唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

ガセの歌を聴け。

 「社会派くんがゆく!」最新号で、唐沢俊一がいろいろ妙なことを言ってるので指摘しておく。

唐沢 そもそも、酒が飲めない人間ならマジメでいい政治家になれるのかといったら、ブッシュみたいな行き過ぎたキリスト教原理主義者になってしまうというケースもあるんでね。だから酒のせいというより、本人の性格の弱さのほうが根本的な問題だと思う。オレみたいな飲ん兵衛に言わせれば、あの程度の酒でものがしゃべれなくなってしまうほどの虚弱体質を自覚していなかったことを反省してほしいよね。ていうか、酒に罪を着せてしまったことに対して、“酒に謝れ”と(笑)。

ジョージ・W・ブッシュは若い頃かなりの酒好きであったというのは有名だと思うのだが。飲酒運転で逮捕されたこともあるし、アルコール依存症だったという話もあるくらいだ(オリバー・ストーンの映画『W』でもそのように描かれているらしいが、ブッシュ本人は否定している)。改宗したのをきっかけに禁酒したわけで、「酒が飲めない人間」だから「キリスト教原理主義者になってしまう」というのは話がまるで逆。

 次に村上春樹エルサレム賞授賞式でのスピーチにイチャモンをつけている。

唐沢 オレは今のところ親イスラエルなんで、なんじゃありゃ、と思ったけどな。そりゃ、文学者は卵の立場に立ってればいいだろうさ。だけど為政者が卵じゃ、国民はどうしようもないだろう。イスラエル政府はきちんと、自国民を守る壁になっている。文学者ってのは究極の無責任人間なんで(いや、そうでもなきゃ小説なんか書けないんで)、それが政治を語るってことにそもそも反対なんだ。ことに国際政治音痴の日本の作家が何言っても、的外れにしかならないからね。

唐沢俊一村上春樹のスピーチをちゃんと全部聞くか読むかしたんだろうか。スピーチ全文を読んでみるとわかるが、村上春樹はただ単にイスラエル批判をしているわけではない。決して的外れではないかなり見事な内容だと言えるし、エルサレム賞の受賞をめぐって各方面からあれこれ言われながらも、自らの信念に基づいた行動をしたことについては政治的主張や信条の違いは別にして、文学者として立派であると認めなくてはならないのではないか。まあ、唐沢が親イスラエルだろうと親ハマスだろうとかまわないし(どうやら知り合いがイスラエルに住んでいるらしい)、作家が政治を語るべきではないと考えていても構わない。ただ、自分が納得がいかないのは、唐沢俊一が「政治を語る」ことに反対している一方で「政治的な行動をしている」ことだ。かつて、ニフティの会議室で自分と意見の合わなかった人間に対して取り巻きを使って攻撃していたし、自分が東大で「世界の三面記事・オモロイド」さんからの盗用について質問したときは「あれはアンチが広めた」とまるでネガティブ・キャンペーンが行われたかのような言い訳をしていた(詳しくは2008年10月23日の記事を参照)。それが作家にふさわしい行動・言動と言えるのだろうか(「究極の無責任人間」だから許されるとでも?)。まあ、朝日新聞やNHKでの仕事もいささか「政治的」みたいだしねえ。作家としての実力だけで勝負して欲しいものである。…さすがに唐沢の意見はマズいと思ったらしく、村崎“実はいい人”百郎氏がすかさずフォローしているが、村崎氏も滝田洋二郎監督がアカデミー賞の授賞式でアメリカにイヤミを言えばよかったとか幼稚なことを言っている。村上春樹のケースとは明らかに状況が違うって。唐沢俊一

オレは『病院へ行こう』くらいまでは面白かったけど、『陰陽師』とか『阿修羅城の瞳』とか、身の丈に合わない大作志向になってから面白くなくなった。ピンク出身だけあって、限られた予算のなかで工夫を凝らすのが、この人のいいところだったんだけどね。

そういう意味じゃ、(未見だけど)『おくりびと』は身の丈に合った映画だったってことじゃないかな。何にしろ、低予算で工夫を凝らすのが得意な人に、場数踏んでいるからって大作をまかすのはよくないよ。金がかかっているからいい映画になる、なんてことはないんだから。戦後の日本が貧乏だったからこそ復興して高度経済成長を遂げたのと同じでね。

相変わらず滝田監督の映画を見ないでも言えるようなことしか言ってない(詳しくは2月26日の記事を参照)。

唐沢 一応、書類送検された人間には前科がつくから、実刑にならなくても、今後履歴書の賞罰欄には一生、このことを書かないと虚偽になるわけ。匿名のカキコだから何を書いてもリスクはまったくないと思ったら、大間違いだよ。

…えーと、これは自分や2ちゃんねらーへの警告なんだろうか。怖いなあ。気をつけようっと。でも書類送検された人間には前科がつく」というのは誤り。「前科」というのは「過去に刑罰を受けたことがある」という意味だが、そのためには有罪判決が下されることが必要である。そして、書類送検されても不起訴や起訴猶予になるケースもあるし、起訴されても無罪になるケースもあるのだから、「書類送検された人間には前科がつく」とは言えないのである。なお、最近の履歴書には賞罰欄がないものも多くなっているらしい(こちらのサイトを参照されたい)。

…まあ、他にも「貨幣経済は幻想だ」とか言ってるけど、「経済のことはよくわかりません」と言ってるだけのような気が。あと、吉本隆明の「共同幻想論」をまた持ち出しているけど、今度こそちゃんと読んだのかと(詳しくは2008年12月11日の記事を参照)。

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