唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

『星を喰った男』新装版?

 「裏モノ日記」3月13日に気になる記述が。

マイミクのFKJさん、カンパンマンさんに挨拶、それから伯父と
このあいだ飲む機会があったというファンの人に挨拶された。
潮健児のファンだということだが生前の潮さんには会ったことがなく、
『星を喰った男』もこのあいだ、やっとネット古書店で買ったら
2000円したということである。
引っ越しの際に書庫から、潮さんのアルバムが出てきたが、
これらを足して新装版を出そうかとも思う。

 潮健児氏の自伝『星を喰った男』の新装版を出すかもしれない、というのだ。まあ、「出そうかとも思う」なので実現するかどうかはわからないが。この人は「企画進行中ですよ」アピールをよくするけど、どれくらい実現してるかはわからないし。
 個人的には新装版の発売には賛成である。『星を喰った男』は面白い本なので、できるだけ多くの人に読んで欲しい。品切れになっている現状は寂しい限りなので、新装版によってより多くの読者の眼に触れる機会が出来るのなら喜ばしいことである。ただし、早川書房から文庫版を出したときに著者の名義変更が行われるなど著作権法に抵触する疑いのあることが行われているので、そのような疑惑を晴らすことが新装版を出すためには必要不可欠である(『星を喰った男』にまつわる疑惑については2008年12月26日の記事を参照)。そこで『星を喰った男』新装版を出すためのアイディアをいくつか提案してみる。

(1)本のタイトルもしくは著者名を変更する
 これが一番簡単。とにかく、潮氏が自分で伝記を書いたことがわかるかたちにしなければならない。たとえば、
潮健児自伝』唐沢俊一編著
『星を喰った男』潮健児著 唐沢俊一構成・文

とかそういう形なら大丈夫ではないだろうか。『星を喰った男』文庫版でもサブタイトルで「名優・潮健児が語る昭和映画史」とあるのだが、潮氏の自伝であることはしっかりとメインタイトルで打ち出すべきだったと思う。早川書房ともあろうものが、どうしてそれくらいの配慮もしなかったのかいまだに理解に苦しむ。

(2)大幅な書き下ろしを追加し、全体的に構成を変える
 『古本マニア雑学ノート2冊目』の「唐沢俊一ビブリオグラフィ」で唐沢俊一は『星を喰った男』を「評伝」と分類してあるが、「評伝」とはとても呼べないものであることは先の記事で指摘した通りである(そもそも自著なのか?)。どうせ新装版を出すのなら唐沢俊一による「批評」を付け加えて「評伝」にふさわしいものにするというのはどうだろうか。それに加えて、単行本が出てから10年以上が経過しているので、新たな読者のことを考えて当時の映画業界やテレビ特撮などについて説明を加えておいたほうがいい。「天津敏」「関山孝司」といった人名や作品名にも註釈を加えたり、関係者の話を追加するとか、それくらいのことをやれば『星を喰った男』を「評伝」として唐沢俊一の著作として認めることができるのではないか?と思う。仮にそのような作業をやるとしたら大変なことになるとは思うが、潮氏の遺した原稿は後世へと伝えていくべきものなのだから、それくらいの作業は必要ではないだろうか。唐沢俊一だって「オタクとしての使命を感じている」ということをしばしば語っているのだし。
 

…『星を喰った男』を新装版で出すのであれば、何よりも著作権法と潮氏の名誉が守られなければならない。自分が文庫版の疑惑の追及を一応ストップしているのは、当時の編集者が既に早川書房を退社していて詳細を知る人間がいないという事情もあるが、『星を喰った男』文庫版が現在絶版であることも大きい。絶版というのはある意味で最大のペナルティであるとも言えるわけで、出版社にそれ以上の対処を要求できるのだろうか?と思ってしまったのである。しかし、新装版が出るというのなら話が違ってきて、唐沢俊一だけでなく新装版を出版する会社や編集者の責任を問わなければならない状況になることも十分有り得るのだ。だから、『星を喰った男』新装版に関与する人間にはくれぐれも気をつけて欲しいと思うばかりである。もちろん一番気をつけて欲しいのは唐沢俊一なんだが。「書庫を整理していたらアルバムを見つけたよ。ラッキー」くらいの気持ちでやってほしくない。…っていうか、その「潮さんのアルバム」って「唐沢俊一が撮りためていた潮氏の写真が収められたアルバム」なのか「何らかの事情で唐沢俊一の手元にあった潮氏個人のアルバム」なのか。似ているようで大違いなんだけど。あと、言うまでもないと思ったけど、潮氏のご遺族の許可はちゃんと取ろう

おまけ。唐沢商会『ガラダマ天国』(ぴあ)P.48より。

(株)バンダイより俳優潮健児著「星を喰った男」が出版されました。唐沢(兄)の編集・構成になる本ですのでよろしく
残念ながらこれが潮氏の遺著となった

…『星を喰った男』は潮さんの著書だと自分で認めてるじゃん
同じくP.49より。

…前回潮健児氏の本の話をしたがY上という心霊家があの本は俺が出版社を紹介して出してやったんだと(主に関西方面で)言い触らしていると聞いた
このヤロウは出版社の紹介どころか潮氏をダマくらかして原稿をチョロまかしてトンズラしようとしたゴロである。関西方面の人は信用しないように

…やっぱり潮さんは「膨大なメモ」なんかじゃなく、自分で原稿を書いていたんじゃないか?疑惑は深まる一方である。

星を喰った男

星を喰った男

ガラダマ天国―唐沢商会提供

ガラダマ天国―唐沢商会提供