唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

『知泉元祖「ヘェ〜」716連発』と唐沢俊一のネタの重複について。

 唐沢俊一雑学庫知泉からしばしばネタをパクっていたということは、唐沢ウォッチャーにとっては常識のひとつである。最も有名なものは「ガウディ事件」で、知泉で紹介されたネタを丸ごとパクったばかりか、文章の頭につけられた☆マークまでパクってしまったというマヌケきわまりない事件である(詳しくはトンデモない一行知識の世界を参照)。
 さて、知泉の主宰者である杉村喜光氏の著書『知泉元祖「ヘェ〜」716連発』(二見書房)を入手した。杉村氏が唐沢が自分の紹介したネタをパクっていることを知っていたということを考えると、書名の『元祖「ヘェ〜」』や、まえがきの、

いま、世間では雑学が流行っていて、あちこちで「ヘェ〜ヘェ〜」という声が聞こえています。

というくだりも深読みしたくなってしまうような。さて、いざチェックしてみると、『知泉』で紹介されたネタと唐沢の著書で紹介されたネタで重複しているものが多いこと多いこと。今回はそれを紹介してみるが、あくまで「重複」の指摘であって「パクリ」の指摘ではないということに注意してもらいたい。まあ、中には確実にパクったネタもあるんだが…。文中、『知泉』の文章は青字で、唐沢の文章は赤字で表記している。なお、『トンデモ一行知識の世界』『トンデモ一行知識の逆襲』はちくま文庫版に依拠している。

コーヒーを4時間のあいだに100杯以上飲めばカフェインが致死量に達して死ぬことができる。(『知泉』P.13)
カフェインの致死量は一〇グラム。これは四時間に百杯コーヒーを飲むことに相当する。(『トンデモ一行知識の逆襲』P.154)

…あ、「重複」の指摘であって「パクリ」の指摘でないって言ったのに、しょっぱなからパクリの指摘になってしまったw 『トンデモない一行知識の世界』が、

「四時間に」とはどこからきたのかは謎。

と書いていたのもこれで分かった。以下『知泉』より引用。

コーヒーに含まれているカフェインは、実は覚醒剤の一種で、禁断症状も起こる可能性がある。といっても、その可能性は極端に低い。致死量は10g。へぇ、そんな少ない量で、と思いがちですが、コーヒー1杯にカフェインは0.1gしか含まれていないので、4時間で100杯コーヒーを飲まないと致死量に達しません。つまり2分30秒で1杯飲むという行為を4時間つづける、ということです。


パソコンのキーボードは、いちばん上の文字列だけで「TYPE WRITER」と入力できる。(P.19)
タイプライターの一番上の列にある文字キーだけで“TYPEWRITER”と打つことができる。(『トンデモ一行知識の世界』P.220)


江戸時代は右手右足(左手左足)を同時に前に出して歩くのが当たり前だった。(P.21)
江戸時代まで、日本人は同じ方の手足を出して歩いていた。(『史上最強のムダ知識』P.176)
※このネタに付随して、それぞれの文章中で紹介されている「このような歩き方をナンバ歩きという」「全力疾走するときは両手を上げて走った」「現在の歩き方は明治時代の軍隊式の教練によって定着した」 というネタも重複。


「万歳」は両手の掌を内側に向けるのが正式。掌を正面に向けるのは「お手上げ」である。(P.23)
「万歳」は、手のひらを内側に向けるのが正式。政治家が当選したときにやるのは、多くの場合、手のひらが前を向く「お手上げ」。(『世界』P.52)


ソープランドの法律上の正式名称は「純正熱気浴場」である。(P.29)
ソープランドの法律上の正式名は「純生熱気浴場」である。(『世界』P.86)
※これはガセではないか?と『トンデモない一行知識の世界』で指摘されている。


キスをすると1秒のあいだに、おたがいの口のなかを約2億個の細菌が行き交う。(P.42)
キスをすると、一秒間に二億個の細菌がお互いの口腔を行き来する。(『世界』P.27)


