ポケットがガセでいっぱい。
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『パチスロ必勝ガイドNEO』3月号に掲載されている唐沢俊一『エンサイスロペディア』第34回では、『交響詩篇エウレカセブン』が取り上げられている。
…これは無茶振りだろ。最近のオタク事情に疎い人にこのネタをやれというのは酷だよ。面白いからもっとやってほしい。
『交響詩篇エウレカセブン』がパチスロになる、と聞いて驚いた人は多いのではあるまいか。これまで、アニメやドラマを取り入れたパチスロというのは、パチスロファンの世代が幼い頃に熱中していた懐かしの作品をよみがえらせることで、ノスタルジックな魅力を集客に利用する、というのがモチーフであったはずだ。
しかし、『創世のアクエリオン』(原文ママ)のパチンコ参入あたりから顕著になったことだが、次々と業界は新世代の作品を取り込んできて、それが高い人気を示している。パチンコ、パチスロのファンたちには、そういう台で初めてこれらの作品に接するというファンも多いだろう。
『エンサイスロペディア』第15回で『一騎当千』が取り上げられているのだから、最近の作品でもパチンコ・パチスロとタイアップすることは珍しくないということを唐沢はとっくにわかっていると思うんだけど。それに『エウレカセブン』より前に『蒼穹のファフナー』がパチンコになっているので、個人的には「『ファフナー』がアリなら『エウレカ』もアリだろ」という感じだった。
懐かし系の作品群と最近の作品群には、比較して大きな差がある。それは、古いタイプのSFヒーローものが、平和という名前で安定した世界を舞台に、その安定を守るために、それを乱す悪人や怪獣たちと闘うというものがほとんどであったのに比べ、新しい作品、特に『新世紀エヴァンゲリオン』以降の作品に特徴的なのは、作品の主人公たちが住む世界そのものが不安定で、崩壊の危機に近づいていることが多いことだ(エヴァ以降、というよりは宮崎駿の『風の谷のナウシカ』以降、なのかもしれない)。地球規模の環境危機などのニュースを常に耳にしている世代ならではの設定なのかもしれない。
唐沢俊一ならここで『宇宙戦艦ヤマト』を挙げてほしいところだった。そういえば、唐沢は『復活篇』を観に行かないのだろうか。あと、いわゆる「セカイ系」の作品との関係を考えても面白かったと思うが、無いものねだりはやめておこう。
この後、『エウレカセブン』のあらすじが延々と書かれている。ダメな読書感想文を読まされている気分だが、それでもガセが書かれているよりはいくらかマシだろう。まあ、あらすじを紹介するなら、唐沢俊一に依頼しなくても編集者が自分でやったほうが安上がりなんじゃね?とは思った。
で、この後、『エウレカセブン』が『エヴァンゲリオン』などの先行作品の影響を強く受けていると書かれている。
中盤、主人公のレントンが、主人公なのにあまり戦おうとしない、というクレームが視聴者からついたところなどもエヴァと相似形である。
しかし、この『エウレカセブン』がユニークなのは、基本に“家族”という単位があること。なにしろ、ヒロインの美少女エウレカにしてからが、孤児3人を引き取って育てている“おっ母さん”なのだ。つまり、このエウレカと恋愛関係になるレントンは、最後、その恋愛が成就すると、お父さんにならざるを得ないわけである。
『エウレカセブン』において「家族」が重要なテーマであるのはいいとしても(それを言うなら数多くの作品で「家族」は重要なテーマになっているのだが)、エウレカと子供たちの関係だけでまとめるのはどうなんだろう。たとえば、レントンとビームス夫妻も「家族」になろうとしていたわけだし。…っていうか、そこが『エウレカセブン』の一番の特色なのかなあ。
守る者、守られる者、共に守る者がいる家族の絆。年長の世代から年少の世界(原文ママ)へと受けつがれていくもの。そのようなテーマを持ちながら、壮大なストーリィがつむがれていく。パチスロにも明らかに、新世代が訪れて来ているようだ…。
一体何の話をしているんだ。こういうのを「こけおどし」というんだろうね。
…唐沢俊一が最近のオタク事情に疎いのはわかりきったことだが、過去のアニメやSFと絡めれば、いくらでも話を膨らませられるはずなのに、『ナウシカ』と『エヴァ』しか持ち出してきていないのが不思議。それにこの文章を読んでも『エウレカセブン』が面白いとはとても思えないのも困りものだ。
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