唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

忍者無芸帳。

唐沢は遠くから来た。そして遠くまで行くのだ。


 唐沢俊一『B級学【マンガ編】』(海拓舎)所収の「『忍者武芸帳』から『エヴァ』へ至る道」では、『新世紀エヴァンゲリオン』は大島渚監督の映画『忍者武芸帳』に影響を受けているという話を展開している。
 庵野秀明監督は大島渚作品に影響を受けているようだから(かつて対談したこともある)、そういう考え方も有るのかなあ、と思ったものの、ちょっと外している点があるので指摘しておきたい。P.240〜241より。

 中でも印象的なのが映画の半ばでストーリーに挿入される、影一族成立の逸話のところだろう。なにしろ、原作そのままに
忍者武芸帳巻外・影一族特集」
 と、堂々とタイトルが入って、それまでの話と独立した逸話がはじまってしまうのだ。そして黒地に大きな明朝体で、
「影一族 成立の歴史こそ」
「戦国の世に 生まれ育った 人間の」
「哀しみと たたかいの 物語である」
 と、3枚に分けられたスポークン・タイトルが入る。折れ曲がってこそいないが、ここで今なら『エヴァンゲリオン』最終2話を想起しない観客はおるまい。

 『エヴァンゲリオン』のクレジットが市川崑作品(『犬神家の一族』など)に影響を受けたものであることは有名である。L字に配置された極太明朝体の文字を見て『エヴァ』を思い出すか市川崑を思い出すかで世代が分かれるかもしれない。…つまり、「折れ曲がって」という部分こそ、『エヴァ』と市川崑の共通点なのに、どうしてそこをスルーするのか?というわけである。純粋に知らなかったのか、持論のために無視したのか。


 もうひとつ指摘しておこう。P.237より。

 この作品、主なキャラクターの声はいつもの大島一家の俳優たちがアテている。中でも影丸戸浦六宏、蛍火の小山明子が出色の出来だが、特筆すべきはゲスト扱いでナレーションを担当した小沢昭一だろう。

 蛍火の声を担当したのは松本典子小山明子明美の声を担当している。


 さて、ナレーションの話が出ているが、『忍者武芸帳』と異なり『エヴァンゲリオン』にナレーターがいない件について唐沢俊一はこのように書いている。P.242より。

 作品の相違点を指摘すると、『エヴァ』にはナレーションが欠けている。しかし、先ほど例としてあげた、ナレーションの域を越えて人格を持ってしまい、自らも作品の先を見通せなくなった語り手の役は、実は庵野秀明監督本人が、さまざまなマスコミ取材において演じきっているのである。

 ナレーションとコメンタリーは違うと思うけどなあ。いかにもこじつけだ。



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