江戸時代の人々はキスのことを「呂の字」と呼んでいた。文化11年発行の日本初の英和辞典『講厄利亜語林大成』には「kiss:相呂」と載っている。(P.42)
江戸時代、キスのことを“呂の字”と言った。文化十一年に完成した初の英和辞典『講厄利亜語林大成』にもKiss=相呂と出ている。(『世界』P.123)
※どちらも英和辞典の書名を間違えている。正しくは『諳厄利亜語林大成』。つまり、どっちかがパクったか、ネタ元が同じということになるが…。詳しくは『トンデモない一行知識の世界』を参照。


大正7年7月7日生まれの人は、平成7年7月7日に77歳になった。(P.51)
大正七年七月七日に生まれた人は、平成七年七月七日に七十七歳の誕生日を迎えた。(『逆襲』P.130)


昭和33年3月3日生まれの人は、平成3年3月3日に33歳になった。(P.51)
昭和三十三年三月三日に生まれた人は、平成三年三月三日に三十三歳の誕生日を迎えた。(『逆襲』P.131)


日本で写真を撮るときのかけ声は「チーズ」だが、韓国では「キムチ」」。(P.59)
各国で写真を撮る時のかけ声。韓国「キムチ!」メキシコ「テキーラ!」……(『唐沢先生の雑学授業』P.53)
※「テキーラ!」は『知泉』でも紹介されている。なお、唐沢の文章は別のサイトからのパクリではないかと『トンデモない一行知識の世界』で指摘されている。


有名なワーグナーの「結婚行進曲」は、楽劇「ローエングリン」での曲だが、物語は妻の裏切りで夫が死ぬという悲劇。(P.69)
結婚式でよく使われるワーグナーの結婚行進曲は、楽劇『ローエングリン』の曲だが、これは妻が裏切ったために夫が死ぬという悲劇である。(『世界』P53〜54)
※これはガセ。詳しくは『トンデモない一行知識の世界』を参照。


ポルトガル語で「カガ」は「大便」、「マリコ」はオカマという意味がある。
アラビア語で「ナカ」はセックス行為「ヤマ」は毎日という意味らしいので、中山さんは要注意
。(P.80)
「……アラビア語で“ナカ”はセックス行為、“ヤマ”は毎日という意味なんだよ。アラビアに行ったら、気をつけてあまり自分の名前を大声で叫ばない方がいいね。そうそう、“マリコ”はポルトガル語で“オカマ”という意味があるから、ポルトガルでは名前の方を気をつけた方がいいよ」(『逆襲』P.202〜203)


ゴリラの学名は「ゴリラゴリラ」という。ローランドゴリラの学名は「ゴリラゴリラゴリラ」という。(P.85)
ゴリラの学名は「ゴリラ・ゴリラ」。ローランド・ゴリラの学名は「ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ」。(『逆襲』P.152)


南極は北極より寒い。これは氷の下に地面があるかないかの差が大きく影響している。(P.108)
北極と南極では南極の方が寒い。(『逆襲』P.163)


働き蜂の実労働時間は5時間。しかし死因は過労死。(P.123)
「働きバチのように働く」というが、働きバチの働いている時間の総計は一日五時間にすぎない。(『世界』P.72)


宗教改革で有名なマルチン・ルターが神の啓示を受けたのはトイレのなか。(P.135)
宗教改革マルティン・ルターが天啓を受けた場所は、トイレの中。(『世界』P.23)
※これはガセ。詳しくは『トンデモない一行知識の世界』を参照。


ロシアでは女性器のことを「エビス」と呼ぶ。そのためにエビスビールは現地で問題になり発売できなかった。
笑い話として、日露戦争のときに兵卒が少尉に向かって「海老原少尉!」と呼びかけるのを見てロシア人は驚いたというのがある。
「エビ・ハラショー」とは、あまりにも大胆な発言
。(P.138)
また、「エビ」はロシア語で女性器を表す言葉なので、そのせいかあらぬか「エビスビール」はかの地に持っていくと大喜びされるとか。
「これは後を引く」
なんてね。阿刀田高氏の本によると、戦前、ソ連のどこかで、日本の軍人が、少し離れたところにいる同僚を「海老原少尉!!」と呼んで、あたりを大混乱に陥れたとか。「エビ」が「ハラショー」ならそれは……。
(『世界』P.65)
※このネタについては『トンデモない一行知識の世界』を参照。


