唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

KARUTO-カルト-。

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 唐沢俊一唐沢なをき唐沢商会のマニア蔵』(スタジオDNA)P.134「夏のあら!カルト/カルト人生の末路について」より。

 カルトというのは何語ですか? と訊かれ一瞬、とまどったことがある。なんとなく、ラテン語とか古代ケルト語とかいったイメージがあるじゃないですか。
 実のところはただの英語で、ちょっと拍子抜けするのだが、しかし、注意しておきたいのはこれは本来(イワシのアタマでも何でもいいが)、「ある対象をあがめ、熱狂的に崇拝する」方々を指す言葉だ、ということである。

 英語の“cult”はラテン語で「崇拝」を意味する“cultus”から派生したもの。

 つまり、アガメられている当人が
[ワガハイはカルトである]
と言ってはならないのである。ここらへんをよっく認識しないといけない。そういう自意識をもった途端に、カルトは単なるオタクに堕するのである。あがめたりたてまつったりするのは他人の勝手、と無視しなければならぬ。

 この文章は興味深い。当ブログでは唐沢俊一は本当にオタクなのか?」という問題を度々扱っているが、そのための貴重な資料である。「夏のあら!カルト」の初出はマガジンハウスから発行された『銀座三丁目』1992年5月号なので、少なくともこの時点では唐沢は「オタク」を名乗っていなかったということになる。「オタク」に対して明らかに否定的な書き方だもんね。というわけで、92年5月から95年9月の「オタクアミーゴス」結成までの間に「オタク」を名乗りだしたと考えられるのだが、一体何があったのだろうか。宮崎勤の事件の時はどうしていたのかなあ。
 もうひとつ気になるのは「カルト」という言葉の使い方である。現在では「カルト集団」というように閉鎖的な団体(主に宗教関係)に対して用いられることが一般的だが、この文章では「カルト映画」や「カルト作家」のように「少数の人々に熱狂的に支持されている」という意味に近い使い方、さらに言えば「マニア」とほぼ同じ意味で使われている。この文章が書かれたのは地下鉄サリン事件以前だったこと、そして当時『カルトQ』という人気番組があったためだろう。
 しかし、「「ワガハイはカルトである」と言ってはならない」と書いていたのに、『カルト王』という本を出しているのはいかがなものか。

 そう、カルトの対象となる人物は世間の評価など一切意に介せず、我が道を突き進まなくてはならないのだ。結論すればカルトの道は徹底した個人主義、唯我独尊主義の道である。
 カルティッシュな人物の見本はなんといってもイギリスに多いが、かの国の国民性であるインデビデュアリズムと無関係ではないだろう。カルトの対象となるようなヤツってのはすンげえイヤなヤツなんだよ、本当は。

 「インディヴィデュアリズム」(individualism)だろうなあと思うが、イギリスでカルト的に支持されている人物の例を挙げてほしかった。

 ……そういうイヤなヤツの末路はたいがい決まってアワレである。山田風太郎の怪著『人間臨終図鑑』(原文ママ)には代表的なカルト的人物の死に様がいくつも記載されているから参考にするといい。自分を見いだしてくれた恩人や一生をかけてつくしてくれた妻の死にも冷淡な態度をとり、ひとりぼっちで自分の著作だけを読み返しつつノタレ死んだ稲垣足穂、家族・友人をはじめ世間の人物すべてをバカ間抜けと罵倒しつくし、病床で看護人にも見放されて死んだ北大路魯山人等々……。
 さあ、それでもアナタはカルトの道を行く勇気を持つか。カルトは甘くない、のである。

 …やっぱりちょっとヘンだ。唐沢は「カルト」を「マニア」と同じ意味で使っているのだ。稲垣足穂はともかく、魯山人って「カルト」かなあ? P.135には「カルト系マニア」を紹介した唐沢なをきのマンガが載っているのだが、ここに出てくる「恋人の実家に行った時に婚約を解消された古本マニア」や「モチをノドに詰まらせ死んだ古本マニア」は別に崇拝されていたわけではないから「カルト」とは言えないのではないか。なお、唐沢なをきのマンガにはもう一人「ご飯の代わりにコカコーラを飲んでいた映画マニア」の話が出てくるが、これは杉本五郎のことかな?
 それに「アナタはカルトの道を行く勇気を持つか」と書いているのも「カルト」と「マニア」を同じ意味で使っているせいだろう。…いや、「もっと濃くなりたい」と思う人はいるだろうけど「崇拝されたい」と考える人はそんなにいないのでは。それに「「ワガハイはカルトである」と言ってはならない」のなら自分から「カルト」になることは出来ないのではないか。唐沢俊一自身は「カルト」になりたかったのかもしれないが。ニフティの会議室や「一行知識掲示板」がある意味「カルト」的空間だったあたりに、そういう願望が見えるんだってばよ。


NARUTO -ナルト- 48

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唐沢商会のマニア蔵 (DNA comics)

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カルトQ

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人間臨終図巻〈1〉 (徳間文庫)

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映画をあつめて―これが伝説の杉本五郎だ

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一千一秒物語 (新潮文庫)

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魯山人の食卓 (グルメ文庫)

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カルト王 (幻冬舎文庫)

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