唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

どうするよアインシュタイン。

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 今回は『熱写ボーイ』7月号に掲載された唐沢俊一『世界ヘンタイ人列伝』第16回「世界最高の頭脳の真実」を取り上げる。
 このコラムではアインシュタインの女癖の悪さをネタにしているのだが、全体的に誇張している感じがある。たとえば、こんなところ。

 とはいえ、今も昔も基礎物理などをやっている学生は就職が難しい。母校の教職を得ようとアインシュタインは運動するが、素行の悪さを原因に拒否されてしまう。やっと友人の助力でスイスの特許局に就職が決まるが、なんとそのとき、まだ入籍もしていないミレヴァ(引用者註 アインシュタインの最初の妻ミレヴァ)に赤ん坊が出来てしまった。これは、当時のヨーロッパでは大変なスキャンダルになることである。職を失うことを恐れたアインシュタインは、生れたリーザルという娘を、さっさと養子に出してしまった。この、哀れなアインシュタインの初めての子は、その後行方不明になり、現在もどこで死んだのかすらわかっていない。

 アインシュタインの最初の子供の行方が生まれてすぐにわからなくなってしまったのはその通りだが、どうして行方不明になったのかは定かでない。ただ、現存しているアインシュタインの手紙の中で子供の誕生を喜ぶ文章があるので、子供の存在を煙たがっていたばかりとは言い切れないと思う。あと、基礎物理を専攻していると就職に不利なのかどうか、文系だった自分にはわかりかねるのだが。


 あとは気になったところを挙げていく。
 まず、今回のコラムの冒頭はイギリスBBC製作のTV番組『アインシュタインの脳』の話なのだが…、これってラジオライフ』2009年11月号でやっていたネタだよなあ(詳しくは2009年9月26日の記事を参照)。「雑学の神様」ともあろうものが半年ちょっとでネタを使いまわすのはどうなんだろう。…あ、念のために書いておくと、今回はちゃんと新しく文章を書いてますよ。

 次。

 西欧には“うっかり博士(アブセント・マインデッドネス・プロフェッサー)”という言葉がある。

 これは“absentminded professor”のことだろう。“absentminded”でひとつの単語なので“アブセントマインデッド・プロフェッサー”と表記した方がいい。“absentmindedness”だと名詞だし。ちなみに、『フラバァ/うっかり博士の大発明』の原題は“The Absentminded Professor”である(リメイク版は“Flubber”)。…アメリカの映画でも使われている言葉なんだから「西欧」と限定する意味がないんだけど。

時計と卵を間違えて茹でたエジソンなどが代表だが、研究に没頭していて、日常のことには頓着しないのが科学者の一般的なイメージであった。

 これはエジソンではなくニュートンのエピソード。

……現在でも、大学の理系、ことに物理学系の学科というのは女学生が少なく、入学しさえすればどんなブスでも学部のヒロインになれる、というので“理学部美人”などというあまりありがたくない言葉も流通しているくらいであるが、ミレヴァも、残っている写真を見るに、当時の感覚では美人とは言いがたい顔である。

 …いや、だから、文系の自分には理系の学部の事情はわからないんだけど、あまりにも失礼じゃないか? ためしに「理学部美人」でググッてみたけどヒットしなかったし。唐沢俊一は東北薬科大学に行ってたから、そういう実感があるのだろうか。そういえば、うちの妹も理系の学部に行っているな…。参考として東京理科大学のミスコンを紹介しておく。
 あと、どうして唐沢俊一が「当時の感覚」を知っているのか謎。しかも外国の話だし。

何と、こともあろうにエルザ(引用者註 アインシュタインの二人目の妻エルザ)でなく、エルザの娘であるイルゼ・レーヴェンタールに求婚しようとしたのである。
 いくらなんでもこれはひどかろう。アインシュタインにもてあそばれたミレヴァは心身症をわずらって不幸な死を迎えたが、庶民の出でずぶとかったエルザはこの仕打ちにも堪え、何とか娘に相手を奪われずにアインシュタインと結婚することが出来た。とはいえ、戦後アメリカに亡命してからも浮気を続けたアインシュタインに対し、寝室を一緒にすることは断固拒否し続けたという。

 このエピソードも真偽が定かではないのだが(イルゼに好意を持っていたことは確からしい)…、なんで「戦後アメリカに亡命」するんだ? アインシュタインは1940年にアメリカの市民権を取得しているのだけど。「第一次世界大戦後」ということならアリかもしれないが…。

※追記 藤岡真さんが指摘されているけど、こっちでも簡単に。

 とにもかくにも、未婚の父になったことは隠しおおせて、アインシュタインは職を得ることが出来、結婚も無事出来て、生活も安定した。そして、その余暇を使って研究も進み、この時期に特殊相対性理論など代表的な研究の全てを完成させている。研究者の中には、アインシュタインの功績は20代なかばのこの時期に全て出尽くして、あとはヌケガラに過ぎない、という人も多い。

 アインシュタインは1916年、37歳の時に一般相対性理論を発表している。もしかすると唐沢は、アインシュタイン一般相対性理論の後で特殊相対性理論を完成させたと思っているのかもしれない。


カラオケで歌ったらわりとウケた。

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