唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

梅橋はなぞかけの名人だったらしい。

『薬局通』P.242

 昔、春風亭梅橋という落語家がいたが、このひとはビールが大の好物で、疲れたときや多少腹具合がおかしいときなど、ビールを飲んで治してしまっていたそうである。ビールの成分のアルコールやホップには多少そういう働きもあるからまんざら信じられなくもない。
「ビールはあたしにとっちゃあクスリなんですナ、健康保健(原文ママ)で買えないかしら……」
 などとギャグにして高座で言っていた。まったくの話、このひとにとって一番のクスリはビールだったわけだ。実際、ヨーロッパの医者のなかには子供がおなかをこわしたときなど、黒ビールやジンジャーエールを処方するひとがいるらしい。医者の処方ということは、それが保険で買えるということだろう。効くものこそ薬、という考え方を、もう少し柔軟にわれわれはもってみよう。

 春風亭梅橋は1984年に49歳の若さで肝硬変で亡くなっている。だから、彼にとってビールは「一番のクスリ」だったとは言えない。落語通らしい唐沢俊一は当然梅橋の死を知っていたはずなのだが、それにしては無神経な文章である。それからギャグを真に受けるなと言いたい。もっとも、唐沢俊一は「ヒロポンが日本の戦後の復興を支えた」などとヒロポンを称える文章をたびたび書いているから、健康についての考え方がいささか歪んでいるのかも知れない。今効果があれば、後々悪い影響があったとしても気にしない、みたいな。それから、念のために書いておくがビールとジンジャーエールは別物である