阿房書架。
なんにも用事がないけれど、書店に行って本を買って来ようと思う。
しばらく「裏モノ日記」の更新がストップするとのこと。来月には本も出るらしいのに、執筆(口述)している様子もなかったので気になっていたけど、頑張っていい仕事をしてほしい。とはいえ、
訃報記事や舞台関係、新刊等のインフォメーションは別ワクで
アップしますので、よろしくお願いします。
というあたり、やっぱり「追討」が好きなのね、と感心してしまう。そういえば、「検証イベント」への出演依頼についてスルーしているな。
本題に入る。ソルボンヌK子『入院対策雑学ノート』(ダイヤモンド社)の著者プロフィールには次のように書かれている。
退院後、鹿野景子名義で入院生活・病院をテーマにした作品を発表。その中の一編、『TOUCH MY HEART』に感動した作家の唐沢俊一と文通がはじまり、N・Yでの半年の生活をはさんで1年後、結婚。
細かいことを書くと、ソルボンヌK子と文通をしていた時点では唐沢俊一は札幌在住だったようだ(詳しくは2009年2月19日の記事を参照)。札幌にいた時から「作家」だったのかなあ。
『入院対策雑学ノート』P.211〜212より。
わたしは、ゴハンをつくりたくなかったが、おいしいものは食べたかった。自分がつくるとおいしくなかったが、人が不味いものをつくるとイヤだった。イヤだったが、コックを雇うお金なぞない。とりあえず、お金を稼ぐことに日々精進していた。
そんなある日のこと。マンガの原作者の彼、今の旦那がウチでゴハンをつくってくれ、その美味しさにイチコロになってしまったのでした、というわけですね。
彼と結婚していっしょに住むということになった。彼はそれまで、弟とといっしょに住んでいて、弟はこれから一人になるのである。
わたしは、弟がさぞ悲しむであろうと思った。
「ゴハンのおいしいお兄さんを奪ってしまってごめんね」
わたしがそう言うと、弟は、
「いや、俺、洗い物きらいだし、食べるときにいちいち誉めなきゃいけないのって、けっこうツラかったから」
「弟」=唐沢なをきがクールなので笑ってしまう。この記述からは、「マンガの原作者の彼」とあるので、唐沢俊一とソルボンヌK子は結婚してからコンビを組んだわけではないということと、唐沢俊一は札幌から再度上京した後、しばらく弟と同居していたということが伺える。
同書P.214〜215より。
最近は不景気のせいにするが、わたしの仕事はどんどん減って、年収にすると毎年五百万ずつ減っている。その分、アシスタント代やその他の経費も減っているから、ダメージは五百万分はないのだが、今年はこの調子で五百万減ると困る。だって、今年の年収予定は七百万なのだから(去年は千二百万、その前は二千万あった)、来年二百万じゃ苦しいぞ。
念のために書いておくとこの本が出たのは2000年4月。昔レディースコミックでだいぶ稼いでいたというのは本当みたいだ。ちなみに、『入院対策雑学ノート』という本にはお金に関係する記述が数多く出てくるので読んでいて思わず笑ってしまう。キャラクターがわかりやすくて微笑ましい。
話題を変えて、唐沢俊一『カルトな本棚』(同文書院)より。この本には「唐沢俊一多重人格座談会」という記事が載っている。「唐1」=唐沢俊一の中のマンガ本コレクター、「唐2」=唐沢俊一の中の薬学関係本コレクター、「唐3」=唐沢俊一の中のB級カルト本コレクター、ということらしい。P.148、P.152より。
唐2 古風な文体のことに戻るけど、大学時代、明治文学オタクになって、三遊亭円朝集とか、黒岩涙香集とか、むやみに読んだよな。
唐1 読み過ぎたあまり候文に凝って、ラブレターを候文で書いたりしていた。
唐3 そうそう、原田順子ちゃん…………。
唐2 わっ、名前を出すな、恥ずかしい。
唐3 もう時効だろう。あれは見事にフラれた。
唐1 そりゃフラれらあ。19の女の子に「拝啓陳者盛夏の砌時候あたりなどいたされおられずやと日々案じおり候」なんて書いて出しゃ(笑)。
唐2 まだ、自分の世界の変さに気がついてなかったのかね。
唐3 そこらあたり、世間が見えてなかった。
唐2 見えてないどころか、まるで知らなかった。田舎から後輩とか、親戚の子とかが出てくるだろう。それで、東京を案内してやってくれと頼まれるんだけど、六本木も原宿もまるで知らない。神田の古書街ばかり案内して(笑)。
というわけで、大学時代にラブレターを出してフラれたことがあるらしい。…しかし、唐沢俊一は札幌に彼女を残して上京していたはずである(詳しくは2月5日の記事を参照)。だから、二股になってしまうのでは。まあ、ドンファンなら二股くらいするのかもしれないが、藤岡真さんのブログで紹介されている話を見ても、このドンファン、フラれてばっかりである。
もうひとつ。「後輩」や「親戚の子」を神田の古書街に連れて行った話があるが、初デートも神保町だったはずなのにそれが出てこないのは少し気になる(詳しくは2009年2月27日の記事を参照)。「後輩」や「親戚の子」とデートした可能性もあるけれど。
『カルトな本棚』P.156の唐沢俊一による対談後記より。
私の本を集める方向性というのは、一方向じゃないので、ある分野分野で、ひとつおもしろいのが見つかると、とりあえず手に入るものはすべて集めたい、読んでみたいということになる。決して本に溺れて、なんでもかんでもといったことではなく、一冊一冊が僕にとっては手に入るべくして入ってきたということです。現在3万冊近くの本がありますが、その一冊一冊に出会いやエピソードがあるわけです。そういう本と一緒に暮らしているというのは、好きになった女性と一緒に暮らしているみたいなものです。秦の始皇帝が阿房宮に何千という妾を囲ったという話がありますが、僕も好きな女性を本棚の中に囲っているんだという気持ちです。僕にとって本棚とは、阿房宮みたいなものですね。
こんなことを言っていた人が来月『本を捨てる!』という本を出すかと思うとなかなか考えさせられる。「好きな女性」を捨てちゃうわけだから、本に対してもドンファンだったと言えるのかどうか。それとベランダに本を入れたダンボールの箱を置いていたのはビックリしちゃったけど。保存状態は大丈夫なのかなあ。
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