ススススネーク。
ププププロレスニュース。
唐沢商会『怪体新書』(光文社)P.25より。
『怪奇!吸血人間スネーク』(‘73)
科学者が青年に蛇の脳を移植して蛇人間にしてしまう話なのだが
最後に完全変態をとげて本物の蛇になっちゃう
その蛇を見て恋人が
「スティーブ!」
と青年の名を呼ぶんだ、これが
「どうやって見分けがついたんだよ」
…さて、おかしいと思わないだろうか。人間とヘビの脳の大きさはかなり違うのに、どうやって移植するんだろう。移植したって頭蓋骨の中で脳味噌がコロコロ転がってシェイクされてしまいそうだ。
まあ、それ以前に自分はこの手の映画が好きでよく見ているので、この説明が間違っていることにすぐに気づいたのだが。エイガ・ドット・コムより正しいあらすじを紹介。
科学者ストーナーは、人類が生き延びるにはヘビに進化する以外にないという考えに取り憑かれ、娘の恋人で助手のデビッドにキング・コブラの血清を注射する。徐々にヘビ男に変身していくデビッドは……。“ヘビ人間”の恐怖を描いた珍作。
というわけである。ヘビの脳を移植したわけではないのだ。…血清を注射してヘビになっちゃうってのも凄いけど。あと、『怪奇!吸血人間スネーク』でヘビに変身する助手の名前は「スティーブ」じゃなくて「デビッド」。恋人がヘビを見て名前を呼ぶシーンはちゃんとあったと思うけどね。ちなみに『怪奇!吸血人間スネーク』はリチャード・ザナックとデビッド・ブラウンが製作総指揮をしている。『ジョーズ』を製作総指揮したコンビが、こういう映画も手がけていたんだね。日本でも『ジョーズ』がヒットした後で劇場で公開されたそうである。あらすじだけでおなかいっぱいかもしれないがw一応予告編も紹介しておこう。
…大昔に一度観たきりだから、また観たいなあ。
…というわけで、唐沢俊一はアレな映画の内容をちゃんと紹介できていないのだが、『怪体新書』にはこんなことも書いてある。P.22より。
なをき「しかし『Plan9 From Outer Space』(’59)やら『Robot Monster』(’53)やら『死霊の盆踊り』やら最低映画って何本あるのか」
俊一「エド・ウッドのブーム(?)でこのテのものにもちょっとは光があたってきたので、クズ映画ファンの私どもとしてはちょっとうれしい」こういうのにくらべるとわが国の『ゴジラ(’54)』は評価は高いがあくまでもこういうのにくらべての話である。いばっちゃいけない
「アレはその年の3月に起きた第五福竜丸事件の騒ぎをアテコんでわずか8ヵ月後に封切られた、いわば王道キワモノ映画としてとらえるべきものだろう」
…『ゴジラ』とエド・ウッドの作品を比較するか?普通は『原子怪獣現わる』とかが『ゴジラ』の比較対象になると思うのだが。エド・ウッドの作品って「出来は悪いけど味がある作品」(面白いかどうかは微妙)なんだけど、『ゴジラ』は出来の悪い作品じゃないし。それに「王道キワモノ映画」というのなら唐沢俊一が持ち上げている『宇宙戦争』だって「キワモノ」だろう。『ゴジラ』と何処が違うんだ?
「いばっちゃいけない」っていうのも意味が分からない。『ゴジラ』が名作だからって誰がいばっているんだ?自分は『ゴジラ』のファンだけど別にいばろうとは思ってないけどなあ。『ゴジラ』のスタッフや出演者に言うならまだわかるけど、唐沢俊一は本多猪四郎監督のご家族や梶田興治監督(『ゴジラ』の助監督)とも個人的に交際していたはずだが、彼らに「いばっちゃいけない」って言ったんだろうか?…結局のところ、『トンデモ事件簿』での『ゴジラ』論(詳しくは2008年11月6日の記事を参照)と同じく「ガンダム論争」の時から基本的には考えが変わっていないということなんだろう(「ガンダム論争」での『ゴジラ』批判は2008年11月19日の記事を参照)。あと「8ヶ月」というのは当時の映画製作のスピードを考えると「わずか」と言えるのかどうか。
…『怪奇!吸血人間スネーク』の内容を間違って説明している(ちゃんと観たのかなあ)うえに、『ゴジラ』を貶めるようなことを書いている唐沢俊一がNHKの『BS熱中夜話』で「マニアック映画」について監修しているのはどうかと思う。唐沢俊一スレッド@2ちゃんねる一般書籍板でもさんざん突っ込まれていたけど、「B級映画の四天王」として、エド・ウッド、ラリー・ブキャナン、レイ・ケロッグ、ロジャー・コーマンを挙げていたのもどういう基準で選んでいるのかよくわからないし。この回の『熱中夜話』を見学した人のブログを見ても雑なことをやっているなあと思ってしまう。
私らはマニア代表って事で司会席後方に鈴なりになっているわけですが、正直、
「何を語ればええっちゅうねん!」
これは控え室で私の周りにいた人の総意。どうやら私以外の人にとっても「守備範囲外」の作品群だったようです。
種を明かせば、放映著作権の問題で「パブリック・ドメイン」になっているような旧作(ほとんどがモノクロ、大半が日本未公開、一部サイレント)になってしまったという“大人の事情”。
当然、製作側としては「誰も語らず盛り下がったらどうしよう」という不安を抱きます。このリスクを回避するために「セミプロ」を仕込んでおりました。
これが痛し痒しで。こういう人が率先して発言すると「あ、こんな詳しい人がいるんなら俺らは無理して喋らなくてもいいか」という空気を醸成してしまうんですね。
もちろん(というのが情けないが)、この『BS熱中夜話』のディレクターは唐沢俊一の「ともだち」である弓削哲矢氏なのだが(詳しくは2008年11月5日の記事を参照)、もう少し丁寧な仕事をしてほしいところだ。この手の映画に詳しい人はたくさんいるんだから、いい加減なことをやってたら秒殺されるよ。…まあ、唐沢俊一はマニアックな映画について語る前にもっと一般的な映画の知識を身につけてほしいところだ。なんせ「『荒野の七人』は『用心棒』をリメイクしたもの」だもんなあ(詳しくは1月13日の記事を参照)。
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