唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

うれっ子どうする。

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 唐沢俊一『博覧強記の仕事術』(アスペクト)第4章の続き。
 P.162には「私が売れっ子ライターになれた理由」とある。…自分で言うか?と思うが、ビジネス本だから多少のハッタリは必要なのかもしれない。問題なのは、唐沢俊一が本当に売れっ子なのか?ということである。とりあえず、唐沢俊一が現在持っている連載を列挙してみよう。


・『唐沢俊一古今東西トンデモ事件簿』(月刊ラジオライフ
・『唐沢俊一のトンデモクロペディア』(月刊フィギュア王
・『エンサイスロペディア』(月刊パチスロ必勝ガイドNEO)
・『世界ヘンタイ人列伝』(月刊熱写ボーイ)
・『社会派くんがゆく!』(村崎百郎との対談。月1回更新)
・『週刊現代』での書評(不定期。月1?)
・『若年寄のススメ』(季刊アスペクト
・『漫画についての怪談(アヤシイハナシ)』(雑誌『幽』。年2回刊行)


 …たぶんこれで全部。『アスペクト』というのは大きい本屋に置いてあるPR誌らしい。当初は隔月誌だったが最近季刊になったとのこと。…さて、これで売れっ子と言えるのかどうか、であるが、まあ、月4本も連載を持っているのだから売れっ子と言えるのかも知れない。個人的には「どの雑誌を見てもいる」(たとえば、ちょっと前の佐藤優)「どの番組を見てもいる」(今で言えばオードリーとかはんにゃ)ような人が売れっ子だと思うのだが、基準は人それぞれなので断定はできない。作家の仕事量を表すのに「月産○○枚」という風に言うけど、唐沢俊一が月に何枚くらい原稿を書いているかわかれば客観的な判断がつけられるかもしれない。…まあ、検証している人間としては、唐沢俊一にはもっと売れっ子になってほしいところなのだが。『パチスロ必勝ガイドNEO』がうちの近所の本屋に置いてないから、電車に乗って買いに行かなきゃいけないんだもの。『アスペクト』にいたっては見かけたことすらない。…実はある連載が終わるという話も聞いているので、頑張ってほしいところだが。


 P.162から164にかけて、唐沢俊一はアイディアを思いついた後で「どうやって相手に受け入れやすい形にするか」ということを考えなくてはならない、と書いている。P.164より。

 なぜ、私が雑学で第一人者と呼ばれ、ライターとして生き残ってこれたのか。それは「デビューが華々しかった」からではない。ましてや「いいものを書いてきたから」でもない(それも条件としては必要だが)。

 カッコ内の文章を無視したほうが意味が通るね。続き。

 私が第一人者になれたのは、まず、一定の人に認知されるような本を書き、その後、一般に認知されるような本を書いた、という切り替えができたからである。

 で、デビュー作である『ようこそ、カラサワ薬局へ』(徳間書店)は売れなかったが、読者の中に業界関係者が多数含まれていたことから、ライターとして活動を続けることができた、ということを書いている。この話は唐沢俊一は過去に何度か書いている。ちなみに、『ようこそ、カラサワ薬局へ』は現在でも『薬局通』(ハヤカワ文庫)として書店で入手できるが、デビュー作であるこの本にもガセビアが多数含まれていることは記憶しておくべきである(当ブログ内を「薬局通」で検索すればわかるはず)。
 
 P.165より。

 そしてそのまま、「業界向け」の本を書いていたら、私の肩書きはいまだに「ドラッグ・ライター」のままだったかもしれない。しかし、私は徐々に手を広げ、一般向けの本を書くようにしていった。

 …自分語りが大好きな人にしてはどうもぞんざいな説明である。唐沢俊一著書リストを読めばわかるが、唐沢の「ドラッグ・ライター」としての仕事は本当に微々たるものなのである。『博覧強記の仕事術』は「成功の秘密を読者に語る」という体裁をとっているのだから、売れっ子になっていく過程を詳細にしないと説得力に欠けてしまう。だから、「徐々に手を広げ」の部分をもっと語るべきだったと思う。「ドラッグ・ライター」が古本や貸本マンガや裏モノに行ったのはどうしてなのか説明してほしかったところだ。…そもそも唐沢の著書で「一般向け」と呼べるのはどれくらいあるのかも気になるが。


