唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

唐沢俊一はナオミの夢を見るか?

唐沢俊一ソルボンヌK子『カルトの泉』(ミリオン出版)P.96

1979年熊本県で起きたタヌキ憑き殺人事件
「娘にタヌキが憑いた!」
「追い出すには叩き出すしかない!!」
唐沢「事件が起きたこの地方では昔から動物が人に取り憑くという伝承があった」

若い女が棒で殴られて血を流しているマンガが描かれている。
この事件について「オワリナキアクム」というサイトで紹介されている。

5月6日 熊本・タヌキ憑き殺人事件

 熊本県芦北町で、農業A(当時63歳)とその子ども3人が、で無職X子さん(26歳)を長時間殴りつづけ死亡させた。

 X子さんは3月中旬から高熱をだしたり、意味不明なことを口走るなど様子がおかしくなった。心配した母親(当時54歳)が祈祷師に見せたところ、「タヌキが憑いている」と言われたという。
 6日、X子さんは姉に体を擦り寄せたり、家を飛び出そうとしたため、家族は「タヌキを追い出すには、たたき出すしかない」と話し合い、X子さんの弟が自宅縁側にX子さんを押さえつけ、姉2人とAが交代で3時間近く殴りつづけ死亡させた。

 この地方では昔からキツネやタヌキ、イヌ、カッパなどが人に取り憑くという言い伝えあったという(原文ママ)。

ところが「犯罪の世界を漂う」というサイトにはこのようにある。

<タヌキ憑き殺人事件>
 熊本県芦北郡で、3月中旬から精神状態がおかしくなった長男(26)を母親が祈祷師に見せたところ、「タヌキが憑いている」と言われた。母は体調を崩し、姉二人が看病に来るようになった。1979年5月6日、長男が家を飛び出そうとしたため、父、姉二人、弟が話し合い、タヌキを追い払うために叩き出そうした。弟が長男の体を押さえ、父、姉二人が手や薪、パイプなどで約三時間、長男の首の後や肩を殴りつけ、長男は死亡した。同町ではタヌキや狐などが人に乗り移る“つきもの”の俗信が一部に残っていた。

被害者は男なのか女なのか。こういう時は当時の新聞記事にあたってみるしかない。そうしたらちゃんとありました。「毎日新聞」1979年5月7日夕刊(東京版)の見出し。

「息子にタヌキがついた」一家で殴り殺す

というわけで、被害者は男であった。で、ちゃんと調べてみるものですね。どうしてこんな間違いが起こったか理由もわかった。この事件、被害者の名前が「直美」というのである。だから、「オワリナキアクム」は被害者が女性だと勘違いしてしまったのだろう(「オワリナキアクム」も「犯罪の世界を漂う」も礫川全次『戦後ニッポン犯罪史』を資料として挙げているのだが)。「なおみ」だって男の名前なんだけどね。字は違うけど植村直己とか。
 それにしても、「オワリナキアクム」の情報を鵜呑みにしてガセネタをマンガにしてしまうとは、タヌキだけにテラバカスwwwwと思ってしまったよ。

カルトの泉~オカルトと猟奇事件~

カルトの泉~オカルトと猟奇事件~

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