唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

すべてのオタクは食い物にされる?

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 『裏モノ日記』11月20日唐沢俊一日記がダブった件について説明している。

ああ、あの部分は同じ問題を扱っている女性マイミクさんのミクシィ日記に
つけたコメントで、もともと彼女のブログでの市橋考察は私の日記に
触発されたもので、そこのコメント欄でいろいろやりとりがあり、
表日記にそこで書いたものを差し込んだのだが、表日記への
ミクシィ日記からの転載は急ぐので、ついうっかり、同じ文章の
コピペ転載を複数日でダブらせてしまったものだ、と説明してやる。

ミクシィの方は日記書く前に数日前までは読み返すが、表日記は
まず、読み返さないのでこういうミスには滅多に気がつかない
だけだ、と返答したら、ああ、よかった、と返事が来た。
何がよかったのかと思ったら、心不全で脳に酸素がいかなくなって
ボケたのかと、と。心不全を心配するなら、日記の記述がダブる
ことより先に心配することがあるだろうが、と笑う。
日記なんてどんなに詳細を込めた記述があっても、しょせんは
葦の髄から天井をのぞいたくらいしか読む方にはわからない。
ミクシィ日記でこの話を読んだH先生の言う通り、
「大事なことだから2回書いたんだよ」
で済む話なのかもしれない。

とのこと。無事で何よりですね。いい機会なのでブログに移行することをおすすめしておきます。


 では本題。婦人公論』12月7日号で、唐沢俊一「<オタク評論家が緊急警告>パンドラの箱をあけた詐欺女――中年オタク受難の時代がやってくる」という「結婚詐欺連続不審死事件」をテーマにしたコラムを書いている。
 なんで『婦人公論』?とお思いの方もいらっしゃると思うが、『婦人公論』編集部にはかつて『創』で『オタク対談』を担当していた久保友美子さんが在籍していて、今回のコラムも彼女からの依頼だと考えるのが妥当だろう。「裏モノ日記」11月4日より。

T社原稿、読者対象がなかなか読み込めず、苦心。
冒頭部分の釘の差し間違いが尾を引いて2回ほど原稿用紙2枚分ほどを
反故にして書き直す。7時半に編集部に送ります、と返事して編集の
Kさんを待たせておいて、結局8時半と1時間遅れになってしまった。

中央公論新社」は「C社」なのでは?と思ったり。それでは本文を紹介していく。

 彼女の日記をプロファイリングしてみても、普通の(こういう形容詞をつけることが適当かどうかはさておいて)連続殺人犯たちにほぼ共通して見られる異常な言動や思考はほとんど抽出できまい。テレビのワイドショーなどでは、彼女本人を知る人たちの、彼女がキレやすい性格だった、とか、脅迫まがいのメールを貰ったことがある、とかいう証言を拾ってきているが、いずれも、その程度のことならばいくらもある、というレベルに過ぎない。
 ……このことが、この事件をとにかく、恐ろしいものにしている。つまり、殺人という、人間の心の中にある最大のタブーを、単にぜいたくがしたい、おいしいものを食べたり、高級な外車に乗りたい、という単純な、人間であれば誰しも持っている日常の欲望のために、軽々と犯してしまうタイプの殺人者がとうとうあらわれた、ということなのである。
 「人を殺すくらいだから、犯人にもよほどの事情があるのだろう」
 という“常識”はもう、通用しない。人の命がホテルでのちょっとしたぜいたくや食事やブランド犬と、同等の重さになってしまったのである。

 いや、「そんな理由で人を殺すの?」っていう事件はザラにあるんじゃないかな。「ついカッとなって」とか。今までの「連続殺人犯」たちにも「よほどの事情」があったと言えるのかどうか。

 この事件の詳細がニュースでどんどん報じられていくなかで、何か腰が落ち着かない気がずっとしていた。それは、この女性の背後で糸を引いている男の影がちらつかないということである。
 逮捕時、この女性の口座にはほとんど預金の残高がなかった、と聞いたとき、多くの人々の心の中には、その女に貢がせている男が必ずいるに違いない、でなければ1億以上の金を2年半という短期間で女ひとりで使いきれるわけがない、という予想が浮かんだのではあるまいか。
 だが、捜査がここまで進んでなお、そのような男性の影は見当たらないようだ。1億の金はすべてこの女個人の欲望のために使われた。女性の“自立”はこういう犯罪界でも進んでいるのだな、という、奇妙な感慨さえ覚えるほど、この事件はこれまでの“女性犯罪者”の常識を塗り替えるものと言っていい。

