その男は、唐沢俊一というペテン師的な評論家だった。が、当時の彼は、『トリビアの泉』のスーパーバイザーとして評判が高く(以下略)。
『史上最強のムダ知識』P.195
「バッハ、ヘンデルは共に失明しているが、目の手術を執刀した医師は同一人物。」というトリビア。
その男は、ジョン・テイラーという、ペテン師的な渡り医者だった。が、当時の彼は、法皇庁(原文ママ)、皇帝公認の称号を得た医師と評判が高く、光学教授の称号も持っていた。
とはいえ、プロイセンのフリードリヒ大王は彼を国外追放し、イギリスのサミュエル・ジャクソンは彼を「ずうずうしさが無能を圧倒した例」と評価しているから、腕前は、推して知るべしである。
が、当時はマスコミがなかったために、彼の評価は広まらず、バッハは脳卒中後の視力の低下を治療してもらい、ヘンデルは緑内障を治療してもらった。どちらも治癒せず、バッハは手術の4ヵ月後に、盲目のまま死亡した。ヘンデルは、8年間生き延びたが、やはり盲目のままだった。
ちなみに、バッハの視力の低下の原因は、食いすぎによる糖尿病である。
これもパクリである。パクリ元はこちら。どうやら作家さんらしい。唐沢が挙げているエピソードはほぼ出てくる。自前なのはバッハの糖尿病の話くらい。だが、前の方で「脳卒中後の視力の低下」と書いているから、一体何がバッハの視力低下の原因なのかわからなくなる。つまりは余計なことを書いたわけである。問題の記事の更新日は1997年9月23日。ただし、この記事には参考文献が明記されているので(どこかの誰かさんとは違うね)、唐沢もそれを読んだ可能性が無いとは言えない。まあ、仮にそうだったとしても、パクリ元が本であるかネットであるかの違いに過ぎないわけで、パクリの事実は動かないんだが。しかし、パクリ元の記事の方が唐沢の文章よりずっと面白いのが情けない。 ちなみに、唐沢は「法皇庁」と書いているが、正しくは「教皇庁」。安岡先生にも突っ込まれていたが、キリスト教について本当に無知なのね。
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