天下の朝日に責任転嫁?
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唐沢俊一が2008年8月31日の「朝日新聞」に掲載されたデヴィッド・マドセン『カニバリストの告白』の書評でタイトルに「カニバリスト」とあるのに何故か人肉嗜好をテーマにした小説であることを伏せていたことについて、かつて自分と町山智浩さんが突っ込んだことがあった。
すると、唐沢は「裏モノ日記」3月18日でこのようなことを書いた。
それからカニバリズム小説なのに、朝日の規定で“人肉食”という言葉が
使えず悲鳴をあげながら書いた『カニバリストの食卓』
[http://book.asahi.com/review/TKY200809020153.html
といったあたりか。『カニバリスト〜』は書評委員の間で
「他紙にも書評が載ったけど、唐沢さんのが一番面白かった」
と言われてホッとしたものである。
で、おっちょこちょいな自分はそれを真に受けて「そんな規定があるなんておかしい」と朝日新聞社を批判する記事を書いてしまった。なお、上の日記の中で唐沢は本のタイトルを間違えている。書評してるのに…。
ところが、コメント欄で「『朝日新聞』紙上で「人肉食」が使われている事例がいくつもある」とのご指摘を受けたので、今回遅ればせながら『朝日新聞』の紙面を調べてみたところ、確かに「人肉食」という言葉が何回も使われていることがわかった。
まず、唐沢の書評が載る前。2006年8月28日の夕刊1面「ニッポン人脈記/戦争 未完の裁き」15回にこのような文章がある。
日本軍の人肉食も、米国やオーストラリアの遺族にとって衝撃が強すぎると取り上げなかった。
次に、唐沢の書評が載った後。まず、2008年12月11日朝刊36面「ホラー小説 いよいよ文学的実験の敵地に」という記事の中に「人肉食」という言葉が出てくる。
2009年4月17日夕刊3面『アライブ-生還者』の批評に「ぎりぎりの選択に人肉食」という見出しがある(本文中にも出てくる)。
2009年6月20日be6面、唐十郎『完全版佐川君からの手紙』の書評の中にも
パリ人肉食事件の犯人である。
とある。
さらに、2009年7月13日夕刊4面「Shizuoka春の芸術祭」の劇評の中にもやはり「人肉食」という言葉が出てくる。
…もうおわかりだろうが、『朝日新聞』の紙面では「人肉食」という言葉が普通に使われているのだ。2006年8月28日以降に使えなくなって、2008年12月11日にまた使えるようになったとは考えにくい。そんなに新聞社の規定がコロコロ変わったら困る。したがって、唐沢が『カニバリストの告白』の書評を書いた時点で『朝日新聞』紙上で「人肉食」の使用を禁じる規定は無かったと考えるのが妥当だろう。
ともあれ、朝日新聞社にあらぬ疑いをかけてしまったことをお詫びする。今後は十分に気をつけていきたい。
…しかし、そうなると、どうして唐沢俊一がありもしない規定が存在すると言ったのかが気になる。以下理由を考えてみた。
(1)単なる言い訳。
『カニバリストの告白』については、自分だけでなく町山さんが突っ込んでいるので何らかの言い訳をしなくてはならない、と考えて朝日新聞のせいにした。「人肉食」を使わなかったのはビビリのせい。
(2)担当者から要請があった。
担当が個人的な判断で自主規制するように唐沢に申し入れ、唐沢もこれを了承した。その際に担当者が「会社の規定」を理由にしたため、唐沢もそれを信じてしまった。
どっちにしてもなぜ自主規制したのかよくわからないことには変わりはないのだけど。(1)だとしたら、唐沢が勝手に自主規制しただけでなく朝日新聞に罪を着せていて、二重にわけがわからないので、(2)の方がまだマシなのだろうか。
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