 女性主導で金を奪った殺人事件として、福岡連続保険金殺人久留米看護師保険金殺人があるし、あとインスリン殺人未遂というのもある。だから、事件の背後に男がいなかったとしても別に目新しいことではないし、「男に貢ぐための犯行」という固定観念は相当古いのでは。

 そして、“女性犯罪者の常識”が塗り替えられたということは、すなわち“男性被害者”の常識が塗り替えられたということを意味する、と言っていいとも考える。それはこの事件が持つ、もうひとつの、そして最大の恐ろしさなのかもしれない。

 ああ、なるほど。それを言いたいために今回の事件が「常識から外れた」ものだということにしようとしたわけだ。実にわかりやすい。しかし、「犯罪者」が新しいタイプだったとしても「被害者」も新しいタイプだとは限らないと思うのだが。どういう論理でつながっているんだろう。

 その恐ろしさとは、事件の詳細が報じられていくにつれ、多くの女性犯罪者、もしくは犯罪者予備軍の女性たちに、ある事実を教えたということである。今の世の中には、絵に描いたようなカモの膨大な数の群れがいる、ということをだ。大変に騙しやすく、罠に自ら飛び込みたがり、金は持っているのに警戒心はほとんど持ち合わせていないという、典型的なカモたちが存在するのである。

 「犯罪者予備軍の女性たち」には笑った。そんな人たちがいるのか。

 そして、これは断言できるが、その数は今後さらに急カーブを描いて増加の一途をたどるに違いない。それは、今回の事件報道でさらなる拍車がかかると思われるからだ。女性たちが(何もすべての女性を犯罪者予備軍扱いするつもりはないが)気がついてしまったのである。「結婚をあせる男はこんなにも多く、彼らはこんなにも騙しやすい連中である」ということに。

 さすがにフォロー入りました。それにしたって失礼な物言いには違いない。婦人公論で何を書いているんだか。


 で、今回の事件の問題点は、犯人の狡猾さではなく被害者たちの騙されやすさ、警戒心の無さが問題だと唐沢は指摘している。

 実際、私の周囲には、40代も半ばになってなお独身(どころか童貞)、結婚願望がないわけではないが、若い時分に女性とつきあった経験が皆無のため、見合いだの合コンだのをしたところで、どのように女性と会話していいのか、そこらへんの基礎技術がまったくわからない、という男性がゴロゴロしている。いずれも工学系などの大学を卒業して技術職として一流会社に勤め、年功も加味されてかなりの額の給料をとっている者たちである。
 こういう男性の多くは、いわゆる“オタク”と呼ばれる人種である。冒頭にあげた大出さんがまさにその範疇に入る人だった。生真面目な好人物が多く、趣味に対するこだわり以外、食べ物や着る物などにはほとんど注意を払わない彼らは、女性への免疫はゼロと言っていい。

 「理系男子」と「オタク」をゴッチャにしてないか? 技術職の人はそんなに結婚できないものなのか? 

 困るのは、彼らといえど女性に興味がないわけではないということだ。生物学的な性への好奇心は人一倍あれど、現実社会で女性に接するスキル(能力)のない彼らは、彼ら用の用語で“二次(二次元、の意)”と称するアニメやマンガの女の子を、実在の彼女の代替としている。
 しかし、脳内における欲望は“二次”で満足できても、やはり肉体的接触を伴わない関係では、満足できない部分がある。「ぜいたくは言わない(彼らがぜいたくを言うのは二次キャラに対してだけである)、人肌のぬくもり、家庭の団欒のかけらさえ味わえれば……」という願望が高まっている男性たちの数は凄まじい。

 「彼らがぜいたくを言うのは二次キャラに対してだけである」の意味がさっぱりわからないが、いや…、あの…、結婚願望って何も「肉体的接触」を求めているからだけではないと思うんだけど…。唐沢俊一は「肉体的接触」を求めていたから結婚したのか? それに、この理屈は一歩間違えると「脳内だけでは満足できなかったために現実でも…」という風にオタクへの偏見を助長することになるとも思う。かつて唐沢は「脳内で満足できない奴はオタクじゃない」という風に言っていたはずなのだが。

 オタクたちは一概にプライドが高い。詐欺にあったところで、その被害を声高に叫ぶようなことはしないだろう。ただ、寂しく笑いながら、『機動戦士ガンダム』の中のシャア大佐のセリフ「認めたくないものだな、若さゆえの過ちというものは」を自虐的につぶやいて済ませてしまうものと思われる。もう若くはないのに。

