唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

唐沢俊一の本を出すために。

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「裏モノ日記」11月2日にこのような記述がある。

講談社でTさんと待ち合わせ。
「あれ、カラサワさんじゃないですか」
と声をかけられる。
バジリスク”を担当していた編集さんであった。

新書編集部のKさん。
三階のカフェテリアで打ち合わせ。
こちらの企画意図を話すが、具体的な企画書を作ってこなかったので
顔合わせのみで終ってしまう。向うはすぐ本造りにかかれるものを
欲しがっていたらしい。これはこっちがノンビリすぎた。
来週早々にもすぐ企画書を、と約して別れる。
Tくんはちょっと意気消沈気味だが、いやこの程度なら大丈夫と
はげましておく。

 講談社から新書を出すための打ち合わせらしい。現代新書か+α新書かアフタヌーン新書かはわからないが(まさかブルーバックスではないだろう)。ただ、Tくん(おそらく豊田拓臣さん)が落ち込んでいるところを見るとあまりいい反応は得られなかったのかもしれない。具体的な企画を説明できないのではしょうがないが。

 「裏モノ日記」を読む限りでは、唐沢俊一は積極的に打ち合わせをしていて、新しい本を出そうと頑張っているようだ。10月に限ってもこれだけ打ち合わせをしている。

5日=某社某件
6日=F書房
9日=講談社(11月2日とは別件)
15日=L社
16日=C社

 
 F書房は二見書房だろうか。『唐沢先生の雑学授業』(P&G満載)を出しているし。C社は「今度出版事業を始める」のだそうで、そういう会社としては唐沢俊一のようなベテランに任せたいという気持ちがあるのかもしれない。
 ただし、打ち合わせだけしていてもダメなのであって、そのことは唐沢自身もよくわかっている。「裏モノ日記」10月8日より。

とりあえず打ち合わせ日取りを調整。
打ち合わせばかりがどんどん増える。
打ち合わせも大事な仕事のうちだが、いくら打ち合わせが順調でも
仕事をしたことにはならないわけで、あくまでも実質的打ち合わせの
前段階に過ぎず。とはいえ、世の中の
「モー、イソガシクッテシャーネーヤー」
と吹聴する人間のほとんどはこの前段階で忙しいだけの話。
その中から本当の仕事になるのが何%あるか?
もっとも、打ち合わせがないと実質的仕事もないわけで、
1000回そういう打ち合わせがあって3つ実現すればオンの字と
いうのが通り相場の、まことに能率の悪い業界なのである。

 「裏モノ日記」に打ち合わせ関連の記述や「忙しい」という言葉が多く並んでいるのを見ると、なかなか考えさせられる文章である。打ち合わせが実際に形になるのかどうか、じっくり見守りたい。


 とはいえ、唐沢俊一を検証している立場から言わせてもらうと、今現在唐沢俊一の本を出そうとするのはなかなかのチャレンジである。事情をわかってやっているのなら止めはしないが、よく知らないままにやっているとしたら気の毒なことになりかねないので、お節介ながらいくつかアドバイスしておこうと思う。はっきり言わせてもらうと、検証している間に「編集の人しっかりしてくれよ〜」とガッカリさせられたことが何回もあるので、本が出る前に食い止められたらいいなと思ったのだ。…まあ、食い止められなかったらそれはそれで楽しいのだけれど。では、僭越ながらアドバイスさせていただく。


(1)唐沢俊一は『新・UFO入門』での盗用についてきちんと決着をつけていない
 これが一番大事なことである。いったん頭を下げてはいるが、その後で被害者である漫棚通信さんを中傷しているのだ。詳しいことは『唐沢俊一検証本VOL.1』の「『漫棚通信』事件はまだ終わっていない」を読んでいただきたいが、最低でも「『新・UFO入門』事件顛末記」には目を通しておくべきである。
 要するに、唐沢俊一の本を出す会社は「盗用して開き直っている人間を平気で使うのか」と思われることを覚悟しておいた方がいいということだ。それに唐沢は今でも盗用を繰り返しているのだから(さすがに以前ほどあからさまではないが)、訴訟の可能性も考慮しておいた方がいい。

