唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

『社会派くんがゆく!』から学んだこと。

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・初めての方は「唐沢俊一まとめwiki」「唐沢俊一P&G博覧会」をごらんになることをおすすめします。
・1970年代後半に札幌でアニメ関係のサークルに入って活動されていた方は下のメールアドレスまでご連絡をお願いします。

karasawagasepakuri@yahoo.co.jp

 えーと、前回のエントリーで村崎百郎の死について触れたら、批判している人がいるのだけど、俺、何か失礼なことを書きました? 文句を言われてもその理由がわからないので困ってしまう。村崎百郎の事件にうちのブログが関係があるとわかったわけでもない。今こそ正気を保つべきなのに。
 結局のところ、「検証班はひどいやつだ」(だからなんで?)→「奴の検証なんて信用できない」という事にしたいのだろうけど、そーゆー批判は「ああ、検証そのものには突っ込めないんだね」としか思えないのでやめたほうがいいです。唐沢俊一の所業をスルーしてしまう倫理なり正義感というものに全く信用を置くこともできない。とりあえず唐沢俊一による加藤和彦の「追討」を読んでみてください。
 未だにご存知ない方がいらっしゃるようなので、再度書いておきますが、当ブログでの唐沢俊一への検証は来年夏をもって大部分の活動を終了する予定です。すんなり終わるのは難しいと思いますが(また新たな資料を発掘してしまった…)、少なくともコミケに関してはあと3回参加すればデカいネタをやり切ることができると思います。来年の夏までガマンしていただければ忌々しい検証は終わりますのでご安心を。
 …しかし、なんでうちのような弱小零細ブログをそんなに気にするのかわからん。唐沢俊一のファンだったらちゃんと連載をチェックしてあげてほしい。俺は今月号の『熱写ボーイ』と『ラジオライフ』を昨日買ってきましたよ。


 で、やはり触れなければいけないか。唐沢俊一の村崎百郎追悼。…まあ、いつもの「追討」に比べればそれなりに心はこもっているんだけど、『社会派くんがゆく!』での傍若無人な発言を考えるとひっかかってしまう。

また、犯人はサンケイスポーツの記事によれば、
2ちゃんねるで彼の自宅住所を調べ乗り込んだようです。
人の住所をネット、ことに大多数が悪意を持って見る2ちゃんねる
のような場所にさらす行為というのは、もはや殺人幇助、
いや教唆と言えるのではないかと思います。
いや、思えばネット上にどれだけ、人の命を軽んじる
発言、脅迫としかとれない発言が蔓延しているか。
正常な判断力を持たないものが、そこからの情報をウのみにして
行動に及んだとしたら……。事件後、私にインタビューしてきた
マスコミ各社も、多くはそのことに言及していました。
ことを村崎百郎一人の特異なケースにしてはいけない。
第二、第三の彼を出してはいけない。
そのような思いをただ、反復しながら、今、彼との
10年にわたるつきあいを記憶の底から甦らせています。

 『社会派くんがゆく!』では毎回のように「人の命を軽んじる発言」が出てきていたんだけど。
 それはともかく一番気になるポイントは、なんといっても2ちゃんねるでどうやって村崎百郎の住所を調べたのか?ということ。2ちゃんって別にそういう検索機能とかないよねえ。…どうも実際のところは、ネットで調べるとすぐに住所がわかってしまったようなんだけどね(あえて詳しくは書かない)。せっかくなので忠告しておくが、唐沢俊一もネット上で個人情報を晒しすぎである。自宅の住所はすぐにわかるし、「裏モノ日記」を読めば生活パターンまでわかってしまう。ネット対策をまるでしていない人間がネットを悪者にするのもおかしな話だ。もう少し気をつけるべきだろう。唐沢はともかく同居されている母上が心配だ。
 …というか、そもそも今回の件でネットを悪者にするのがおかしな話なのだ。だって、唐沢俊一30年前に『ぴあ』に投稿した際に詳細な住所を記載されたせいで、「東京ゴジラ団」からカミソリ入りの手紙を送られたことがあるのだから。…ネットがなくても住所はバレてしまうわけだね。自分の過去を忘れてるのか? それに胡桃沢耕史が自宅でファンに刺された事件は1992年に起きている。筒井康隆呉智英もファンにつきまとわれた話を書いているけど(特に筒井さんのはヤバい)、どっちもネットは関係ない。悪い意味でやる気のある奴はどうしたって突き止めてしまうのだろう。…要するに、送り手と受け手の齟齬から生じるトラブルは今までも起きてきたし、残念ながらこれからもなくなることはない、そういうことなのだ。ネットを悪者にしたって何も解決しないし、大多数の人々に向かって意見を発するのは実はとても怖いことなのだと思う。弱小ブロガーである自分でもそれを感じているけど、唐沢俊一にそういった自覚はあるのかどうか。
 それと、村崎百郎は厚生事務次官の襲撃事件についてネットの悪影響という説を否定している。『社会派くんがゆく! 疾風編』(アスペクト)P.19〜20より。

