ノーモデルナガサキ。
唐沢俊一『史上最強のムダ知識』(廣済堂ペーパーバックス)P.159
「長崎の平和祈念像のモデルは、プロレスラーの力道山。」というトリビア。
製作者は北村西望。建造された昭和30年(1955年)当時の、国民的ヒーローであったことから、力道山がモデルとして選ばれたという。
では、製作者本人のコメントを見てみよう。
そんなある日、祖母が平和記念像は誰をモデルにしたのかと尋ねたときがありました。翁は迷わず特にないと答え、もうモデルを映すことより自分の主観を大切にし、得意とする若い男性の健康美を追求したいと述べられました。
さらに、平和祈念像が4年がかりで制作されていることから考えると、力道山が国民的ヒーローとなったのは前年の1954年なので(シャープ兄弟、木村政彦と戦っている)、力道山がモデルということは考えにくい。
また、このトリビアはどうもwikipediaと他のサイトを参考にしたっぽい。
まず、唐沢の文章。
彫像の頑丈な体躯は、「絶対者の神威を示す」といわれている。
また、独特のポーズにもそれぞれ意味があって、掲げた右腕は、原爆の脅威を、水平に伸ばした左腕は平和を、曲げた右足は瞑想を、立てた左足は救済をそれぞれ表しているそうな。また、軽く閉じた目は、原爆犠牲者の冥福を祈っている。
次にwikipedia。
垂直に高く掲げた右手は原爆の脅威を、水平に伸ばした左手は平和を、軽く閉じた目は原爆犠牲者の冥福を祈っている。
もうひとつはこのサイト(なお、これは現地にこのような説明文があるらしい)。
平和祈念像は、国内はもとより、海外からも拠出された浄財によって、彫刻界の権威、北村西望氏製作による全長約10mの青銅男神像であり、上方を指した右手は原爆の脅威を示し、水平に伸ばした左手は平けく安らけくと平和のすすめる姿であり、頑丈な体躯は絶者の神威を示し、柔和な顔は「神の愛」または「仏の慈悲」を表し、また軽く閉じた目は戦争犠牲者のめい福を祈っている姿です。
なお、折り曲げた右足はめい想即ち静、立った左足は救済即ち動、何れも神仏の特性を表現したものであり本像はその規模において、またその思想において、この種の彫刻としては、世界にもその類を見ない雄大な芸術作品です。
あちこち細かく直してはいるが、「頑丈な体躯」だの「絶(対)者の神威」だの特徴のある表現を直さないからわかってしまう。パッチワークしないで引用すればいいのに。「また〜」「また〜」と文章が続くのもどうかと思う。
『史上最強のムダ知識』には、このほかにもwikipediaがモトネタだと思われるネタがいくつか見られるので、いずれ紹介していきたい。大学生のレポートだって、wikipediaを写したら怒られるというのに。
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