女っつーのは。
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唐沢俊一・村崎百郎『社会派くんがゆく! 疾風編』(アスペクト)P.394より、唐沢俊一のコラム「色好みのハードルが低くなったら、御用心」。
以前、老プレイボーイと言われる人たちにインタビューしてつくづく感じ入ったのだが、全員、判で押したように口にした言葉が「美人は面白くない」というものだった。どこから見ても美人という存在はすぐ飽きる、というのである。
「正面がよくないとか、歯が少し出てるとか、そういう欠点を持ってる女性の方がいいンです。何でオレはこんな女とつきあっているのかな、と思うような女性が、顔の向きや表情で、どこかで一瞬、ふッと、すごく可愛く見えて、あれッ、さっきの顔は……と、それからまじまじ見てしまうような、そんな女の方が絶対に飽きない。また、そういう欠点を自覚している女の方が概して性格もいいですしね。歳をとると、そういう女の方が絶対によくなります」
聞いた時は人生の達人の言葉だと深く胸にしまったが、自分もいい歳になって考えると、要は歳をとると自分の中のハードルが低くなる、ということに過ぎないのではないかと思えてきた。この保険金連続殺人事件の容疑者は、そういう、ハードルが低くなりかけ、または完全に低くなった連中ばかりを狙っている。彼らにとり、彼女はまさに右記の言のような存在であり、男たちが自分をそういう目で見ていることは百も承知だったのだろう。
「美人は三日で飽きる、ブスは三日で慣れる」ってやつだろうか(この言葉について村上龍がものすごいことを言ってたような)。唐沢俊一本人も女性の好みのハードルが下がってきているのか、少し気になる。
しかし、結婚詐欺・連続不審死事件の被害者たちは別に女遊びをしていたわけではないのだから、唐沢の話はヘンだ。まあ、「婚活」の場合には容姿も考慮するんだろうけど、とは言っても女性の好みのハードルが下がってきたから「婚活」を始めたわけでもないだろう。そして、容疑者に介護を受けていた男性の場合には介護ヘルパーだった容疑者の容姿はあまり関係なかったのではないか。思うに、この容疑者の外見を見て考え出した話なんだろうけどね。
それに、唐沢は以前この事件に関して『婦人公論』で「中年オタク受難の時代がやってくる」というトンデモな文章を書いていたけど(詳しくは2009年11月22日の記事を参照)、『社会派くんがゆく!』で書いていることとはどうも違っているような。中年オタクだけでなく歳をとった男性も狙われたんじゃ大変なことになるな。
しかし、今回のコラムで一番味わい深いのは締めの部分である。一読して思わず「さすが!」と呟いてしまった。
……ま、永久に男性は女性に敵わないと、要するにそういうこッた。
ドンファンは言うことが違うなあ(当ブログ2009年2月27日の記事も参照)。よく考えると、なんで「永久に男性は女性に敵わない」のかわかんないんだけどね。女性だって歳をとればハードルが下がるかも知れないじゃん。
まあ、「女というものは」「男というものは」と安易に決め付けるのはどうかと思うけど、唐沢俊一にはいずれ「女性論」を詳しく語ってほしい。彼はとても楽しい女性観の持ち主だと思うので。「唐沢俊一検証イベント(仮称)」に出てくれるなら、直接話を聞いてみたいなあ。
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