ガセビア工場の秘密。
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『フィギュア王』№140に掲載されている『唐沢俊一のトンデモクロペディア』第53回「小さな大スター」には次のような箇所がある。
ウルトラQで最も著名な怪獣にガラモンがあるが、あの、ひと目見たら忘れられない体形、動きは、高橋実というやはり小人症のスーツアクターの熱演あればこそ、だった。後にガラモンのぬいぐるみはピグモンとしてウルトラマンに転用されるが、そのときは子役俳優がスーツアクターであったため、体形が人間に近くなって、インパクトが薄れてしまった。
事実関係はいいとしても、ガラモンよりピグモンの方が体形が人間に近いからといってインパクトが薄いってことがあるのだろうか。風船をつけて飛び跳ねるピグモンだって十分にインパクトはあると思うのだが。
アメリカではもちろん、小人俳優というのは立派な職業で、ちゃんと労働組合『リトル・ピープル・オブ・アメリカ』が作られており、その仕事の権利が保証(原文ママ)されている。
『リトル・ピープル・オブ・アメリカ』は、労働組合ではなく小人症の人々の生活を支援する団体である。創設者は俳優のビリー・バーティ(Billy Barty)。彼も小人症である。
(前略)現に2005年のSFX界は大恐慌に陥った。この年の春の新番組シーズンに、小人スターがまるで集められなかったのだ。
原因はティム・バートン監督の『チャーリーとチョコレート工場』、それにハリー・ポッターシリーズの新作『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』が同時期に撮影に入ったからだった。観た方にはおわかりだろうが、あの二作には、共に体の小さい妖精たちが大挙して出演する。ハリウッドやイギリスなどのプロダクション、またサーカスなどに大量の出演依頼がかかり、そういう役者さんたちが一斉に拘束された。直撃を受けたのは低予算で製作されているイギリスBBCのSFドラマ『ドクター・フー』で、小さな緑色の宇宙人が登場する回が、小人スターの不足で撮影できず、ストーリィの大幅変更を余儀なくされたという。プロデューサーのフィル・コリンソンはハリウッド大資本の小人俳優独占に大きな怒りを込めたコメントを発表したとか。
どうしていきなり「2005年」の話になるんだろう。4年前のことをホットな話題みたいに書かれてもなあ。…しかし、どうしてこうなったのかはすぐにわかる。ネット上からネタを拾ってきたのだ(以前の『トンデモクロペディア』でも同様のケースがあった)。
で、今回もすぐにモトネタがみつかった。「Tokyo Fuku blog」2005年1月14日のエントリーである。…しかし、4年半前の話をそのまま書くかね。「一斉に拘束された」というと逮捕されたみたいだし。
だが、唐沢の文章の内容にも問題がある。『チャーリーとチョコレート工場』に出てくるウンパルンパはどう考えても妖精じゃないだろう。ウィリー・ウォンカが旅行中に遭遇した現地の原住民をチョコレート工場で働かせているのである。…これは『チャリチョコ』どころかロアルド・ダールの原作(『チョコレート工場の秘密』)も読んでないな(自分は小学生のときに読んで非常に面白かった記憶がある。柳瀬尚紀の新訳が騒がれたのは記憶に新しいところ)。ついでに最初の映画版(『夢のチョコレート工場』)も観てないんだろうな。そして、『ドクター・フー』は40年以上の歴史があるTVドラマシリーズ(途中で休止期間あり)なのだから「低予算」と片付けるのはどうか?と思う。まあ、唐沢俊一にイギリスについて語らせると大変なことになるんだけど…(詳しくは2008年10月4日、2008年10月27日の記事を参照)。
(引用者註 ジョージ)ルーカスは、SFX作品の古典的名作である『オズの魔法使い』がかなり好きなようで、『スター・ウォーズ』のチューバッカは臆病ライオン、C3−POはかかし、R2-D2はブリキのきこりをモデルにしたと言われている。
細かいことを指摘しておくと「C-3PO」。…それにしても、これは初めて聞く話だ。少し調べてみたものの、そういう話は見当たらなかった。C-3POとR2-D2が『隠し砦の三悪人』を参考にして生み出された話はよくされているけどなあ。デザインについて言えば、C-3POのモデルは『メトロポリス』のマリア、チューバッカはルーカスが愛犬を見て思いついたキャラクターらしい。ちなみにこの犬の名前は「インディアナ」で、インディ・ジョーンズの名前の由来でもある。…というわけで、唐沢の話はきわめて怪しいものと言わざるを得ない。さらに言えば、今回の『トンデモクロペディア』では小人症の俳優をテーマにしているのに、R2-D2を演じたケニー・ベイカー(Kenny Baker)について触れていないのは疑問。
その後で、『オースティン・パワーズ』シリーズのミニ・ミーでおなじみのヴァーン・トロイヤー(Verne Troyer)のスキャンダルが取り上げられているが、相手の女性の名前を「ラネイ・シュナイダー」と誤記している。正しくは「ラネイ・シュライダー」( Ranae Shrider)。
…無造作に2005年や2008年の出来事を持ち出しているあたりに、唐沢俊一が「現在」について関心を失っている(時間の感覚がズレている)ことが見て取れる。ライターが「現在」に関心を失ってしまうと、文章に新鮮さがなくなってしまうので気をつけて欲しいところだ。
『博覧強記の仕事術』に同封されたチケットを見つけて、中野にあるガセビア工場に招待されました。ネット上にある情報を劣化させたうえで原稿にするシステム、自分の過去を改変する機械などが見られて、大変貴重な体験をさせてもらいました。ツアーの最後に帽子に黒ずくめの服を着た工場長から「コレハコレハ。君を後継者にしてあげよう」と言われましたが、もちろん謹んでお断りしました(この話はフィクションです)。
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