいくつもある。「『宇宙戦艦ヤマト』はわしが育てた」は語るたびに矛盾が生じるし(詳しくは『検証本VOL.3』を参照)、ガールフレンドはみんなラブコメチックな発言をするのであった(詳しくは2010年2月5日の記事を参照)。それだけでなく、藤岡真さんによれば、弟である唐沢なをきの体験談までもパクっていたというし、他にも他人の体験談をパクった疑惑がある(詳しくは2009年6月3日の記事を参照)。

唐沢 僕は暇があると、明治から現代までの新聞記事を読んだり、時には江戸時代のものも読んだりしますけど、読んでて一番浮かび上がりにくいのが一般の人なんです。庶民の生活はどうだったのかということです。

 「明治から現代までの新聞記事」といったらかなり膨大な量になるのでは。一体どこに保管しているのだろう。おそらくネット上でデータベース化されたものを読んでいるのだろうが、そんなに読んでいるのに歴史が苦手というのは困るな。縄文人が古墳を造った」「第二次世界大戦は1941年に始まった」だもの。

唐沢 僕も若い時に書いた日記を読むと…。


酒井 すごく恥ずかしかったりしませんか。


唐沢 淡々と書いていればいいものを、詩を書いてることもあったりして、今でも顔が赤くなりますね。さりとて、そう簡単には捨てられない。


酒井 そうなんです。


唐沢 死んだらすぐに焼却処分するようにと、遺言を書いておかないといけませんね。


 (挙手しながら)はい! はい! その日記ぜひ読ませてください!
 唐沢俊一の個人史につきまとうたくさんの謎を一気に解き明かすことができるに違いないので。『裏モノ虫けら日記』としてアスペクトか楽工社から出版してもいいのでは…と思ったけど、『ぴあ』への投稿も都合の悪いところはカットしちゃってたから、やっぱり無修正版を読みたい。

唐沢 僕も取材と称して取材するのは苦手なんです。雑談から引き出すのは好きなんですけど(笑)。


酒井 そうは見えませんよ。とてもお上手そうな感じがします。


唐沢 僕は自分に自信がないので、果たして僕の質問は的を射てるんだろうかと考えてしまう。相手がちょっとでも口の端をゆがめたりすると、「変なことを聞きやがって」って思ったんじゃないかと考えちゃう。まあ、やらざるを得なくて経験だけは積んできましたが、やっぱり今でも苦手です。

 自分が唐沢俊一を嫌いになれないのは、こういう風に気の弱さをポロッと出すことがあるからだ。実際気が小さいのだから、無理して虚勢を張らなきゃいいと思うし、ウソをつき通すこともできないのだから、もっと正直になるべきだと思う。

酒井 唐沢さんが、この世界に入られたきっかけはどのような感じだったのですか。


唐沢 そうですね、実家の薬局を継ぐのが嫌だったからかな(笑)。その嫌な現実から逃げる為に、親には物書きになったとか、デビューが決まったとか、そういうちょっとしたうそをついてました。ところが、うそをついていたら、まわりの人から「唐沢はどうやら物書きらしい」という噂がたつようになって、それなら実際に原稿を持ち込まなくてはと考えて原稿を書いているうちに、本当に物書きになっていました。


酒井 なるほど。


唐沢 だから、今こうやって本を書いたりしているのは、高校生の時についた小さなうそというか、妄想のようなものがきっかけです。

 リアル「うそつきくん」キター!
 …まさか本人が認めていたとは思わなかった。「うそつきくん」と違って本当にデビューしたのは偉い、とも思ったけど、「うそつきくん」にも漫画家の弟がいたら話が違っていたのかもしれない。

酒井 エッセイにしても本当のことが書いてあると思われる読者が多いんですけど、実際はそうでないこともありますからね。


唐沢 本当のことだけを書いていたらもちませんよ。


酒井 文中に「と思ったのですが」なんて書いても、全然思っていなかったり(笑)。


唐沢 僕も「こういうふうなことをよくやりますが」と書いても、そんなにやってなかったりする(笑)。まあ、その辺はテクニックですね。


酒井 うそとか妄想って、ある種の逃げ道のような気がします。


唐沢 いや、人間、逃げ道を用意しておかないと生きていけないし、だれもがそういう逃げ道のようなものを持っていますよ。だから、話の中に多少のうそや妄想が組み込まれているのは当然のことだと思うんですけど、わざわざそれを指摘する人がいて、「この間、こう言ったじゃない」ってクレームをつけてくる。そういう人とはあまりつき合いたくない(笑)。


酒井 つついても、その先には何もないのに。


唐沢 うそだと認めさせて何になる、ということですよね。大体、うそをとっちゃったら物書きの大半は職を失うんじゃないですか。


酒井 そうでしょうね。

 …まるで今日の状況を予見したかのような発言だなあ。逃げ道を塞ぐような真似をして申し訳なく思う。…とはいえ、自分のような素人がちょこっと調べただけで塞がってしまうような逃げ道しか作れないのが悪いとも思う。
 このやりとりで気になるのは、唐沢だけでなく酒井順子も「うそ」「妄想」を許容していることだが、おそらく唐沢と酒井とでは想定している「うそ」「妄想」のレベルが違うのではないだろうか。仮にもプロのライターが「『宇宙戦艦ヤマト』のブームは札幌から起こった」とか「大学時代はパチンコ・パチスロの鬼だった」などという嘘をつくとは、酒井も考えていなかったのではないか。ましてや伊藤剛さんを「トンデモ」に仕立て上げたことを許容したりはしないだろう。
 それにしても、YKS(やっぱり唐沢は凄い)。「話の中に多少のうそや妄想が組み込まれているのは当然のこと」と本気で思っているのなら、自分としては「今すぐ筆を絶って治療に専念してくれ」と言うしかない。…責任能力を有しているのかも疑わしくなってきたよ。だいたい、間違ったことを書いていたらクレームをつけられて当然なのに、どうしてクレームをつける方が間違っていると言うのかわからない。