 本当にいい加減にしよう。シャアのセリフを3回も間違えないように(2008年11月25日の記事藤岡真さんのブログを参照)。正しくはもちろん
「認めたくないものだな。自分自身の、若さゆえのあやまちというものを」

 しかし、どうして『ガンダム』嫌いだったはずの唐沢がシャアのセリフを引用するのか? これはオタクについて説明する時に『ガンダム』を持ち出すのが都合がいいからだと思われる。オタクでない人にも通じるほど『ガンダム』のイメージは定着してきているということなのだろう。かつて、『ガンダム』を否定していた唐沢が『ガンダム』に寄りかかって仕事をしているのはあまりにも皮肉である。そういえば、自分もあるテレビ番組で唐沢がオタクの趣味について説明するときに、真っ先に『ガンダム』の名前を出しているのを見たことがある。『Steins;Gate』みたいに過去の唐沢にメールを送ってやれたらなあ。「オタク=プライドが高い」というのも疑問だ。
 

 今回の事件での報道で、犯人と目される女性の名前などを、11月4日現在、まだ大手各紙は公表していない。個人情報の保護など、いろいろ問題はあるのだろう。だが、もっとも保護しなくてはならない、婚活オタクたちの生態という情報が流出してしまっているのである。
 これは、パンドラの箱があいたことにならないのか。目の前にネギを背負ったカモを置かれて、犯罪の道に走る女性たちのなからんことを切に願ってやまないのである。

 …世の女性たちを、『婦人公論』の読者を何だと思っているんだろうなあ。オタク向けの雑誌でオタクたちに注意を呼びかけるのならまだわかるけど。
 それにしたって、このコラムがオタクに対してものすごく差別的なのが気になる。それ以前にレイアウトがとてもヘンなのである。たとえば、コミックマーケットの写真に「被害者予備軍はまだ130万人もいる!」という文字をかぶせている。コミックマーケットにやってきたレポーターが「ここに10万人の宮崎勤がいます!」と言い放ったという都市伝説をふと思い出したけど、「オタク=犯罪者」から「オタク=被害者」となっているものの、結局のところオタクという存在を特別視していることに変わりは無い。そういう姿勢が偏見を生むというのに。あと、亡くなった大出嘉之さんのブログの写真も載せている。唐沢俊一は大出さんがメイドクッキーを持っていったことに

唐沢 また、その挨拶用に持っていったお土産のお菓子っていうのが、アキバで売っていそうな萌えキャラの包装紙のついたメイド・クッキー(泣)。可哀想だとは思うけど、墓場からよみがえらせて小一時間、説教してやりたい気分だよ。“あれはギャグだ”って擁護もあるけど、いや、オレは七分、マジだったと思うな。

ツッコミを入れていたけど、

↓「千円くらいの地元のお土産を持ってくるように」と言われて用意したもの。アキバは地元千代田区なので問題ないでしょう。なんか北アフリカコンの時みたく先方を怒らせる危険ありw

と書いてあるところを見ると、大出さんはわかったうえでやっていたと思うのだが。大出さんのご冥福をお祈りします。

 もうひとつ、いやこれは根本的な問題なのだが、どうして今回の事件で「オタク」だけを問題視するのか?ということだ。犯人が「オタク」を狙っていたのなら確かに問題だろう。しかし、被害者の中には容疑者から介護を受けていた男性もいるのであって、「介護」を悪用した犯罪として考えることもできるはずだ。それなのに、被害者の中にたまたま「オタク」がいたからといって、殊更に「オタク」だけをクローズアップすることには疑問を抱かざるを得ない。コラムを書いた唐沢だけでなく、『婦人公論』という雑誌の姿勢にも大いに問題があると言わざるを得ない。雑誌の性質上「オタク」に詳しくないのはしょうがないけど、読者に向かって「オタクを狙った犯罪に走らないで!」ってアピールしてどうするのか。久保さんは『オタク対談』を担当していたから、唐沢がオタクに詳しい人間なのだと誤解してしまったのだろうけどね。「オタクの第一人者」と思われている人が偏見を助長するようなことを書いてどうするんだろう。「脳内秋葉原」も凄かったけど。


 未婚のオタクとしては読んでいて実に気分が悪くなる記事だった。「オタク」に詳しくない雑誌と「オタク」に詳しくないライターのコラボって破壊力あるね。

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