ニンニキ2期2期。
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『私のこだわり人物伝 2006年8月-9月』(NHK出版)P.142、144より唐沢俊一の発言。
あえていうと、一九七〇年(昭和四十五)に円谷英二がこの世を去ってから、それ以降のウルトラシリーズというのは、明らかな変質を感じました。それは「ウルトラマンをいじるな」という暗黙の了解が現場にのしかかっているような気がしたからです。いわば円谷英二の遺訓が実体の伴わないものとして、現場を縛るようになってしまったんではないかと。技術を継承した人、アイデアを出す人はたくさんいても、それにOKを出す人がいない。これはどの世界においても、偉大なカリスマ亡き後の宿命ともいえることでした。
特撮の何が本道なのか、という答えはないはずです。円谷特撮の王道である着ぐるみこそが正しいやり方であって、コマ撮りやCGは邪道かといえば、そんなことはないわけです。手法はなんであれ、楽しくて夢のある、面白い映像を作るということがすべてじゃないか―“特撮の神様”は、いまもそう語りかけている気がします。
いわゆる第2期『ウルトラ』シリーズについて、「ウルトラマンをいじるな」という論旨の批判がなされることはよくあるけれど、実際「現場」の方ではさまざまなチャレンジをしていたと思う。「ウルトラ兄弟」の設定が作られたのは2期からだし、「日本名作民話シリーズ」だってやっているし、ハヤタと郷秀樹のキャラクターを比較しても…、違いを挙げていくとキリがないからもういいか。「OKを出す人」といえば、橋本洋二というプロデューサーがいたしなあ。だいたい「ウルトラマンをいじるな」という見方に縛られていたのならマンネリに陥ることはあっても「変質」はしないのではないか。唐沢俊一がどれだけ第2期『ウルトラ』シリーズを観ているのかも気になるところだ。第2期は最近評価が高くなっているから、第1期だけ持ち上げておけば良し、というわけにはもういかないのだろう。『ウルトラマンメビウス』にも第2期へのオマージュがたくさんあったしね。
「〜をいじるな」というのは見る側の意見であって、作る側は常に何かしら新しいことをやろうとしているのではないだろうか。過去のコピーだけやっていたってしょうがないわけで。白倉伸一郎プロデューサーは「仮面ライダーの必殺技はキックでないと」とよく言われているらしいし、岡田斗司夫が昔「バンダイの社員全員が“『ガンダム』はこうあるべき”という一家言を持っている」と冗談を言っていたっけ。
「特撮の何が本道なのか」以下は真っ当な意見ではあるけど、かつて『ぴあ』で円谷特撮を「オクルミ怪獣共の大量生産」などと罵倒していた人(『検証本』VOL.0を参照)に言われてもなあ、と思う。そこらへんをきちんと総括してほしい。
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