P.165より。

 作家につく読者としては、「イノベーター」「ファーストチョイス」「一般大衆」の三つに分かれている、と言われる。これは元々作家ではなく、商品開発の業界で言われていることだが。
 そして、「売れる」ということを目指すのであれば、最終的に「一般大衆」にウケるものを作らなくてはいけない。
 しかし、往々にして、最初から一般大衆にウケる作家というのは少なく、最初は「ファーストチョイス」、つまり新しもの好きの人が最初の顧客となる。

 「商品開発の業界」というのはなんだろう。どの業界にも商品開発を担当する分野はあるんだろうけど。
 それはともかく、ここで語られているのはいわゆる「イノベーター理論」のことだろう。思わず『ダブルオー』を連想してしまうけど。しかし、「ファーストチョイス」で検索してもドッグフードのことしか出てこないので困ってしまった。「新しもの好き」という意味の名前なんだろうか。


P.166より。

 大事なのは、その次である。
 最初についてくれたお客さんは大事であるし、また大事にしたいのが人情なのであるが、次の段階、つまり一般大衆にウケるようになるには、その「最初についたお客さん」を捨てなくてはいけない。
 捨てる、というと聞こえが非常に悪いが、残念ながらそういうことになる。いつまでも最初についたお客さんに向けた商品(作家の場合は文章)を提供していると、いつまでも次の段階に行けなくなる。しかし、行ったら行ったで「あいつも落ちたね」と必ず言われるのだ。
 残念ながら、売れたいのであれば、それに耐えなくてはいけない。
 大衆にウケたものが「ヒット作」となるわけだが、それは、最初についたお客さん、つまりマニアの目から見ると「落ちるもの」つまり、半歩遅れたものでなくてはいけない。それくらいで一般大衆にはちょうどよくなる。
 口で言うのは簡単であるが、行うのは結構大変である。自分の感覚を見せつつ、その感覚を操ってレベルを下げるということをしなくてはならない。

 …一体何の話をしているんだ。『博覧強記の仕事術』でやるような話なのか。
 つまり、上の文章は唐沢俊一は昔と比べてウスくなった/劣化した」という意見に対して「売れる為にやったんだ」と反論しているのである。…事情を知らない読者はまったくわけがわからないと思うけど。
 しかし、この反論、非常におかしなものである。まず、「「最初についたお客さん」を捨てなくてはいけない」という決め付けがよくわからない。唐沢俊一の著作を初期から読んでいるみなさんが気の毒になる。「唐沢俊一検証blog」にも「唐沢俊一も昔はよかったんですよ」とフォローするコメントがしばしば寄せられることからもわかるように、ちゃんとついてきていた人も多かったのだ(やはり『新・UFO入門』盗用事件で離れた人が多いのだろう)。自分の読者をもっと信用してみてはどうか。
 次に、「マニアックなもの」=「売れない」というのも決め付けである。それに「マニアックなもの」と「一般向けのもの」を並行して作ることも出来るはずだ。ジョニー・トーはヤクザ映画だけでなくたまにコメディや恋愛映画も撮っているのだが、「自分の本当に撮りたい作品のためにヒットを狙った作品も引き受けることにしている」と理由を語っていたっけ。
 そして、わざとレベルを下げて「一般向けのもの」を書いているとでも言いたげだが、そろそろレベルを上げてほしい。あまりにレベルが低すぎて検証していてとてもつらいです。
 …この文章で一番気になるのは、「売れる為にやったんだ」と言っているのに、その割りに唐沢俊一は売れているのか?ということである。いや、本当にやりたいことを同時にやっているのであれば、現在の仕事量でも構わないと思うのだが、「売れる」という一点だけを目指してやっているのであれば、もう少し売れてもいいんじゃないか?と思うのだ。昔からの読者を切り捨て、わざわざレベルを下げているんだったら、もっと売れないと割りに合わないだろう。そもそも唐沢俊一は「売れたい」からライターになったのだろうか?


P.168より。

 普通の人間は、発想を出すときにブレーキが利かなかったり(コアなものになってしまう)、アクセルの踏み込みが足りなくなって(つまらないものになって)しまう。
 ブレーキとアクセルを必要に応じて、自由に操れるということが、「売れる」ための最低条件なのである。

 ガセとパクリの多さからして、ちっとも自由に操れてないような。まあ、いくらブレーキとアクセルを操ろうと、故障したクルマを動かすことはできないんだけど。 


「売れる為にやったんだ」話、次回も続きます。


※追記 globotechさんのご指摘に基づき唐沢俊一の連載をひとつ追加しました。しかし、『熱写ボーイ』って雑誌、相当エグいな…。

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