唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

コンスピラシーふねふね。

 「朝日新聞」11月13日の朝刊13面「私の視点」では、田母神空幕長の論文問題が取り上げられているが、唐沢俊一も「陰謀論にはまる危うさ」と題した文章を書いている。

 「日本はルーズベルトの仕掛けた罠にはまり真珠湾攻撃を決行した」「張作霖列車爆破事件はコミンテルンの仕業」「盧溝橋事件の仕掛け人は中国共産党」といった、都合のいい俗説を検証もせずに取り出し、整合性も考えずにつぎはぎにしている。自説の正当性を証明するプロセスをすっ飛ばす。一次史料を参照せず、「誰々の本に書いてある」という二次史料の引用しかない。空幕長であれば、一次情報にアクセスすることもできたはずだが、そうした形跡がまったくない。これはすべてトンデモ陰謀論者の特徴だ。

 いやあ、見事な自己分析だなあ…って、エ、違うんですか?空幕長を批判している言葉がいちいち自分自身にあてはまっているのが凄い。チベットの拷問について「一次史料を参照せずに」久生十蘭の小説を根拠にして論じていたのは一体どこのどなたでしたっけ(詳しくはトンデモない一行知識の世界を参照)?

満たされないものを抱いている人間は、安易な解決に飛びつきがちだ。

「言いたいことを言った」というだけで、自分は大きなことをしたという自己満足に浸っているのではないか。こうした「言いっ放し」も陰謀論者によくみられるものだ。

 これは唐沢俊一スレッド@2ちゃんねる一般書籍板にいた人のことですかね。

634 名前:無名草子さん 投稿日:2008/11/14(金) 03:33:28
繰り返しになりますが、
と学会と唐沢さんを分けて考えるというものすごく簡単なことが、
どうして誰もできないのか私には分かりません。
叩ければ相手は何でもいいとしか思えません。
そんな行動のどこに理があるんですか?
と学会はと学会。唐沢さんは唐沢さんです。
もちろん、山本さんは山本さんですが、彼は会長なので多少の責任はあるでしょう。
でも、無限に責任を取る必要などどこにもないのです。
だから、と学会として唐沢さんの事件に何か言う必要もなければ、対応する必要もないのです。
それとも、みんなして「唐沢憎し」で目が曇っているんですかね?
誰も彼も洗脳されてるんじゃないですかね?
このスレの論法で言ったら、検証blogやトンデモない一行知識だって、
伊藤さんの不始末の責任を取らなければいけなくなりますよ?
でも誰もそんなことは言わないし、これからも言いっこない。
変じゃないですか?あいつらこそ仲間だし徒党を組んでるのに。
見たくないことには目をつぶり、見たいことだけ見て叩ける相手は叩く。
そんなの最低です。本当に軽蔑しますよ。
635 名前:無名草子さん
投稿日:2008/11/14(金) 03:36:25
特にブログをやってるkensyouhanには、ちゃんと答えて欲しいと思います。
彼は何かと言うと自分のところのコメント欄に来いと言いますが、どうせここ見てる
でしょうから私の発言をコピペでも何でもすれば同じことです。
必ず真面目に答えてください。私は負けません。
636 名前:無名草子さん 投稿日:2008/11/14(金) 03:42:44
自己レスです。
もちろん藤岡真さんも「仲間」です。
ひょっとすると、この人の指示で動いてるのかもしれません。
638 名前:無名草子さん
投稿日:2008/11/14(金) 03:45:10
自己レスです。
>>636は、藤岡さんと私が「仲間」という意味ではありません。
紛らわしい表現ですみません。訂正します。
藤岡真さんと検証blogたちが「仲間」という意味です。
「この人の指示」というのは、藤岡さんの指示という意味です。

…はあ?一体何を言ってるんだ、この人。自分が藤岡さんの指示で動いてるって?馬鹿も休み休み言いたまえ。自分と藤岡さんはこのブログでコメントのやりとりをしているくらいしか接点はないよ。「トンデモない一行知識」さんや「唐沢俊一さん盗作問題ウォッチャー」さん、それに町山智浩さんや「きっこの日記」も藤岡さんの指示で動いているのか?…藤岡さんってどんな権力者なんだよ。それだけ多くの人が唐沢俊一のおかしさに気づいて動いているというだけの話なのに、「あいつらこそ仲間だし徒党を組んでるのに」という卑しい考えに基づいた卑しい言葉遣いで他人を攻撃しているみっともなさに気づくべきだろう。だいたい、「と学会」を擁護しようとしている人がこんな陰謀論にハマっていること自体がものすごくおかしい。山本弘会長と「と学会」のみなさんはファンの教育をもっとちゃんとしなさいよ。…あと、自分に「必ず真面目に答えてください」って言ってるけど、「と学会」がなぜ批判されるべきなのかは当ブログの過去の記事で「真面目に」書いてあるので、それを読んでくれとしか言えない。それに、なんで自分だけ「ちゃんと答えて欲しい」の?「トンデモない一行知識」さんだってブログなんだけど。

