唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

ガロの弾痕。

情事の最中のターゲットを襲う→ビデオテープを見せる→金庫を開ける→ペースメーカー型爆弾を埋め込む→嘘でない証拠に愛人を爆破する→新世代の抗生物質「ホスミシン」と患者手帳を渡す→(最初に戻る)


 『フィギュア王』での原稿使い回しは大藪先生をリスペクトしていたのかもね。


 冬コミの原稿をやっと仕上げました。当初の予定とはだいぶ違ってしまいましたが、書き下ろしをかなり入れたのでブログの読者にも新鮮な内容になっているかと思います。ふだん自分は

「いや〜、唐沢ちゃん、またパクっちゃったの? ンモー、ダメだって、ガセばっかり書いちゃあ」

という感じで検証しているのですが、今回の本を書きながら「この人大丈夫か?」と素になってしまったり、思わず怒りに震えてしまったり、結構精神的にキツい思いをしました。詳しい内容はコミケ直前にお知らせします。


 さて、冬コミ用の本を書いているうちに新しいネタをいくつか発見してしまったので、紹介していきたいと思う。
 今回紹介するのは1991年発行の『ガロ曼陀羅(阪急コミュニケーションズ)に掲載された唐沢俊一『読者がいけねえ』という文章である。P.202〜203より。

 柚子もいいが香りがいけねえ、というのは与太郎のセリフだが、僕にしてみれば“『ガロ』もいいが読者がいけねえ”のである。作家がこういうことを言うのが編集部のミナサンに迷惑をかけるのはわかっているが、本当だから仕方がない。ムカシ、『ガロ』の読者欄、あれが大の嫌いであった。狭量というか依怙地というかヘンクツというかわがままというか無用の論争好きというか家庭が不幸というかそれとも他になにか言いようがあるか知らないが、とにかくやかましい連中揃いで、それも理論として首尾がととのっているならともかくも、殆どが感情論、やれ誰ソレの作品には真摯な姿勢がないの、あんな作品を載せるとは編集部の見識を疑うの、何某という作家は結局のところニセモノにすぎないの、○○よかかる駄作を描き続けるよりは、いっそ筆を折ることを勧めるのと、まあ百家争鳴、喧々囂々、われこそは時流に迎合せぬ真のマンガ読みなり、と信じこんでいるヤカラが出放題をヌカして、読むたびごとにハラが立ったものである。以前、男色家向けの雑誌を読んでいたらそこの投稿欄がこれとまったく同じ感じだったのに笑ってしまった。毛ズネのモデルは使うなとか外人がいいとか中学生以上に興味はないから載せるなとか、まるで自分の趣味にあわせてその雑誌が存在しているかのような言い草をしているのである。

 ブーメランも大概にしてほしいものだ。唐沢が文句を言っている「読者」なるものは、『ぴあ』やアニドウの会誌に投稿していた時の唐沢そのものじゃないか(『検証本』VOL.0を参照)。「手前の阿呆タナにあげて」なんか、まさしく「自分の趣味にあわせてその雑誌が存在しているかのような言い草」だもの。唐沢も「家庭が不幸」だったのかどうかは知らないけれど。

続き。

 思うに彼らは世間からは疎外されている分、この雑誌だけがわが味方、という思い入れが強く、それが昂じてここになら何を言っても許される、という、生みの母親にダダをこねてみせるような甘えの快感に酔っているのだろう。どうにも困ったものである。

 いやー、完璧な自己分析だなあ。さすが、実際に投稿欄を荒らしていた人の言うことは違うね。惚れ惚れする。もっとも、当の本人は「自己分析」になってしまっていることに気付いてなさそうなのだが。

 続き。

が、不思議なことに、こういう連中が跋扈していたときが、なにか雑誌が(ホモの方でなく『ガロ』であるが)一番輝いていたような気がするのである。雑誌のもつエネルギーのバロメーターは、こういった勝手な意見に対しどこまで包容力を示せるか、ということなのかも知れない。最近の読者欄には、妙なモノワカリのよさというか、『ガロ』に対するいたわりすら感じられる。その心映えは美しいが、はたして『ガロ』自身のためになるかどうかは疑問である。勝手を言うのは読者の権利なのだ。もっともっと、好き勝手を言うヤツが出てきていいだろう。それを期待しているのである。もちろん、僕の作品に対しては別であるが。

 確かにそうなのかもしれない。他人の意見に耳を傾けることにはかなりのエネルギーが要る。自分は常々唐沢俊一にブログに移行することを勧めているのだが、今の唐沢はコメントを読むことに耐えるほど体力が残っていないのではないか?などと思わずいたわってしまったり。冬コミでも逢ってくれるのかどうか。


 …というわけで、ブーメランっぷりに笑ってしまったのだが、本文だけでなくプロフィール欄にもなかなか凄いことが書かれている。

1958年5月22日、札幌生まれ。双子座。演劇・芸能畑を経て、映像プロデュース業にも足をつっこむ。舞台公演のプロデュースをやっていたらお金がなくなりましたので、親をごまかして資本金を出させ、ビデオ・テレビの企画会社を設立しました。ナント“社長”です。ムカシのマンガでは社長というと必ず葉巻をくわえてフンぞりかえり、「チミぃ、いかんよ」なんぞ言っていたように記憶しますが、なってみるとアチコチ走り回って頭をさげ続けねばならず、いいことはあまりありません。「何でもええ、あんたの好きなもんを作ってみぃ」とか言って10億くらいポンと出してくれる方を募集中です。

 …これはどういうことなんだろうなあ。唐沢俊一は伯父の小野栄一のプロダクション(オノプロ)の社長を引き継いで伯父の作った借金の返済に追われた話をよく書いていたけど、ここでは親にお金を出させて会社を作ったことになっている。「映像プロデュース業」というのも一体なんなのか。2年以上検証していても、こんな具合に新たな謎が出てくるのだから、YKS(やっぱり唐沢は凄い)。

※ 藤岡真さんのご指摘に基づき追記しました。


※ 表現を一部訂正しました。


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餓狼の弾痕 (角川文庫)

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ガロ曼陀羅

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ドカベン (1) (少年チャンピオン・コミックス)

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