唐沢 僕は最初から会社勤めは向かないと思ってました。でも、東京から都落ちをしたことが一回だけあって、その時は地方の病院でパソコン入力の仕事をしてました。しばらくすると、その病院の忘年会とか、懇親会で楽しく酒を飲んで、医薬品業界の愚痴とか悪口で盛り上がっている自分がいるのに気がついて、「あっ、いかん、いかん」って(笑)。で、仕事をサボって持ち込み用の原稿を書くようになって、再度のデビューとなりました。

 唐沢は札幌に都落ちしていた時のことをあまり語っていないから、これは貴重な記録なのだが、「再度のデビュー」って何? 『ぴあ』や「アニドウ」の会誌に投稿したのをキャリアに含めているのか?

唐沢 僕は物を書いたり、たくさんの古本を集めて、本の中に埋もれた生活を送っていますが、それは「おまえは平凡な市井の人間にすぎない」という声に対抗するためでもあるんです。でも、酒井さんの本の中で「負け犬」と言われている人は、堂々と日常を暮らしているじゃないですか。それって、すごく強いことだと思うんです。

 なるほど。唐沢は「何万冊もの蔵書を持っている」「プロのライターである」ということで「自分は特別な人間なんだ」と思っているわけだ。…つくづく面白いと思うのは、最近の若者は「個性が何よりも大事だという教育を受けている」と何回も批判している唐沢こそが個性にとらわれていることだ。もしかすると、あの格好にも「平凡」に対抗するねらいがあるかもしれない。…でも、「自分は特別な人間なんだ」という思い込みは中学生で卒業したほうがいいような。唐沢俊一は良くも悪くも十分特別な人間ですよ。良:悪=2:8くらい?

唐沢 昔、UFOとかオカルトの会に行った時、みんなの話してる内容に対して「それはちょっと変じゃないですか」って反論したら、その場の和が乱れてしまったことがありましたな。

 これは「オタクアミーゴス会議室」でも「と学会」でもあった話だな。

唐沢 悪口というのは難しくて、観察眼がなくちゃいけない。それに語彙と情報量。あと、ねたみとか、そねみに聞こえないように客観性も必要です。人間が観察できて、それを表現できて、しかも自分の中で客観性を持つことになるわけだから、人の悪口ばかり言っても発展性がないとか、進歩がないとか思うかもしれないけど、案外意味があったりするんじゃないかと僕は思います。(以下略)

 「OLD PINK」氏への罵倒を見る限り「語彙と情報量」は一応あると思う。使い方を誤っているような気もするけど。「観察眼」は加藤和彦の「追討」での「あ、惚れたな」を見る限りない。「客観性」は栗本薫の「追討」で見事にやっかんでいるのでこれもダメ。…結論としては、唐沢俊一は自分が示した条件を満たせていない、と判断せざるを得ない。

唐沢 (前略)でも、電車の中とかで他人の悪口を耳にすると、つい聞き入ってしまいませんか。どういうふうに言ってるんだろうって。でも、若い人はダメですね。


酒井 まだまだキレが甘いみたいな。


唐沢 一言ちょこっとついて終わってしまう。悪口を言うからには、なぜそいつが悪口を言われる人間なのかを、論理的に伝えないとダメです。

 悪口についてまで若者批判するのか。…でも、若い人が言う悪口はかなりキツいから唐沢が耐えられるかどうか心配になる。

唐沢 僕は最近、陰口の復権ということを唱えているんです。ただ、陰湿なのは言ってて嫌になるからダメです。勢いよくポンポンと出てくる悪口は、聞いてもそれほど嫌な気持ちになりません。時々、僕の悪口がネットなんかに出ますが、あまりにうまいと「お見事!」と言いたくなります。


酒井 「そのとおりです」なんて思うことは結構ありますね。


唐沢 陰湿な悪口は嫌だけど、本当にうまい悪口は聞いてみたいと思うでしょう。結局、そういうことであぶり出されるその人の人格というのがあると思うんです。でも、今の人たちって個性、個性と言うわりには、自分の悪口に過敏になっている。ちょっとでも人の悪口を言うと、「そんなことを言うなんてひどい」とか言い出す。


酒井 今って悪口を言わないことが個人を尊重することになってますよね。


唐沢 そうなんです。僕は悪口、陰口を言われるのは、逆に言うと、どれだけ面白いことを言われるか、それこそ本当に自分が個性的な、ほかの人間と同じことを考えていない証拠だと思うんです。


酒井 私も自分の悪口が書いてあるのを見ると、確かにゾクゾクします。


唐沢 ですから、陰口を復権させることで、その人の個性、魅力をどんどん浮き上がらせていけば、きっともっと楽しい世の中になるんじゃないかと思っているんです。

 …「2ちゃんねる礼賛」ですか、これは? 
 しかしまあ、自分が悪口を言うのが好きだからってここまでこじつけるのか。「○○(バカ)」という最高に陰湿な悪口を言っていた人間が「陰湿な悪口は嫌」と言ってるのが面白すぎて涙が出てくる。悪口はともかくギャグの才能はあると思う。


以上! 

 やっぱり対談だと抑えがきかずにいろいろ喋っちゃってる。リアル「うそつきくん」には笑ったけど、その後でだんだん怖くなってきた。唐沢なをきの意図が知りたいような、知りたくないような…。


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負け犬の遠吠え (講談社文庫)

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社会派くんがゆく!逆襲編

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戦中派虫けら日記―滅失への青春 (ちくま文庫)

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