…話を再び唐沢の文章に戻す。

 読み物作家などと違い、政治や歴史を研究する人間は、すっきりした解答という誘惑を退けなくてはならない。複雑な状況を、単純化せず根気よく分析していくには、非常な労力と時間が必要だが、田母神氏にはそれが我慢できず、手あかのついた陰謀論に走ったのだろう。

 田母神氏の論文からは、世の中を変えようとする意志が感じ取れない。本気で変えたいのなら、懸賞などに応募するのではなく、地道に勉強会などで自衛隊の中に自分の思想を浸透させていき、やがて政治や社会に影響を及ぼそうとするはずだ。

 いや、まったくもって仰る通り!だからこそ、自分もこのブログで「地道」に検証をして、唐沢俊一がガセとパクリだらけであるという事実を「浸透させていき」、「影響を及ぼそう」としているわけですよ。唐沢俊一に直接会いに行って言いたいことをぶちまけたところで問題が解決するわけじゃないんだよね(まあ、たまには会いに行った方がいいんだろうけど)。2ちゃん唐沢スレの荒らしの人も、唐沢センセイのお言葉をよーく読んでおくように。でも、「読み物作家」だってちゃんと歴史を研究していると思うよ。ついでに書いておくと、自衛隊の中で「日本は侵略戦争をしていない」という勉強会を開いたら、たぶん問題になると思うんだが。

 ただ、無視できないのは、ブログなどで、この論文について「どこが悪いんだ」という声が多いことだ。ネットの世界には、黒か白か、右か左かをはっきりさせたがる人が多い。そうした単純化は陰謀論と親和性が高い。複雑な政治的問題を、一つの「悪」を設定するだけで、すべて片付けようとする。嫌中、嫌韓という風潮も、悪役を手っ取り早く見つけたいという欲求の表れだろう。そうした白か黒かの二元論が社会で急激に広まり、考え方の豊かさや多様性が失われている。

 田母神空幕長の論文を「どこが悪いんだ」と言っている人はネットの中だけに限られない。たとえば、「週刊新潮」11月13日号P.27で中西輝政京都大学大学院教授はこう言っている。

東京裁判以降、日本の戦後史学は自虐史観と呼ぶべき硬直した解釈に囚われてきました。ですから、田母神さんのような方が正しい歴史認識を示されたのは、むしろ大変喜ぶべきことだと思っています。

 要するに、田母神空幕長のような歴史観(というか過去の戦争について日本を断罪する歴史観への反発)の持ち主は世間にはある程度いるのである。むしろ、ネットをやらない高齢者にそのような人が多いと思う。そういう人は問題じゃないのか?それを「ネットの世界には」と決め付けることこそ「単純化」だし、「そうした白か黒か」以降の文章は、あまりにも型通りすぎて『社会派くんがゆく!』などの唐沢俊一を知っているとくすぐったくてしょうがない。いわゆる「朝日文化人」になりたいのかなあ。

 いま日本でも、「9・11米国自作自演説」などがもてはやされるようになってきている。

 本当か?何故「いま」「もてはやされるようになってきている」んだ?ブッシュからオバマへとアメリカの政権が変わろうとしているのに「9・11米国自作自演説」を唱える意味ってどれくらいあるんだろう。

それは、国民の間に、社会状況や経済状況、生活についてのフラストレーションが高まり、余裕がなくなってきていることの表れではないか。グローバル化で複雑になりすぎた社会に人間がついていけなくなり、陰謀論という悲鳴を上げている。

 「いま日本でも、「9・11米国自作自演説」などがもてはやされるようになってきている」という本当かどうか怪しい話に基づいてそんなことを言われても

 田母神論文を、陳腐で幼稚と笑い飛ばすのは簡単だが、こうした陰謀論に空幕長という要職にある人間がはまってしまうという現状の危うさにこそ、気づかなければならない。

 要職にある人間が陰謀論、というかトンデモな理論にハマってしまうことはわりとよくある話だ。たとえば、船井幸雄の「トンデモ本」については「と学会」も取り上げているのだが。それから、出来心で文章を改変してみた。
生類憐みの令を、陳腐で幼稚と笑い飛ばすのは簡単だが、こうしたトンデモな理論に将軍という要職にある人間がはまってしまうという元禄時代の危うさにこそ、気づかなければならない
 気づいたほうがいいのかなあ(なお、生類憐みの令について再評価する見方もある)。これは冗談だとしても、無駄に煽るのはよくないと思うよ。
 
※一部文章を追記しました。