唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

SF/ネタの使い回ッシャー。

唐沢俊一の雑学王』(廣済堂)P.210より。

 経済発展のひずみが噂される中国だが、もうひとつ、かの国を騒がせているものに、有翼宇宙人出現事件がある。2004年の12月、ネット事業長者のある人物が、突如何者かによって上海の自宅から連れ去られ、翌日、2000キロも離れた青海省郊外で発見された事件だ。これだけなら単なる拉致誘拐だが、この人物、警察の調べに対し、「翼の生えた2匹の未知の生物に連れ去られた」と奇想天外なことを証言。おまけにそのニュースを報じた週刊誌によれば、彼はその生物たちに、「中国の男性にはとても絶えられない(原文ママ)恥ずかしいこと」をされて、現在はノイローゼ状態にあるとのこと。……果たして“中国の男性にはとても絶えられない”ことってなんだろう?

唐沢俊一のトンデモクロペディア』第2回『中国のアブダクション』より(「フィギュア王」№88掲載)。

 『週刊プレイボーイ』誌は最近の週刊誌では珍しくUFOやオカルトなどの超常現象を“真面目に”記載してくれる数少ない一般誌だが、その二〇〇五年四月六日号に、『驚愕スクープ!中国に宇宙人が大量上陸中!!!!? まさしくこれはUFOからのアプローチ!?』という記事が載った。
 記事によれば、事件そのものは二〇〇四年暮れに起きたもので、ITバブルにわく上海で、ネット長者として有名なS氏が何者かによって自宅マンションからさらわれ、翌日、約二〇〇〇キロも離れた青海省西寧郊外で衰弱した状態で倒れているところを発見された、保護されたもの、という。

 つまり、『雑学王』の文中の「そのニュースを報じた週刊誌」というのは「週刊プレイボーイ」のことなのである。『雑学王』に収録されているのは「FRIDAY」に連載されたコラムなのだが、「週プレ」に載ったネタを同じグラビア系週刊誌である「FRIDAY」のコラムで紹介し、しかも「フィギュア王」でも使いまわすというのはなんとも安直な仕事ぶりであると言わざるを得ない。ついでに書いておくと、「週刊プレイボーイ」にUFO特集が掲載されたのは2005年4月19日号のことである。…4月6日というのは発売日のことなんじゃないか?週刊誌の発売日と発行日がズレているというのは常識だと思っていたのだが。「ガンダム論争」を調べたときにも、唐沢俊一が『あえて「ガンダム嫌い」の汚名を着て』で「ぴあ」の号数を間違えて紹介していたものだから、非常に苦労したものだ(詳しくは2008年11月19日の記事を参照)。つくづく検証人泣かせな人である。
 
 さて、『トンデモクロペディア』の中で、ある「怪奇現象」が発生しているので、引用してみる。

ネット長者として有名なS氏が何者かによって自宅マンションからさらわれ、

 一見、よくある営利誘拐事件にすぎないと思うところだが、このK氏の警察での証言が奇想天外なものであった。

 もうひとつ、この上海の事件では気になる証言がある。それは、UFO(?)の中に連れて行かれたK氏が受けた行為である。彼は「とても中国の男性には耐えられない恥ずかしいこと」(本人談)
をされ、発見されて以降、スズメを見てもブルブル震えるほど鳥を怖がり、つけてもいないのに“テレビを消してくれ!”と叫ぶような症状でいるという。

 おわかりだろうか?さらわれたのは「S氏」なのだが、証言しているのは「K氏」なのだ。…つまり、UFOにさらわれた男が全くの別人となって帰ってきたということなのか?ボディ・スナッチャー?人間モドキ?子供だけが気づいて「あれはパパじゃない!」って騒いでもまわりは気にしないんだろうな、きっと。オタクだからすぐに妄想が広がって困る、とドナルド・サザーランドのような変な声を出しながら記事を書くkensyouhanであった(今しがたサヤから出てきたところ)。
 まあ、アブダクションも怖いけど、明らかなミスに気づかないライターと編集者はもっと怖い、ということで。

唐沢俊一の雑学王―役に立たない!でも妙に気になるムダ知識

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