村崎 だって、この小泉って犯行前にちゃんと相手のことを国会図書館に調べに行ったりして、相当入念に計画して襲ってるぜ? 脊髄反射的に目の前にいる人間を襲うようなネット中毒の無差別殺人犯とはわけが違う。今度の事件で、ネットやってる奴らから模倣犯が出るかというと、それも疑問だわ。だいたいネット中毒の奴らが暇だろうなんてのは大きな誤解とウソで、そういうのはみんな24時間の自室警備や、自分が関わってるスレッドの24時間監視なんかですご〜く忙しいらしいから(笑)、わざわざ実際に人を殺しに出かけて行くような時間的余裕なんか皆無なんだって。


唐沢 “外出する”という行為そのものが、彼らにとっては一大事業なんだから(笑)。


村崎 ネットで「こいつが憎い」と書き込む心理と、実際に刺しに行くまでの間には実に恐ろしく深くて長い溝があって、中傷カキコだってせいぜい頑張って相手の住所をさらす程度で、「あとは誰か行ってきて」っていうだけだもんな。とにかくネット中毒のアニメオタクなんかは一日中自分の部屋を警備しなきゃいけない上に、毎晩見なきゃいけない新作アニメやDVDとか買わなきゃいけないフィギュアとかたくさんあるんだからさ(笑)、そのうえ一日数回にわたる渾身のオナニータイムで消費される体力を考えてみろよ? だからもう、実際に殺人行為に出る可能性はいちばん小さい連中なんだって。引きこもりオタクがヒマ人だなんて考えるのも、これまた想像力に欠けている証拠だって、いい加減分かれよ、大谷!

ブーメランも行きすぎると笑えない。

『社会派くん』対談では、ことに最近は、村崎さんの発言は
鬼畜どころか、むしろ社会の不条理に、被害者の非運に
憤慨する、いち常識人と化していました。
もちろん、それはテープ起こし校正の段階であとかたもなく
消えるわけですが、読んでみれば、露悪的なセリフの間に
にじみ出る、村崎百郎の、人間という存在に対する愛情と
いうものははっきりわかったでしょう。
村崎さんも、読者がそれをちゃんと読み取ってくれるという
信頼の上に、あのキャラクターを作っていたのです。

 唐沢俊一は『社会派くん』で過去に「こっちがキャラを作っているのをわかっていない奴が多すぎる」と文句を言っていたが、それは演じている側にも問題があるだろう。『社会派くん』を読んでいれば、村崎百郎「実はいい人」で、唐沢俊一「ただルーズなだけな人」というのはすぐにわかる。2人とも「鬼畜」になりきれないのにキャラを演じようとしたことがマズかったわけで、観客に理解を求めようとするのは甘えでしかない。だから、締めのジョン・レノンがどーのこーのというのもスベっているわけだ。 

 何度も言ってきたことだが、『社会派くんがゆく!』は『新・UFO入門』事件に対してまともな対応を取れなかった時点で連載を終了させるべきだったと思う。他者の災難を笑いものにしているのに、いざ我が身にトラブルが起こったときにそれをネタにできずにしどろもどろになってしまったのだから、みっともないことこのうえなかった(加えて単行本で被害者を中傷した)。もっとも、あの事件がなくても既に賞味期限は切れていたとも思う。唐沢俊一の「この国はテポドンが落ちなきゃどうにもならない」という発言を何度読んだことか。最近だとネット上でも話題にすらなってなかったしね。「『社会派くん』ってまだ続いてたんですか?」ってコミケで聞かれたこともあったな。今にして思えば時評としてはよく続いた部類に入るのだが、時代についていくのは難しいのだろう。

 自分が過去に『社会派くんがゆく!』を愛読していたことは『検証本』VOL.2で書いた通りだ。だから、否定するだけでなく「鬼畜」という概念について肯定的に考えてみると、悲惨な事件や事故について悲しんだり憤ったりするだけでなく、突っ込みを入れたりジョークの種にすることは人間の自然な感覚として有り得ることで、それ自体は否定すべきでないと思う。ただし、不用意な発言をすれば批判されることは当然で、厳しさの要求される、甘えの許されないことだとも思う。『社会派くんがゆく!』から自分が学んだことがあるとすれば、そういうことである。「相方選びは慎重に」というのもあるけど、まあ、それは「と学会」あたりにもあてはまることか。

 「唐沢俊一検証イベント」を行うにあたって、唐沢の関係者にオファーを出したのだが、そのメンバーから村崎百郎はなぜか漏れていた。できれば話を聞いてみたかったし、断られるにしてもどのようなリアクションが返ってくるかを見てみたかった。残念である。

社会派くんがゆく!疾風編

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幾たびもDIARY (中公文庫)

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危険な思想家 (双葉文庫)

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