(2)原稿のチェックは特に念入りに
 プロの編集者にこんなことを言うのは失礼だということは十分わかっているが、あまりにも前科が多すぎるのでやむを得ずアドバイスさせていただく。だって、ロバート・ケネディが大統領だったり、現在のイギリス国王がヴィクトリア女王だったりするんだもの。雑学以前に常識的な記述からも念入りにチェックしてほしい。
 そして、出典のわからないエピソードが出てきたら直ちに検索をかけることを忘れてはいけない。幻冬舎はこれをやらなかったおかげで大変なことになったわけだから。ただ、出典を示すといっても、たとえば『奇人怪人偏愛記』(楽工社)では「海外のニュースを紹介するサイト」などという書き方をしていたが、できればサイトやブログの名前(アドレス)はハッキリと書いてほしい。
 ついでに書いておくと、文章全体が論理的につながっているかどうかもチェックしておいた方がいい。一見もっともらしいけど、よく読んでみるとヘン、ということがよくあるので。

(3)唐沢俊一は仕事が遅い
 読者としてはいまいちピンとこないが、出版社からするとかなり重要なことだと思う。唐沢は常日頃から連載の締め切りを守れていないし、『新・UFO入門』も出すのが大幅に遅れている。「あとがき」より。

 最初にこの本の執筆を幻冬舎新書に約束したのは、2006年の夏のことだったが、雑事の忙しさにかまけて、いつの間にか、半年以上も執筆予定を引き延ばしてしまった。
(中略)
本はやはり、早めに書かないといけません。担当の山田京子さんには大いなる迷惑をおかけした。伏してお詫び申し上げる次第であります。

 『新・UFO入門』が出たのは2007年5月。山田京子(トテカワ)さんにはこの後さらなる迷惑をかけてしまったわけだが。
 また、清流出版から2006年に出る予定だった梅田佳声の伝記は3年を経過してもまだ出ていない(この件については後日記事にする予定)。このほかにも唐沢に本を出す約束を反故にされた事例があるとも聞いている。
 どうしてこうも遅れるのか?と理由を考えてみると、一言で言えばモチベーションの欠如ではないだろうか。唐沢俊一は現在演劇に没頭していて、11月、12月と公演を控えている。…こんなんで年末までに単行本を3冊も出せるのか?と心配になるが(詳しくは10月22日の記事を参照)。「裏モノ日記」10月1日にも次のようにある。

T田くんとは本のことでもちょっと。
私の頭は11月公演のことばかり。

演劇をやめて執筆一本に専念しろ、とかつて唐沢に忠告した人もいたそうなのだが、個人的には演劇をやりたいのなら演劇に専念した方がいいと思う。やりたいことをやった方が幸せでしょう。執筆業は演劇をやるための手段(資金調達・宣伝)になってしまっているのでは?と邪推してしまう。
 もうひとつ、モチベーションの低下がうかがえる記述。「裏モノ日記」10月22日より。

原稿4時半まで書き続け。
そろそろ来年のB社の単行本、これはまず語り降ろしてそのテープ
起しにチェック入れて作る予定なので、そのスケジュールを
空けねばならず。同じくA社の本のための取材日程も空けねば
ならず。

 『博覧強記の仕事術』(アスペクト)で味をしめたのか、語り下ろしである。しかし、『博覧強記の仕事術』の惨状については9月23日の記事以下を参照していただければわかるし、単純にラクをしたいだけなのではないか?と思う。『博覧強記の仕事術』について、唐沢が大内明日香女史に作業をまかせきりだったという話も聞いている。まあ、優秀なライターを雇ってまとめさせればなんとかなるかもしれないが。


 …自分が唐沢俊一の検証を熱心にやっていることを不思議に思われることがしばしばあるが、そんな自分以上に現在に至って唐沢俊一の本を出そうとする会社の方が不思議な存在なのではないか。「評判が良くないうえに仕事の遅いライターの書いた特別念入りにチェックする必要のある本」を出す理由が一体どこにあるのかよくわからない。まあ、いい本に仕上げてくれると信じたいけれど。