スポ根アニメ「巨人の星」がイタリアで放映された際、主人公・星飛雄馬の名前はアントニオ、花形満はミッチーに変更されていた。(P.147)
イタリアでは、『巨人の星』の主人公飛雄馬は、「アントニオ」に改名された。(『ムダ知識』P.244)
※花形=ミッチーは『ムダ知識』にもある。


「かぶれる」「かゆい」という言葉はどちらも「蚊」が語源の言葉。(P.151)
「かぶれる」も「かゆい」も、蚊が語源である。(『世界』P.75)


大統領だったリンカーンの秘書の名前はケネディケネディが大統領のときの秘書の名前はリンカーン(P.159)
リンカーンの秘書はケネディといい、ケネディの秘書はリンカーンといった。(『世界』P.32)
※これはガセ。詳しくは『トンデモない一行知識の世界』を参照。


ラジオ体操の第一は「作業員用」、第二は「事務員用」として作曲された。(P.165)
ラジオ体操第一は「作業員用」、第二は「事務員用」である。(『逆襲』P.118)
※これはガセ。詳しくは12月3日の記事を参照。


野口五郎の芸名は、日本アルプスにある「野口五郎岳」から取ったものである。(P.166)
富山県と長野県の境に「野口五郎岳」(2924m)がある。(『逆襲』P.59)


森永牛乳プリンに描かれている、太陽の形をしたキャラクターの名前は「ホモちゃんマーク」。(P.168)
森永牛乳プリンに描かれている太陽の形をしたキャラクターの名前は「ホモちゃんマーク」という。(『逆襲』P.109)


グリコのキャラメルのパッケージに描かれているランナーはフィリピンのマラソン選手である。(P.178)
「グリコ」のマークの青年は、フィリピン人のマラソンランナー。(『ムダ知識』P.160)


バッハもヘンデルも晩年、目の手術に失敗して失明しているが、執刀した医師は同一人物。(P.190)
バッハもヘンデルも晩年、目の手術に失敗して失明しているが、執刀した医師は同一人物。(『逆襲』P.122)
※唐沢は同じネタを『ムダ知識』P.195で使いまわしているが、そこでパクリをやらかしている。詳しくは7月22日の記事を参照。


モグラの種類によっては2時間以上何も喰わないと死んでしまうものもいる。(P.199)
モグラは、二時間以上何も食べないと死んでしまう。(『逆襲』P.190)


近鉄バファローズの牛マークのデザインは岡本太郎。(P.214)
近鉄バファローズの牛のマークは岡本太郎デザインである。(『世界』P.46)


…今まで発見できたのは以上。これだけネタが重複していることが何を意味しているのかは、各人に判断をゆだねたい。まあ、いくつかあからさまにアヤしいものもあるんだが(個人的には「ナカ」「ヤマ」「マリコ」はクロだと思う)。しかし、他の雑学本でもこれくらいネタがカブってることってあるんだろうか。
 『トンデモ一行知識の世界』の単行本が出たのが1998年8月で、『知泉』の単行本が出たのが2003年10月なので、事情を知らない人が見れば『知泉』が唐沢俊一に後乗りしているように見えてしまうかもしれない。しかし、杉村氏が雑学を紹介するサイトを開設したのは1998年であって(単行本の著者紹介より)、決してそんなことはないのだ。むしろ雑学におけるパイオニアと呼ぶにふさわしい。しかし、あまりにもネタをパクられるので雑学庫知泉は現在雑学の公開を中止しているという。気の毒なことである。杉村氏は「雑学自体には著作権はない」と言っているらしいが、それにしたって限度というものがある。ネット上からネタを拾って一丁上がりという具合に安易な仕事をしている輩に災いあれ。

知泉 元祖「ヘェー」716連発

知泉 元祖「ヘェー」716連発